高齢親の囲い込み解消コンサルタント、公認会計士・税理士の白岩俊正です。


私は、高齢になり介護を受けるようになった親を、きょうだいの一人が囲い込み、他のきょうだいに会わせない――いわゆる「高齢親の囲い込み」でお困りの方をサポートしています。

 

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24.ケアマネ・包括支援センターの役割と限界 (高齢親の囲い込み問題の視点から)

 

1. はじめに

 

高齢の親を介護するとき、多くの家庭が関わるのが「ケアマネジャー(介護支援専門員)」と「地域包括支援センター」です。
 

これらは介護保険制度の中で重要な役割を果たしており、介護サービスの計画づくりや相談窓口として、多くの家族を支えています。

 

しかし現実には、「思ったほど助けてもらえなかった」「囲い込みの相談をしたのに動いてくれなかった」と感じる方も少なくありません。
 

この記事では、両者の役割と限界を整理し、どう付き合えばよいかを解説します。

 
 

 

2. ケアマネジャーの役割

 

ケアマネジャーは、介護保険制度の要にあたる存在です。
 

主な役割は次の通りです。

  • 要介護認定を受けた利用者の介護サービス計画(ケアプラン)を作成する
  • サービス事業者との調整、契約手続きのサポート
  • 利用者や家族の相談に応じ、状況に応じてプランを変更する
  • サービスの利用状況や生活状況を定期的にモニタリングする

ケアマネはあくまで「介護保険サービス利用の調整役」であり、本人や家族の暮らし全体を包括的に管理するわけではありません。
 

また、ケアマネは事業所に所属しているため、その事業所の方針や提供できるサービスの範囲に制約を受けます。

 

 

3. 地域包括支援センターの役割

 

地域包括支援センターは、市区町村が設置する公的な相談窓口で、保健師・社会福祉士・主任ケアマネなどの専門職が配置されています。
 

役割は大きく分けて次の3つです。

  1. 高齢者の総合相談(介護・医療・福祉・生活全般)
  2. 権利擁護(成年後見制度、虐待防止、消費者被害防止など)
  3. 介護予防ケアマネジメント(要支援者や事業対象者への支援)

包括支援センターは行政に近い立場のため、介護保険の枠を超えた相談にも応じます。
特に虐待や権利侵害が疑われるケースでは、必要に応じて関係機関と連携します。

 
 

 

4. 囲い込み問題に対する両者の対応

 

高齢親の囲い込みとは、きょうだいの一人などが高齢の親を自宅や施設で事実上独占し、他の家族との面会や連絡を遮断することを指します。
これは介護現場でも実際に起こりうる深刻な問題です。

 

しかし、ケアマネ・包括支援センターがこの問題に対応できる範囲は限られています。

  • ケアマネの場合
    ケアマネの業務はあくまで介護サービス利用の調整であり、家族間の争いを仲裁する権限はありません。
    面会制限や囲い込みがあっても、介護サービスの契約者(多くは同居家族)がそれを望まない限り、介入は難しいのが実情です。
  • 包括支援センターの場合
    虐待(身体的・心理的・経済的)が明らかな場合や、その疑いが強い場合は介入します。
    ただし「面会を拒否されている」というだけでは、直ちに虐待と判断されるとは限らず、慎重な事実確認が行われます。
    そのため、相談しても「家庭内の問題」として扱われ、動きが鈍いと感じることもあります。
 

 

5. なぜ限界があるのか

 

両者に共通する限界は、法的な強制力を持たないことです。

  • ケアマネは介護保険制度の契約ベースで動くため、利用者(契約者)が望まないサービスや関係調整はできません。
  • 包括支援センターは行政的な立場に近いものの、立ち入りや調査には法的根拠が必要で、家族間トラブルに直接介入できる権限は限定的です。

また、囲い込みは往々にして「表向きは介護」「実際は支配や排除」という複雑な構造を持つため、外部から見えにくいのも原因です。

 

 

 

6. 相談するときのポイント

 

限界があるといっても、ケアマネや包括支援センターは重要な相談先です。
ただし、効果的に動いてもらうにはポイントがあります。

 

  1. 事実を時系列で整理する
    「いつ」「どこで」「誰が」「何をしたか」を客観的に伝えることが大切です。
  2. 証拠を確保する
    メールや録音、訪問記録などがあれば説得力が増します。
  3. 感情より事実を優先する
    怒りや悲しみは理解されますが、具体的事実がないと動きづらくなります。
  4. 他機関との連携を提案する
    包括支援センターが動かない場合は、警察・弁護士・成年後見制度など他のルートも併せて検討することが必要です。
 

 

7. 専門家としての提言

 

私は「親は家族みんなのもの」という立場から、囲い込みを防ぐには次の3点が重要だと考えます。

  • 早期相談
    面会制限の兆しが見えた段階で、ケアマネや包括支援センターに情報共有しておく。
  • 複数機関の同時活用
    包括支援センターだけでなく、行政の高齢福祉課、弁護士、医療機関なども並行して関与させる。
  • 記録と証拠の積み上げ
    「事実の積み重ね」が、最終的に第三者を動かす力になります。
 

 

8. おわりに

 

ケアマネや地域包括支援センターは、高齢者と家族を支えるために存在する重要な制度です。
 

しかし、彼らに万能な解決力を期待すると失望します。
彼らの役割と限界を理解し、こちら側も準備と戦略を持って相談することが、解決への第一歩です。

 

高齢親の囲い込みは、時間が経つほど事態が固定化しやすい問題です。
早めに情報を集め、複数の視点から行動を起こすことで、親の尊厳と家族のつながりを守ることができます。

 

 

 

 

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