受付やメディカルアシスタトに引き続き、リプロダクションクリニック東京培養部がマンガの紹介や培養部のお仕事についてシリーズでお送りいたします。

 

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リプロダクションクリニック東京培養部です。


今回はマンガ雑誌週刊ビックコミックスピリッツで連載中の「培養士ミズイロ」についてご紹介いたします。こちらは医療漫画の中でも珍しく胚培養士をメインの題材にしており、実はリプロダクションクリニック東京が取材協力させていただいております。建物外観や内装などもモデルにしていただきました!

 

 

もちろん見た目だけでなく、作中に出てくる登場人物たちの仕事や治療症例も、実際に私たち培養士がラボで行っていることを基にしております。(作者のおかざき先生には取材のために何度もクリニックや学会へ足を運んで頂きました!)

そこで今回は「胚培養士ミズイロ」にあるシーンをいくつかピックアップして、それらのシーンが実際にはどのように行われているのか、当院のラボと比較してご紹介したいと思います。

 

管理人註:本記事中の画像は小学館にクリニックとして特別な許可を得てブログに掲載させていただいております。リブログやリンク等でご紹介いただくことは問題ありませんが、画像の無断転載・使用等は著作権上の問題が生じますのでご注意ください(ご遠慮ください)。


まず第2話から、精子を探すシーン。原精液ではなかなか見つからなくて、遠心分離機を用いていますね。
   



これは実際にも行われている手法です。一見無精子症に見える検体でも、遠心にかけて集めてみたら…ということが時折あります。


また同じ患者さんでも、日によって精子の数が大きく変わることもあります。主人公の水沢が「何回か検査することをお勧めします」と言っているのはこのためですね。


次は第3話のシャーレに培養液を引いてディッシュを作成する場面。



顕微授精を行う際は、まず卵子と精子を置くディッシュ(お皿)を作ります。穿刺用のニードルを動かすためのフィールドのようなものですね。これを丁寧に作ることで次の顕微授精の作業をスムーズに進められます。実際の写真はこちらになります。

 


授精に時間をかけすぎると卵にとってストレスになってしまうので、作業しやすい舞台づくりが、よりよい受精率を目指すためには重要になってきます。これは顕微だけではなく、通常の体外受精や採卵、精子調整にも言えます。培養士の仕事の多くは下準備、という風にも言えます。


最後に第5話、卵をきれいにするシーン。


 
 

これは顕微授精前に卵の周りにくっついている細胞を取り除く作業で、裸化と呼ばれています。酵素を用いて周囲の組織を柔らかくしつつ、ピペットで徐々に剥がしていきます。卵を傷つけたり強く吸引したりしてはいけないので、かなり繊細な作業です。我々も細心の注意を払って作業しています。


さて、いかがでしたでしょうか。


今回は一部のみをご紹介しましたが、実際のラボ業務にかなり忠実に描かれており、初めて読んだときはビックリしました! 私たち培養士は普段は皆さんの目に見えないところで作業していることが多いので、胚培養士ってどういう仕事しているのかよく分からない…という方もいるかと思います。


このマンガを読んで頂ければ、具体的にイメージしやすくなると思うので、ご興味のある方や培養士になってみたい方は是非ご覧になってみてくださいね!

リプロダクションクリニック東京 培養部

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ここまでのものではありませんが、ラボにはまだ何篇か書いてもらっていますので、順次ご紹介してまいります。面白かったよ、次も期待してますという方、ラボスタッフの励みになりますので、ぜひ「いいね」をお願いいたします! また、看護部、検査部にも部門紹介を鋭意作成中ですので、どうぞご期待ください。また、リプロのこんなこと知りたいよ、というご意見がありましたら、コメントでどうぞお寄せください。