高齢親の囲い込み解消コンサルタント 白岩俊正、公認会計士・税理士です。

 

高齢になって認知症や病気が進んで判断力や思考力、行動力が落ち子どもたちの介護を受けるようになった親を、子どもたちの一人が囲い込み、他の子どもたち(きょうだい)に会わせないようにしている方のご支援をしています。

 

 

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親を独占するきょうだいに対する憎しみとの向き合い方

―「会えない怒り」と「会いたい気持ち」のはざまで―

 

「親に会いたい。でも、あのきょうだいの顔を見ると、怒りがこみ上げる。」

 

これは、高齢の親が一人の子どもによって囲い込まれ、他のきょうだいが自由に会えなくなっている家庭で、しばしば聞かれる心の叫びです。
 

公認会計士・税理士として相続実務に携わりながら、「高齢親の囲い込み問題」に向き合ってきた私は、この問題に悩む多くの方とお話ししてきました。

 

この記事では、親を独占するきょうだいに対する「憎しみ」という感情にどう向き合えばよいのか。
冷静に、でも心に寄り添いながら整理していきたいと思います。

 
 

 

なぜ「憎しみ」が湧いてくるのか? その感情の正体

 

きょうだいに対する怒りや憎しみは、ただの「嫉妬」や「競争心」ではありません。
それはもっと深い、関係の遮断という体験から生まれています。

 

たとえば、こんな状況を想像してください。

  • 長年連絡を取り合っていた母親に、急に電話がつながらなくなった
  • 認知症の兆候が出ているのに、介護の状況を全く教えてもらえない
  • 面会に行こうとすると、「母が会いたがっていない」と一方的に言われる
  • 実家に行っても玄関すら開けてもらえない

こうした経験を重ねると、私たちは次第に「きょうだいに奪われた」「親子関係を壊された」と感じ始めます。
そして、その苦しみの矛先が、親を独占するきょうだいへの憎しみとなって現れるのです。

 
 

憎しみを抑え込もうとしないでください

 

「こんなこと思ってはいけない」

「もっと冷静にならなきゃ」
 

そう思って感情を押し殺す方も多くいます。でも、憎しみを感じるのは自然なことです。

なぜならそれは、愛しているからこその痛みだからです。

 

親に会えないことが苦しい。
親がどうしているのか分からないのが不安。
何より、「親と自分の絆」が勝手に遮られたことが、つらい。

 

このつらさの裏返しが「怒り」であり、「憎しみ」なのです。

感情を無理に抑え込むのではなく、「私はいま、こういう気持ちなんだ」と認めてあげてください。
誰かに話すこと、紙に書き出すことも有効です。感情の出口をつくってあげることが、まずは大切です。

 
 

 

では、憎しみをどう扱うか?

 

感情を認めたあと、次に考えたいのは「その憎しみとどう付き合うか」です。
 

ここで重要なのは、憎しみを行動原理にしない、ということ。

憎しみに任せて相手を責めたり、強引に親と接触しようとすると、相手はますます防御的になります。
 

結果として、親との距離はさらに遠のいてしまいます。

 

では、どうすればいいのか?

以下のような「憎しみとの向き合い方」があります。

 

 

1. 「会いたい」という本音に立ち返る

 

憎しみの奥には、親に会いたいという切なる願いがあります。
そこに立ち返って、「自分はどうしたいのか」を整理しましょう。

  • 母の様子を知りたい
  • 直接声を聞きたい
  • 誕生日だけでも手紙を渡したい

このように、自分の願いをポジティブな形で言語化することが、感情の整理に役立ちます。

 

 

2. 「きょうだいと戦う」から「親に届く方法を探す」へ

 

囲い込みをするきょうだいと正面からぶつかるのではなく、親に気持ちを届ける別のルートを探す視点が重要です。

たとえば、

  • 親宛ての手紙を送る
  • 地元の民生委員や包括支援センターに状況を伝える
  • 弁護士を通じて、意思確認や安否確認を求める

など、「直接対決以外のアプローチ」を考えることで、無力感から脱するきっかけになります。

 

 

3. 専門家のサポートを借りる

 

感情がどうしても抑えられず、日常生活に支障をきたしている場合、心理カウンセラーや弁護士・士業の専門家に相談することも選択肢の一つです。

親子関係・きょうだい関係に伴う感情は、とても複雑です。
一人で抱え込まず、「話していい場所」「整理できる場」を持つことが大切です。

 

 
 

 

親もまた、板挟みの中にいるかもしれません

ここで少し視点を変えてみましょう。

 

親は、なぜ自分に会わせてくれないのか。
本当に「会いたくない」と思っているのか。

 

現実には、親自身がきょうだいの影響下にあって、本音を言えない状況も少なくありません。

 

  • 認知症や体調不良で判断力が落ちている
  • 特定の子どもに依存してしまっている
  • 他のきょうだいに対して気まずさや罪悪感がある

 

こうした状態では、親自身が「他の子に会いたい」と言えなくなってしまうこともあります。

だからこそ、親の尊厳を守る形でアプローチすることが重要なのです。

 

 

最後に:あなたの愛は、きっと親に届いています

 

会えない日々が続くと、「自分の存在が忘れられていくのではないか」という不安に襲われることがあります。

 

でも、忘れないでください。

あなたが親を思い、会いたいと願い、苦しみながらも行動を起こそうとしているその気持ちは、紛れもなく「愛」です。
そしてその愛は、きっと何らかの形で、親に届いています。

 

たとえ直接会えなくても、手紙を書き続ける。
弁護士に手を借りて安否を確認する。
静かに、でも諦めずに関わり続ける。

 

そうした行動の積み重ねが、未来を変える可能性を生み出します。

 

 

 

「親は家族みんなのもの」という信念を忘れずに

 

きょうだいの誰かが親を独占してしまうと、心は深く傷つきます。
 

でも、「親は家族みんなのもの」という視点を失わないでください。

あなたにも、親とつながる権利があります。
その思いを正しく届ける方法は、必ずあります。

 

そして、怒りや憎しみと向き合うことは、あなた自身の心の回復にもつながります。
どうか一人で抱え込まず、必要な支援を受けながら、自分と親との絆を大切に守っていってください。

 

 

必要であれば、この記事をもとにした相談やサポートも承っています。
あなたと親との再会が、少しでも早く実現することを心から願っています。

 

 

 

ブログのご紹介

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2. 高齢親の囲い込み 解放アドバイザー  ~ 介護が必要になった高齢親が自分以外のきょうだいに囲い込まれて会えなくなった方へ~

3. 家族心理学・家族療法スクール オンライン ~ 家族関係に悩む方や支援職のための学びの場。家族との距離の取り方や関係性の見直しに役立つ知恵を、心理学の視点から発信

 

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