恋愛手帳 -27ページ目

どうする私…

K君は東京の大学に行くらしい。
そのためウェイターでお金を貯めている、もうすぐ貯まるよといった。
日が暮れてきた。再び駅の方に向かって歩き出す。流石に革靴は痛かったよとK君。これからバイトだってのに、懐かしさの余りに夢中で歩いてきてしまったらしい。

やっぱりK君らしいなと思った。一年の頃も、遠くにN君を見つけ手を振ると、必ずその横にいるK君が大きく手を振る。最初は君じゃなくて…と苦笑いしたけど、でもその無邪気さが憎めなくなった。入学式の事件から随分クラスの女子に警戒されていたK君。きっと軽い人だから気を付けなよと日が浅いのに噂ばかりが先行してた。私もそんな話を聞いて話しかけられても素っ気なくしてしまったのに、いつもK君のペースは変わらない。気の毒になり、語気が優しくなる。K君は裏表ないだけなのだ。

またそんな一面をみた気がした。今日を過ぎればもう会うことはない。寂しい。
K君とN君が番号を交換する。私はN君の手前聞けない。
そして、K君は手を振る。
「それじゃあ、お二人さん、仲良くね!」颯爽と去っていくK君。前に偶然帰り道で、こうして三人で会ったことがあった。駅の改札でその時も、
「Nさん、影では人気があったんだよ~!なあN君もそう思うよなあ」なんて気の利いた事言ってくれた。何となく私の恋心を分かってくれていて、くっつけようと気を遣ってくれていたのだと思う。でも、私は知っていた。セミナー合宿の時も、具合が悪くなって一人部屋まで帰る私を送ってくれた。写真を撮ろうとふざけながら追いかけ回したK君…君はなんて良い奴なんだよ。そこまでされちゃ私…もうN君のことより君が…
行ってしまった。二人取り残されてしまった私達。喫茶店に入る。

奇妙な三人旅

最近話してなかったK君。一年から同じクラスだったけど、N君の方はクラスが変わってしまって随分久しぶりだった。この偶然の再会に驚き、歩きながら話を続ける。
「で?これからどこ行くの?」
「まだ決まってないよ~!」
「せっかく会えたしこのまま一緒にどう?」
「二人が良いなら」
「全然良いよ~!私達も偶然会っただけだし。ねぇ!N君」「そう…そこで偶然会っちゃって(笑)」
変に気を遣う私。別に付き合ってる訳でもないしと。N君もどうやらそれに乗り気だった。
「じゃ、このまま俺も付いて言っちゃおうかな~!本当にいいの?」
「いいよ~!」
二人でハモる。
一年生の頃の昔話を始めた。あの頃の担任の先生、今じゃ学校で嫌われてるけど、本当は良い先生だよね~!そう、俺達の時は良かったよな~!みんなで一年の頃に帰りたいと話した。あの頃はみんな仲良くて良かったよねと。
海の方まで随分歩いた。公園に石のテーブルと椅子がある。それ以外に何もないのに、まるで一年の時に戻ったみたいに、丁度教壇のような石もあるのでそこに登って先生の物真似をしたりして…
そんな事をしていると懐かしさで一杯になる。
ふと「ねぇ~!K君ってやっぱり良い奴だなあって思うけど。どうして入学式の時にあんなこと言ったの?」
「それはコイツのせいなんだよ~ねぇN君!」
「うん(笑)」
「小声で変なギャグ言ってるなあって思って思わず繰り返しちゃったら…嫌な奴がはやし立てるから…俺一人悪者扱い(笑)あれはキツかった」
「本当に本当?!そうだったんだ~!そうとは知らず、色々ごめんね」
ホッとした。みんなで笑った。最初からK君を嫌う理由はなかったんだと。最後の最後に誤解も解けて、この偶然に感謝した。

偶然の再会

待ち合わせは最初に二人で会った○○駅。春休みに入って最初の日曜日。四月から予備校に通うことになったのでこの貴重な休みを大切に使おうと意気込んだ。
既に付いているN君。
「やあ!」
ぱあっと笑顔を輝かせ、どこにいく?お天気も良いしブラブラしようっかって事にする。広い歩道橋を渡り階段を下りる。ただのクラスメートだし、この駅を二人きりで出たことはない。何かが起こる気がしてワクワクした。
階段を下りて数歩歩くと、
「おーい!そこのお二人さ~ん」急に呼び止められた。K君だった。黒スーツに黒の革靴。全身ビシッと決めてこれから出掛ける格好だった。