シャミーは、家のソファに横になって、静かに憤慨していた。
またも「悪戯」された。
しかも、シャミーの好きな、音楽の曲集に。
それを発見したのは、今朝のことだ。
ベティと登校してくると、クリスが血相を変えて走ってきて、悪戯のことを知らせてくれた。
そして教室に赴くと、それはあった。
びりびりに引き裂かれた曲集の欠片の山。その上に落とされた「死ね」というメモ用紙。
――明らかに、犯人は私に恨みを抱いている。
――……でも、何で?何で?
自分の「能力」を恨む人、多才さを呪う人……
自分に何かしらの恨みを抱いている人を挙げ出せば、きりがない。
キャメル先生にも、犯人を探し出してくれる様精一杯懇願した。
でも、何故か真面目に取り合ってはくれなかった。
そして考えた結果シャミーは、自分で犯人を追い詰める他無いという結論に達した。
――でも、どうやって?
疑問は限りなく渦巻く。
「シャミー、おやつよ」
と、お母さんの声。
母のマーシー・ブルータスは、まだ歳も若く、シャミーの自慢のお母さんだった。
誰にも分け隔てなく優しく、時には頼れる。
そして、テレビの特集にも取り上げられる程の有名な占い師だった。
――……占い師?
――占い……。
――そうか!
シャミーは意気揚々と起き上がると、お母さんのもとへ駆け寄っていった。
「お母さん!お母さん!私に、占いを教えて!!」
***
少年は勉強机に広げられた宿題を前に、次の「計画」を立てていた。
――前回は、社会の教科書に。今回は、音楽の曲集に。
――さて、今度は何をターゲットにしてやろうか。
椅子に座り、片手で拍子を取りながら少年は考え込む。
少年の目線の先には、写真立てがあった。
まだ若い少年の両親。その真ん中に笑顔で立っている、まだ幼き少年。随分前に撮られた写真だ。
……まだ幸せだった家族の写真。
でも、その幸せも、ほんの一時の儚いものだった。
その平和を、誰が壊したか?
間違いなく、あいつだ。
家族の平和が崩れたのはあいつのせい。
父さんが出て行ったのも、母さんがまるで別人に豹変してしまったのも、あいつのせい。
何もかも、あいつのせい。
あいつの――シャミー・ブルータスのせい。
「だから、悪く思うな」
そう言った少年の顔には、紛れもない激しい憎悪が浮かんでいた。
***
殺してやる。殺してやる。殺してやる。
女はその目に狂気をみなぎらせて、呟く。
あいつは私の人生を台無しにしたのだ。全てを奪ったのだ。
だから殺されても文句はないはずだ。
女は怒りを顕わにし、なおも狂ったように呟き続ける。
でも、その、殺す為の方法というのが問題だ。
あいつを容易に殺すことなど出来ない。
それなら……。
女は「あいつ」を殺すのに、まさに打ってつけの方法を思い付いて、にやりと笑った。