Duo 刺激 (Duo Stim)
言い方が様々ですが、いわゆるDuo刺激 (Duo Stim, Duo Stimulation)についての質問や希望がよくあります。果たしてDuo Stimは有効な治療法なのでしょうか。Duo刺激とは、採卵後に月経を待たずに次の周期の治療に入れることを言います。「1周期に2回採卵できる」と言うと聞こえは良いですが、経済的身体的に、そこまで急ぐメリットがある方は多くありません。Duo刺激に関する過去の報告では、poor responderに関する研究が多く、卵胞数(採卵数)は最大多くても5個程度までのものが大半です。それ以上になると、例えばOHSSになりそうな場合はその周期でたくさんの卵子が得られるわけなのでさほど急ぐメリットはなく、それ以外にも採卵後の卵巣腫大が残りそうな場合に、そのまま刺激をするのは望ましいとは言えません。採卵後すぐに次の刺激を始められる状態であることが必要であることを考慮すれば、採卵数2~3個くらいまでの場合が現実的なDuo刺激の適応ではないかと思います。一方、採卵後の月経がいつ来るかは、刺激法や採卵数、ホルモン値等によって異なります。当院では採卵日にお渡しする用紙に、刺激法や採卵数、ホルモン値等を考慮してAIもどき(AIではない)のプログラムを組んで、次回の月経は△月△日ごろ(〇月〇日~〇月〇日)に来る見込みです、と表示しており、95%の方はこの範囲内に月経が来ます。採卵数2~3個以内の場合、次回の月経は採卵から7~10日後ごろ来ることが大半です。採卵から9日後に月経が来たと仮定するとその日が月経1日目ですので、月経3日目は採卵から数えると11日後ということになります。一方、Duo刺激の場合はどうでしょうか。さすがに採卵当日から刺激をすることはしないとして、採卵3日後から刺激を開始したとしましょう。この時点で月経を待ってから刺激をするのと、Duo刺激の場合を比較してDuo刺激の方が8日リードしています。しかし、採卵後から刺激をする場合、いわゆるランダムスタート法(黄体ホルモンが高い状態で卵巣刺激をする)ことになり、一般的には卵巣刺激は1~2日延びると報告されています。つまり、Duo刺激のリードは1週間弱くらいということになります。(「1周期に2回採卵できる」みたいに説明する先生いますけど、ちょっと盛りすぎじゃないですかね)さらに、一般的な低刺激の場合は、クロミッドの内服のみ、あるいは少量の注射のみで卵胞が育ちますが、Duo刺激を含むランダムスタート法の場合、最初から注射を導入しないと卵巣の反応が鈍いこともあるなどデメリットもあります。リプロダクションクリニックでもDuo刺激は可能ではあるのですが、こうした事情からメインの治療にはしていません。もちろん、どんな方法もやってみないと分かりません。この方法が合っているという場合ももちろんありますので、毎回採卵数が2~3個以内で効率よくどんどん採卵したい方は一度はやってみても悪くはありませんが、タイムスパンとしては、少し効率的に治療できるかなくらいのものですので、そのあたりには注意が必要です。ということで、今日はDuo刺激についてお話してみました。今日はこの辺で。『Q&A2997 Duo刺激のトリガーは?』Q リプロ大阪通院、Duo刺激実施1回目の採卵が終わったところです。一昨日にHCG注射を打ちました。Duo刺激でも、HCG注射がトリガーで良かったでしょうか。…ameblo.jp