見栄っ張り
寒々とした空の下、空元気で誰とも会わないようにひたすら走って当下校。呼び止められたくない。
そう思いながら、こっそり遠くに通うのが疲れて、近くの塾で冬休みは過ごそうと申し込んでいると…
「おーぃ」
しまった見つかったか。
「最近みかけないけど、何申し込んだの?ちょっと見せてよ」
「ダメ!!」
抵抗虚しく、受講票を奪われ見られてしまう。
「すごーい!!受けるの?」
だから受けるだけじゃ凄くないって…
確かにどっかで見返してやりたいという気持ちもあったけど…でも、それより、誰もいない遠くの街に行く正当な理由がほしかっただけだ。
卒業式はそんな受験の発表の前にある。当然ちゃ~当然だが、私立も受けずにどこにも行かずに、私は足切りにあう。無様だ…
でも、笑顔を絶やすな!受けようとしたの見つかってしまったんだから、あくまでも結果待ちで分からない振りをするんだ。
なんか演じるのも演じるで楽しかった。
謝恩会は立食パーティーだった。全クラスが集まってすごい数になり訳が分からない。そんな中、授業の仲良しグループと気楽に話しながら食べる。
何となく男女で話すのはまた気が引ける雰囲気。いつもお調子者だったK君までが静かに料理を取り分けて配っている。あれ?最近、何かあったのかな。ちょっとみない間に影がある感じになって。でもここで知ってるのに知らん顔も変だし、いつものようにやってればいいと思い、話す。みんな和やかになる。久しぶりに一年の頃の友人もくる。Kちゃんもくる。みんなで記念撮影する。クラスメートと三人で撮る。やっぱりこれが一番自然だよね。
一年の頃の片思いの人も見つけ、せっかくだから写真もお願いする。心よく了承。
「ねぇ、あの人と知り合いだったんだ~!優しくてイイヒトだよね。」とKちゃん。
「うん、実は今だから言うけど好きだったんだ。」
「え~!良かったじゃん!!」
「後で写真送ってみようかな~」
大して期待もせずに、手紙と写真を送る。
すると…すぐに返事が届く。
「最近お天気もいいし、外でお散歩なんていかがですか?」
飛び上がるくらい喜ぶ私。まさにビックリ!パソコンのメアドまである。
すぐにお返事を書く。今度の土日いかがですかと。すぐに決定した。
横でおかしそうに母が笑ってる。白いセーターで家を出た。
ヤケクソ
あともう一年、もち上がりのクラス。ホームルームが同じくらすなだけ、とは言え好きな人が側にいるのは辛い。
吹っ切りたくて私は遠く離れた東京の塾まで通うことにした。ここまでくれば会って気まずい事もないだろう。
予備校の本社の門を叩く。流石東京!
電車もお洒落ですごいし、山手線にはテレビまで付いてる。ウォークマンでお気に入りの槇原の曲を聴く。こんな恋したかったなあ…。でも今は…
髪をバッサリ切り、普段はしてないメガネを常時掛ける。それだけで私と空間が分けられたような気分になる。ウォークマンの音楽が私だけの空間を盛り上げてくれる。
東京は知っている人がいないから殆ど会話どころか声を出さない。だからみんなクールに見えるんだな。
誰かの恋愛論の本が目に止まる。なになに…一人でランチ出来る人はカッコいいらしい。じゃ、とりあえず、マックからかな。
いつも友達としか行かない所。でもこれが不思議な事に浪人生なのか、一人の学生らしき人が多い。
マックはなれたので他のファーストフード、牛丼屋、中華料理のランチに行 ってみる…
すごく男の子の気持ちがわかった気がした。結構孤独だなあ、これ。でも、楽なのと自分の目的のタメだけに過ごすのって楽しい!今度恋をする事があったら、格好じゃなく、二人だけでゆっくり何処へでもいけて、自分だけを見てくれて、一緒にいられる人にしようと思った。
船の上の出来事
「LADYS And Jentleman~♪」![]()
ドラムロールに周りが急にざわつきだした。
「なんだ、なんだ~!!ヽ(゚◇゚ )ノ」
私も辺りをきょろきょろしていると
「HEY!YOU~!」
と・・・外人さんと目があい、手招きされた。
「え?私」
とまどっていると、そのまま手を引っ張られ
気が付いたらウクレレを弾いてたおじさんに
舞台の中央まで連れて行かれた。
「一緒にタノシク踊ろうよ♪」
確かに私のテーブルでは女の子七人、みんな乗り気じゃない。
私も、クラスメイトを目で追っていたのでつまんなそうに見えたのかな。
でも、おじさんはとても陽気で、その目を見ていると引き込まれる感じだ。
「でも・・・ちょっと恥ずかしいし、1人じゃ無理です。誰か他の人も・・・」
本当はあの人と二人で踊れたなら最高だけど・・・。
周囲はみんなこっちをみている。ここは仕方ない、。
そばにいた友人を誘った。
音楽が鳴り出し、軽快なリズムを奏でる。
いつの間にかみんなを巻き込んで、輪になって踊った。
「今度は日本人でも分かる楽しい曲を踊ろうよ♪」
「WMCA!WMCA!」
最上秀樹がカバーした曲。英語だけど曲は分かる。
踊ってると楽しくなってきていつの間にか切ない気持ちも忘れた
後ろを見ると、あの子も楽しそうに踊っていた。
「とっても楽しいね~!!」
ひたすら踊りまくった
・・・丁度そのことを
修学旅行から帰ると、クラスメイトは覚えていてくれた。
「あの時はまるで・・・勇者みたいだったよ!(笑)」
すごく嬉しそうに話してくれる。ちょっと得意げな私。
ホントは君を誘いたかったのにな、なんて心の中でつぶやく。
ふと、かばんの中に残っていたインスタントカメラのことを思い出す。
「ねぇねぇ、このまま現像出すのもったいないから一緒にとらない?」
丁度クリスマスの時期、街はイルミネーションがきれいだった。
小さいころから、恋人と歩くのが夢だった私。
友達だとしてもそんな中を好きな人と歩けて、
写真まで撮れたなら、すごく幸せだなあと。
「いいよ。」
そんな気持ちをしらない友人は元気に答える。
「それじゃあ、ハイ!チーズ!!」
そのときなぜか二人っきりで撮った。
いつも他の友人もいるから、よく撮れたなぁって、
今でも不思議なんだけど・・・したからのアングルで
下膨れな感じの二人(爆)
でも、めちゃめちゃ笑顔だった☆
楽しくて、いつまでも一緒にいたくて、
そんな理由だけで好きになった。
じきにクリスマスになり、なにかあげたくて、
でも気持ちがばれないようにそっと
友人たちにもチーズケーキを作った。
張り切って観劇教室の時、かぼちゃのパイを作りすぎたら
沢山あまっちゃって、塾にも持っていったらすごく喜んでたから。
そのときに甘いのは苦手だといってた。
チーズケーキならいいかなぁと。
普通にあげればいいのに、非常に不器用なラッピングをする。
もしかしたら、ばれてないと気づいていないのは私だけかもしれない。。
すごくプレゼント攻撃をしてしまう私。
気持ちが一杯になっちゃうと伝えられずにはいられないのかな・・・
そうして、学期終了間近、いつもなら普通にさよならするのに
「今日は○○駅まで乗ってきてよ~!
Kちゃんとは長話してるじゃん~。私とも付き合ってよ~(笑)」
って無邪気なわがまま風に言ってみた。
優しいから付いてきてくれた。
「冬休み始まると終わっちゃって会えないから寂しいな~。」
「どうせ会うじゃん(笑)また講習で。」
「でも寂しいよ~!冬休み中遊ぼうよ~!!」
ずーっと奥手の私も、長い付き合いで何でも冗談にして言いやすい。
「じゃあ、いいよ~!」
思ってみない反応![]()
「じゃー絶対だよ~
」
映画にいくことになった。
岡村隆主演のコミック系の映画『無問題(もうまんたい)』にいくことになった。
でも、ここから一時間半以上は電車に乗らないと、やってるところがないらしい。
「大丈夫、大丈夫!」
深く考えてない私。とにかくいけることになったこと自体が嬉しい♪独り占めだぁ!
「それに、人気出てきたらどこか近くでもやるかもしれないじゃん♪」
終業式の日の学校帰りにやっぱり行くことになった。
当日、いつも友達と寄り道するときだけ通る並木道を、今日は二人で歩く・・・
ざわざわと紅葉した葉がきれい。。
すごく気持ちいい。夏ころは大学見学のために他の男の子と歩いたこともある。
今度は私の好きな人。
ホントにたまに、付き合っているカップルが人目を避けるようにして通る道。
だから同じ高校の人と会うことはめったにない。少し優越感。
もう、なにもいらないって感じだ。
帰る途中の大きい駅に映画館がある。でも、そこでは違う映画がやっていた。
「やっぱりやってなかったか・・・」
「どうしよう?」
「せっかくだし、ここで今やってるの見に行こうよ。」
「そうだね、やっぱ新宿遠いしね。」
中に入ると、いつも憧れてた映画館。
なんか一緒に来れるの夢見たい。
内容はホラーだった。すごいジャンルの変わり方(笑)
結構楽しかったのだけどこういうとき怖がった方がかわいいのかな?
って余計なこと考えて、怖がろうとしてしまう私。
そんなことしていたら、「遅いし、もうかえろっか。」ってことになってしまった。(ノ_-。)
ようやく取り付けたデートもそんな感じで、おばかな私は機会を見逃す。
今度だめだったらあきらめるしかない。
そうして最後のチャンスだと思ったバレンタイン![]()
途中の駅で一緒に降りてようやく渡せた。
「ハイ、あの、これ作ってみたの、食べてみて。
・・・・・・・・・・・義理だからね~!(笑)試作品なの。じゃーね!」
あ~あ・・・又やっちゃった。
もうだめだ・・・・
どうみても、中身は一生懸命作ったチョコなんだけど、きっと鈍感だから気づいてくれないよ(;^_^A
その後、普通に時が過ぎて、三月のホワイトデー間近も一応
気合入れてみたけど何事もなくすぎ、春講習。
「おーい!かえろー!」
Kちゃんとの話に夢中なクラスメイト。はたと気づく。
『なんとも思われてないな・・・私。もうあきらめたほうがいいよ』
いつもなら三人一緒に帰るけど、諦めて1人先に電車で帰る。
電車の中、そっとウォークマンのイヤホンを耳に当てた。
槇原敬之のDARINGが流れる。
幸せそうな二人。こんな風に付き合えたらよかったな。
こらえきれず、涙を一滴流す。
でも、私の決意は固い。恋愛がだめなら勉強がある。
私はもう一つの目標、受験目指すことにした。