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BLACK-SKY

ひとりごととか、小説だとか。

取るに足らない言葉たちの遊戯会。




クリストファー・ジェフリーは、ぼんやりとシャミーを見つめていた。

顔を輝かせ、意気揚々と身振り手振りを交えてベティ相手に何かを話すシャミー。


何の、話だろうか。

ふと興味が湧く。


そこで、耳を澄ませてみる。


興奮で声が上ずっているため、話を聞きとることは、さほど難しい仕事ではなかった。



「ほんとに?犯人が分かるの?」疑わしげに問いかけるベティ。


――犯人?


「そうなの。まだはっきりとは分からないんだけど、お母さんに占いを習うの」


――占い……


「そっか、シャミーのお母さん占い師だもんね!それで、どう?」

「今は水晶を習ってる。でも、全然見えるようにならないんだ」

「そっか……。頑張れ!あたし、応援するから」

「うん!ありがとう、ベティ」



――これはまずいことになった。


クリスは険しい表情を顔に浮かべ、歯軋りした。







                    ***







少年は焦っていた。とにかく焦っていて、焦っていて、冷静に頭を働かせることが出来なかった。


自分が犯人だと、シャミー・ブルータスに陰湿ないじめを施した犯人だと、知られてしまった――


――しかも、よりによってあいつに……!


一番見られたくなかった、あいつに!





シャミーは、家のソファに横になって、静かに憤慨していた。


またも「悪戯」された。

しかも、シャミーの好きな、音楽の曲集に。


それを発見したのは、今朝のことだ。

ベティと登校してくると、クリスが血相を変えて走ってきて、悪戯のことを知らせてくれた。

そして教室に赴くと、それはあった。

びりびりに引き裂かれた曲集の欠片の山。その上に落とされた「死ね」というメモ用紙。


――明らかに、犯人は私に恨みを抱いている。


――……でも、何で?何で?


自分の「能力」を恨む人、多才さを呪う人……

自分に何かしらの恨みを抱いている人を挙げ出せば、きりがない。



キャメル先生にも、犯人を探し出してくれる様精一杯懇願した。

でも、何故か真面目に取り合ってはくれなかった。


そして考えた結果シャミーは、自分で犯人を追い詰める他無いという結論に達した。


――でも、どうやって?


疑問は限りなく渦巻く。



「シャミー、おやつよ」

と、お母さんの声。

母のマーシー・ブルータスは、まだ歳も若く、シャミーの自慢のお母さんだった。

誰にも分け隔てなく優しく、時には頼れる。

そして、テレビの特集にも取り上げられる程の有名な占い師だった。


――……占い師?


――占い……。


――そうか!



シャミーは意気揚々と起き上がると、お母さんのもとへ駆け寄っていった。



「お母さん!お母さん!私に、占いを教えて!!」







                    ***







少年は勉強机に広げられた宿題を前に、次の「計画」を立てていた。


――前回は、社会の教科書に。今回は、音楽の曲集に。


――さて、今度は何をターゲットにしてやろうか。



椅子に座り、片手で拍子を取りながら少年は考え込む。



少年の目線の先には、写真立てがあった。

まだ若い少年の両親。その真ん中に笑顔で立っている、まだ幼き少年。随分前に撮られた写真だ。


……まだ幸せだった家族の写真。


でも、その幸せも、ほんの一時の儚いものだった。


その平和を、誰が壊したか?








間違いなく、あいつだ。


家族の平和が崩れたのはあいつのせい。


父さんが出て行ったのも、母さんがまるで別人に豹変してしまったのも、あいつのせい。


何もかも、あいつのせい。


あいつの――シャミー・ブルータスのせい。








「だから、悪く思うな」


そう言った少年の顔には、紛れもない激しい憎悪が浮かんでいた。







                     ***







殺してやる。殺してやる。殺してやる。


女はその目に狂気をみなぎらせて、呟く。


あいつは私の人生を台無しにしたのだ。全てを奪ったのだ。


だから殺されても文句はないはずだ。


女は怒りを顕わにし、なおも狂ったように呟き続ける。



でも、その、殺す為の方法というのが問題だ。


あいつを容易に殺すことなど出来ない。


それなら……。



女は「あいつ」を殺すのに、まさに打ってつけの方法を思い付いて、にやりと笑った。




マーシー・ブルータスは、二人の娘――シャミーと、その妹のマリーゴールド――と共に、ソファに腰掛けていた。


三人の視線の先には、テレビがある。

これから皆で、シャミーの出演したテレビを見るのだ。


待つこと数分、長いタイトルの付けられたその番組が始まる。


「お姉ちゃん、いつ出るの?何するの?」嬉しそうに、マリーゴールドが尋ねる。

「……『能力』を披露するんですって」マーシーは遠慮がちに言った。


マリーゴールドには、姉のシャミーとは違って、『能力』が全くなかった。

勿論本人はそのことを贔屓目に感じたりはしていないようだが――無理もない、まだほんの五歳なのだし、感じる余地もない――マーシーと彼女の夫は、そのことを非常に哀れに思っていた。


――可哀想なマリー。



「あっ、お姉ちゃんだ!」無邪気にマリーゴールドが言う。


番組は、『若干十歳にして脅威の才能を秘めた天才エスパー少女――シャミー・ブルータス』というタイトルのもと放送されていた。

内容はと言えば、シャミーがスタジオで披露する能力に皆で感嘆して意見を述べたり、シャミーの特技等を皆であれこれ聞きだし、天才だと誉めそやすようなものだった。


ごく普通で、中身のない、今時よくある番組だ。そうマーシーは思った。








                    ***






朝。


誰も教室にいないことを確かめると少年は、こそこそと教室に入った。


シャミー・ブルータスの机に両手を突っ込んで、まさぐる。

流石に昨日の今日なので、何も入ってはいなかった。


――まぁ、いい。こんなの、予想通りだ。


昨日悪戯されたばかりで、懲りずに置き勉をする方がおかしいのだ。


少年は後ろの方に向き直ると、ロッカーにシャミーの名前を探し始める。

そして、見つけた。


ロッカーから、音楽の教科書を見つけ、取り出す。

歌も上手くて、音楽の好きなシャミー・ブルータス。

だからこそ、悪戯のし甲斐があるというものだ。


少年は音楽の教科書を手に取ると、にやりと笑った。


――悪く思うなよ、「天才エスパー少女」。


――脅威の才能だなんて、笑わせる。


少年は思う。

あいつがちやほやされているのは、あいつの爺さんが有名な超能力者だからだ。

それなら僕だってちやほやされてもおかしくない。

なら、僕がちやほやされていないのは何故か――




――断じてあいつのせいだ。


――あいつのせいで、何が起こったか……。



「だから、悪く思うなよ」




僕だって、一方的に意地悪してる訳じゃない。


おあいこなんだよ。……いや、むしろ、まだお前の方が悪い。


おあいこになるまで、いや、それ以上になるまで、僕は「悪戯」をやめない。


分かるか?


覚悟してろよ、シャミー・ブルータス。



長々と呟いた後、少年は、ポケットから取り出したカッターナイフで教科書を真っ二つに引き裂いた。


教科書を、裂く。


裂く。


裂く。


なおも裂く。


跡形も無くなる程に。


やがて紙吹雪の如く細かく裂かれた教科書の欠片は、教室の隅に山のように積もった。


――これでいい。


少年は顔に、満面の笑みを浮かべる。


「悪く、思うなよ」


そして、あらかじめ書いておいたメモ用紙を、山の上にひらりと落とす。

そのメモにはこう書かれていた。


「死ね」







                    ***







あいつを殺したい、あいつを殺したい、あいつを殺したい――


女は狂ったようにそう呟いた。


女のいる部屋では、テレビがつけられている。

タイトルは、『若干十歳にして脅威の才能を秘めた天才少女――シャミー・ブルータス』。

イカれたタイトルだと女は思う。



四角く切り取られた世界の中で、憎きあいつが、シャミー・ブルータスが、宙にボールを浮かべながら笑顔をふりまいている。


――死ね死ね死ね。女はなおも呟く。


その笑顔が、憎い。憎い。憎い。とにかく憎い。


その笑顔を、その顔から永遠に拭い去ってやりたい。


あいつの存在を、この世から消し去ってしまいたい。


あいつを、出来るだけ残忍な方法で殺したい。



女は湧き上がってくる殺意を、空き缶を握り潰すという方法で、やっとの思いで堪える。それでも番組は消さなかった。





いつか、チャンスが訪れたなら……と、女は呟く。


いつかチャンスが訪れたなら。


いつかその時が巡って来たなら。


その時は、あいつを殺す。


絶対に。


どもです!





この前言ってたカレンダー飾ったぜ!!いぇーい音譜



今年はヴォルcだぃ (°∀°)b



それにしても来年の11月が楽しみですなドキドキ



まぁただの気持ち悪いオジサンだけどサ ・°・(ノД`)・°・



でもああ見えてピュアなんだいっ!((


純愛万歳だょ ♡ミo(^^o)(o^^)oミ♡



んきゃ恋の矢






ぁ、今日はじめて自分で前髪切った!ww



結構いぃ具合にぱっつんなったぜ☆ ≧(´▽`)≦



ぱっつんロングなりたぁい!!



今ゎぱっつんセミロングってとこですか・・・w




まぁそんな感じっ!





でゎ一旦ばぃ。



でもでもっw


夕方辺り、PC空いたらまたシャミーアイ更新しに戻ってくるょ!



んでゎ ピカチュウ旗振・黄じゃ    ←かわゅ



クラス中の目が、一斉にクリスに注ぐ。


シャミーも、クリスを見つめる。


――クリスがこんな酷いことしたの?



クラス中の目が注がれる中、なんとクリスは不敵にも、微笑んだ。

「リシェル、冗談はよせよ」

サンダーもクリスに微笑みかける。

「ほんの冗談さ、勿論」


何だ、という安堵の溜め息があちこちで漏れる。



「それで……結局、こんなことしたの、誰?」

ベティがほとんど独り言のように呟く。

「……」


恨みなんて、誰にだって持たれている。

私は皆に嫌われている。

だから、犯人の見当もつかない。

心当たりがある人物が多すぎて、犯人の見当なんて、つかない。


だから私はこう言った。

「……分からないよ」







                    ***







少年は、唯無表情で、自分が今朝施した「悪戯」について考えていた。


――それにしても、愚かな過ちを犯してしまったと、我ながら思う。


少年は、今更ながら考える。

「死ね」なんて、書くべきではなかった。もっと何か、分かりにくい、暗号のような言葉にすれば良かった。


次こそはもっと慎重にならねばならない。


今日は、危なかった。


もう少しで見抜かれてしまう所だった。

もう少しでばれてしまう所だった。


それにしても、我ながら機転がきいたと思う。


あの場面で微笑んでおいて、本当に良かった。少年は心からそう思う。