その日は6時にはホテルに着いて、
7時にはお風呂に入って
夜9時には眠っていた。

大和八木駅のカンデオホテル。
駅から徒歩3分。
新しい建物、感じの良いフロントのお兄さん、ほどよい広さのあるきれいな部屋、
まだ早い時間だからか静かな館内。
長い廊下ですれ違う人はいない。

エレベーターの階数移動にはルームキーカードを使う制限がかかっていて、
関係のない人はフロント階以外は入れない仕組みになっている。

最上階の10階に大浴場があって、
温泉ではないけれど、
露天風呂もある。

まさか駅近の新しいホテルで、露天風呂に入れるとは思わなかった。


露天風呂から見える奈良の町並み。
日が暮れて灯る明かり。
白や黄色やオレンジ。
小さな電車が光を連ねて移動していく。
上を見ればきれいなお月様。

お風呂にはまだほとんど人がいなくて、露天風呂にはわたし一人。

こんな夜景を見るといつも思う。
この窓の明かりのひとつひとつにぜんぶ
人がいて
ぜんぶに生活があって
人生がある。

なんて不思議なこと。

見えるのは都会のビル群じゃなくて、一戸建てやアパートやお店。
ここぜんぶにわたしの知らない生活があって、もしかしたらわたしの知らない家族団らんがある。

懐かしいような、
少し淋しいような気分になる。

わたしが過去に置いてきたもの。


昼間の馴れない暑さのせいか、
お風呂に入ったらもう眠たくなって、
今日会った仲間への連絡も早々に切り上げてベッドに入る。
これからたくさん眠れることに喜びを感じながら。

この時すでにこの旅が、奈良が好きになっている。


翌朝。
6時のアラームよりも先に目が覚める。

たくさん寝たのにまだ早朝。
それはとても幸せなことだ。

カーテンを開けると、
上り始めた太陽があった。


春の朧気な空気に包まれて、
角のないやわらかな光が射す。

奈良の山並もやっぱり、どこかまあるい。

季節の中で春が一番好き。

何もかもが祝福されている。


・・

~今日の旅程~
…近鉄奈良17:30頃🚞大和八木18:00頃…


・・・

🦌今日も読んでくださりありがとうございます🦌


シリーズもの
あるひとつの前世(ビリー)シリーズ🌿

奈良、神様と出会った旅、天河神社編🐲