公認会計士・税理士、高齢親の囲い込み解消コンサルタント 白岩俊正/静岡市・オンラインです。
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はじめに:「親のために」と言うけれど…
「親のために、施設に入れました」
「親のために、面会は制限しています」
「親のために、情報は私ひとりで管理します」
こうした言葉、あなたのまわりでも聞いたことはありませんか?
一見、とても親孝行で立派に聞こえるこのフレーズ。しかし、その「親のため」という言葉の裏には、ときに“親の意思”を無視した「子どもによる支配」が隠れていることがあります。
今回は、高齢の親を巡って起こるこの微妙な対立──**「親の意思」vs「子どもの支配」**というテーマについて掘り下げてみましょう。
親の意思はどこへ行ったのか?
高齢になっても、認知症の初期であっても、親は自分の人生を生きています。
たとえ判断力が少し衰えていても、「誰と会いたいか」「どこに住みたいか」「どんな暮らしがしたいか」といった意思は、本来尊重されるべきです。
ところが、こうした意思が家族の中で無視されてしまうケースが後を絶ちません。
たとえば…
- 「うちの親はボケてるから、何を言っても無駄」と決めつけられる
- 「あの兄弟(姉妹)に会いたい」と言っても、「混乱するから」と取り合ってもらえない
- 本人が嫌がっているのに、特定の施設に入所させられてしまう
これらはすべて、「親のため」と言いながら、実際には親の声を聞こうとしない構造です。
「親のため」と言いながら、実は子どもの安心のため?
子どもが「親のため」と言って行動する背景には、さまざまな心理があります。
1. 自分の罪悪感を軽くしたい
→「親を守っている自分」を演じることで、見えない罪悪感を打ち消そうとする
2. 兄弟姉妹とのトラブルを避けたい
→親を自分の管理下に置くことで、他の家族を排除して、面倒を回避する
3. 親がどう思っているか、考えたくない
→「本人が望んでるから」と思い込むことで、現実と向き合わずに済む
こうした行動の根底にあるのは、親のためではなく、子ども自身のためかもしれません。
つまりそれは、「支配の正当化」です。
支配の特徴とは?
子どもの「支配」は、明確な命令や暴力とは限りません。むしろ次のような形で表れることが多いのです。
- 情報を遮断する(他のきょうだいに知らせない)
- 面会を制限する(「本人が嫌がっている」と主張する)
- 決定を一人で行う(介護・医療・財産管理など)
これらはすべて、外からは“親思い”に見えるが、内実は一方的な管理です。
判断力の低下=意思の消失ではない
たしかに、認知症や病気で判断が難しくなることはあります。
でも、それは「意思がない」ということではありません。
たとえば──
- 表情で「嬉しそう」「不安そう」と伝える
- 好きな音楽に反応する
- 特定の人が来ると笑顔になる
こうした小さなサインの中に、その人の意思や感情は今も生きています。
意思を汲み取ろうとする姿勢こそが、「本当のため」になる行動ではないでしょうか。
専門職や第三者の視点が必要なとき
家族のなかだけで意思決定が閉じてしまうと、どうしても感情や過去のしがらみが影響してしまいます。
だからこそ、ときには第三者の視点が必要です。
- ケアマネジャーや介護職員
- 成年後見制度
- 信頼できる親族
- 専門家(弁護士、税理士、心理士など)
親の意思を尊重しながら、子どもの不安もケアしていくには、**冷静な「外の目」**が重要です。
おわりに──親の人生を誰が生きるのか?
親の人生は、親のものです。
私たち子どもは、それを支えることはできても、奪ってはいけない。
「親のため」という言葉を使うとき、
それは本当に親の声に耳を傾けた上での行動なのか?
それとも、自分の不安や立場を守るための口実になっていないか?
この問いを、私たち一人ひとりが持ち続けることこそが、高齢親との関係において大切な「誠実さ」ではないでしょうか。
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