高齢親の囲い込み解消コンサルタント、公認会計士・税理士の白岩俊正です。
私は、高齢になり介護を受けるようになった親を、きょうだいの一人が囲い込み、他のきょうだいに会わせない――いわゆる「高齢親の囲い込み」でお困りの方をサポートしています。
自己紹介など
1. 自己紹介
https://www.ameba.jp/profile/general/release-advisor/
2.高齢親の囲い込み問題について体系的な説明(ChatGPT DeepResearchより)
https://ameblo.jp/release-advisor/entry-12919635429.html
3.出版済の電子書籍キンドルリストはこちら
https://ameblo.jp/release-advisor/entry-12920372756.html
4.無料オンライン相談(30分)を受付しております(2025/7時点)。詳しくは以下のホームページをご覧ください。
24.ケアマネ・包括支援センターの役割と限界 (高齢親の囲い込み問題の視点から)
1. はじめに
高齢の親を介護するとき、多くの家庭が関わるのが「ケアマネジャー(介護支援専門員)」と「地域包括支援センター」です。
これらは介護保険制度の中で重要な役割を果たしており、介護サービスの計画づくりや相談窓口として、多くの家族を支えています。
しかし現実には、「思ったほど助けてもらえなかった」「囲い込みの相談をしたのに動いてくれなかった」と感じる方も少なくありません。
この記事では、両者の役割と限界を整理し、どう付き合えばよいかを解説します。
2. ケアマネジャーの役割
ケアマネジャーは、介護保険制度の要にあたる存在です。
主な役割は次の通りです。
- 要介護認定を受けた利用者の介護サービス計画(ケアプラン)を作成する
- サービス事業者との調整、契約手続きのサポート
- 利用者や家族の相談に応じ、状況に応じてプランを変更する
- サービスの利用状況や生活状況を定期的にモニタリングする
ケアマネはあくまで「介護保険サービス利用の調整役」であり、本人や家族の暮らし全体を包括的に管理するわけではありません。
また、ケアマネは事業所に所属しているため、その事業所の方針や提供できるサービスの範囲に制約を受けます。
3. 地域包括支援センターの役割
地域包括支援センターは、市区町村が設置する公的な相談窓口で、保健師・社会福祉士・主任ケアマネなどの専門職が配置されています。
役割は大きく分けて次の3つです。
- 高齢者の総合相談(介護・医療・福祉・生活全般)
- 権利擁護(成年後見制度、虐待防止、消費者被害防止など)
- 介護予防ケアマネジメント(要支援者や事業対象者への支援)
包括支援センターは行政に近い立場のため、介護保険の枠を超えた相談にも応じます。
特に虐待や権利侵害が疑われるケースでは、必要に応じて関係機関と連携します。
4. 囲い込み問題に対する両者の対応
高齢親の囲い込みとは、きょうだいの一人などが高齢の親を自宅や施設で事実上独占し、他の家族との面会や連絡を遮断することを指します。
これは介護現場でも実際に起こりうる深刻な問題です。
しかし、ケアマネ・包括支援センターがこの問題に対応できる範囲は限られています。
- ケアマネの場合
ケアマネの業務はあくまで介護サービス利用の調整であり、家族間の争いを仲裁する権限はありません。
面会制限や囲い込みがあっても、介護サービスの契約者(多くは同居家族)がそれを望まない限り、介入は難しいのが実情です。 - 包括支援センターの場合
虐待(身体的・心理的・経済的)が明らかな場合や、その疑いが強い場合は介入します。
ただし「面会を拒否されている」というだけでは、直ちに虐待と判断されるとは限らず、慎重な事実確認が行われます。
そのため、相談しても「家庭内の問題」として扱われ、動きが鈍いと感じることもあります。
5. なぜ限界があるのか
両者に共通する限界は、法的な強制力を持たないことです。
- ケアマネは介護保険制度の契約ベースで動くため、利用者(契約者)が望まないサービスや関係調整はできません。
- 包括支援センターは行政的な立場に近いものの、立ち入りや調査には法的根拠が必要で、家族間トラブルに直接介入できる権限は限定的です。
また、囲い込みは往々にして「表向きは介護」「実際は支配や排除」という複雑な構造を持つため、外部から見えにくいのも原因です。
6. 相談するときのポイント
限界があるといっても、ケアマネや包括支援センターは重要な相談先です。
ただし、効果的に動いてもらうにはポイントがあります。
- 事実を時系列で整理する
「いつ」「どこで」「誰が」「何をしたか」を客観的に伝えることが大切です。 - 証拠を確保する
メールや録音、訪問記録などがあれば説得力が増します。 - 感情より事実を優先する
怒りや悲しみは理解されますが、具体的事実がないと動きづらくなります。 - 他機関との連携を提案する
包括支援センターが動かない場合は、警察・弁護士・成年後見制度など他のルートも併せて検討することが必要です。
7. 専門家としての提言
私は「親は家族みんなのもの」という立場から、囲い込みを防ぐには次の3点が重要だと考えます。
- 早期相談
面会制限の兆しが見えた段階で、ケアマネや包括支援センターに情報共有しておく。 - 複数機関の同時活用
包括支援センターだけでなく、行政の高齢福祉課、弁護士、医療機関なども並行して関与させる。 - 記録と証拠の積み上げ
「事実の積み重ね」が、最終的に第三者を動かす力になります。
8. おわりに
ケアマネや地域包括支援センターは、高齢者と家族を支えるために存在する重要な制度です。
しかし、彼らに万能な解決力を期待すると失望します。
彼らの役割と限界を理解し、こちら側も準備と戦略を持って相談することが、解決への第一歩です。
高齢親の囲い込みは、時間が経つほど事態が固定化しやすい問題です。
早めに情報を集め、複数の視点から行動を起こすことで、親の尊厳と家族のつながりを守ることができます。
ブログのご紹介
ブログ主宰 しらいわ は以下のブログも作成しています。併せてご覧ください。
1. 自己愛性ハラスメント対策室 ~ 感情的な人に振り回されている方向け~
2. 高齢親の囲い込み 解放アドバイザー ~ 介護が必要になった高齢親が自分以外のきょうだいに囲い込まれて会えなくなった方へ~
3. 家族心理学・家族療法スクール オンライン ~ 家族関係に悩む方や支援職のための学びの場。家族との距離の取り方や関係性の見直しに役立つ知恵を、心理学の視点から発信
4. あなたのメンタルを守りたい (休止中)~心が少し軽くなるメンタルケアの情報を発信中~
5. インナーチャイルド解放コーチ しらいわとしまさ (休止中)幼少期の心の傷が未処理のため大人になっても生きづらさを感じる方へ
6. 感情の地図 〜EQナビゲーターが届ける“心の航海術”(休止中)~感情と向き合う「心の航海術」を発信中
7. 女性起業家×アドラー心理学(準備中)