クラス中の目が、一斉にクリスに注ぐ。
シャミーも、クリスを見つめる。
――クリスがこんな酷いことしたの?
クラス中の目が注がれる中、なんとクリスは不敵にも、微笑んだ。
「リシェル、冗談はよせよ」
サンダーもクリスに微笑みかける。
「ほんの冗談さ、勿論」
何だ、という安堵の溜め息があちこちで漏れる。
「それで……結局、こんなことしたの、誰?」
ベティがほとんど独り言のように呟く。
「……」
恨みなんて、誰にだって持たれている。
私は皆に嫌われている。
だから、犯人の見当もつかない。
心当たりがある人物が多すぎて、犯人の見当なんて、つかない。
だから私はこう言った。
「……分からないよ」
***
少年は、唯無表情で、自分が今朝施した「悪戯」について考えていた。
――それにしても、愚かな過ちを犯してしまったと、我ながら思う。
少年は、今更ながら考える。
「死ね」なんて、書くべきではなかった。もっと何か、分かりにくい、暗号のような言葉にすれば良かった。
次こそはもっと慎重にならねばならない。
今日は、危なかった。
もう少しで見抜かれてしまう所だった。
もう少しでばれてしまう所だった。
それにしても、我ながら機転がきいたと思う。
あの場面で微笑んでおいて、本当に良かった。少年は心からそう思う。