就業規則のネタ -46ページ目

第○○条  外出

外出についての条文は、通常、遅刻・早退と一緒にしてひとつの条文の中で完結させてしまうことが通常です。工場に勤務する従業員などのように、通常社用で外出することはなく、やむを得ない私用で外出する場合があるということであれば、それで問題ないと考えています。

しかし、営業所のように、仕事上外出することが多い場合で、業務上の外出と私用外出の区別をつけることが難しいということがある場合には、あえて外出についての条文を独立させて、業務と私用のけじめをつけることを徹底するということも、ある程度有効ではないかと考えています。

もちろん、届出さえすれば私用外出をいつでもできるのか、という問題もあります。これは会社ごとに決めるべきことなのですが、社内の規律を維持するためにも、ある程度の制限はやむを得ないと個人的には考えています。


その他、外出について会社内で問題になるのは、

 いつの間にか外出してしまい、社内で行き先等把握していない

ということがあります。

これは、取引先などから電話があった場合に取次ぎができないなどということで、相手に不信感を与えてしまう可能性があります。

さらに、特に届出をせずに外出することが社内で普通のこととなってしまうと、社内の規律が維持できないということにもなりかねません。

 小さい会社では、社長自身が、 いつの間にか外出してしまい、社内で行き先等把握していない という状況を作り出しており、それを見て他の社員がまねをする、ということがけっこうあるので、社長自身も十分注意する必要があります。


以下、一般的な条文を例示します。



(外出)

第○○条

従業員が私用によりやむを得ず外出する場合は、あらかじめ上司に届け出なければならない。



条文では、私用外出についてのみ規定しました。業務上の外出については別途書くこととしたいと思います。

第○○条  欠勤

欠勤というのは、会社に出てきて労働をするべき日に会社を休み労働しない、ということです。

普通の、たぶん大多数の会社では、余分な従業員を雇い、配置するということはなかなか難しいと思います。

そうなると、従業員が欠勤をすれば、会社の業務に何らかの影響があることは間違いありません。しかし、すべての人がいつでも何の支障もなく会社に出てくるということはありえないので、従業員が欠勤するということもあるということを想定して、毎日の仕事を進めているでしょう。


そう考えると、会社としても、職場の従業員としても、欠勤するということは早めに分かっていたほうがいいに決まっています。そのため、欠勤するということを事前に会社に届け出るということも、一般的な常識の範囲内ということになるでしょう。

それでも、会社に届け出ることなく欠勤してしまう従業員もいます。

そのため、就業規則などで、欠勤する場合は事前に届け出ることを会社の決まりとして明らかにしておく必要があります。

また、無断欠勤というのは、即会社の業務に何らかの支障をきたすこととなります。そのため無断欠勤は絶対にしてはならないこと、懲戒の対象になることなども明文化しておく必要があります。


そして、正当な理由もなく欠勤するということがないように、日頃からの指導を徹底することも重要です。欠勤を繰り返す従業員がたった一人いることによって、会社全体の秩序にも悪影響を与えることにもなりかねません。そのため、欠勤については適切な指導を行い、無断欠勤については懲戒処分を本気で検討しなければなりません。


また、以前は欠勤することもなかったのに、最近になって欠勤することが多いという従業員については、何らかの事情があるのか、うつ病などいわゆる心の病の兆候ではないのか、などということについても考慮する必要があります。

このような場合、プライバシーのこともあるのであまり無理に事情を聞くということは避けなければなりませんが、適切な方法で面接を行い、対策を考えることが必要になってきます。


欠勤かどうかということについては、

 従業員が病気やケガで会社を休むときに、欠勤とするのか、年次有給休暇として扱うか

ということで問題になることがあります。


一般的な結論からすると、欠勤にするのか、年次有給休暇として扱うかは、会社側が決めることです。したがって、従業員が年次有給休暇を使って休みたいといっても、それを認めず、欠勤扱いしてもよいということになります。

この理屈については、年次有給休暇について書くときに説明したいと考えていますが、平たくいうと、年次有給休暇の取得をいつまでに会社に申し出ればいいのか、ということに関わってきます。


まあ、病気やケガのときに年次有給休暇を使って会社を休むというのは一般的であり、そのような感覚を持っている従業員が多く、それを認めている会社も少なくないのが現実です。そうしたなかで、あえて欠勤として取り扱うかどうかといういうことについては、十分検討し、決定する必要があるでしょう。

十分検討したうえで、やはり病気やケガのときは欠勤扱いとするとする場合は、事前に従業員に説明し、理解を求める必要があります。それでも、無用のトラブルが発生する可能性は無いとはいえません。


以下、一般的な条文を例示します。



(欠勤)

第○○条

従業員が傷病その他やむを得ない事由により欠勤する場合は、前日までにその理由、日数等を会社所定の用紙にて上司に届け出なければならない。

2. 前項の規定にかかわらず、傷病等のやむを得ない理由がある場合には、当日始業時刻前までに電話等で会社に連絡し、出社後、速やかに届出をしなければならない

3. 従業員が、第1項または前項の連絡及び届け出を怠った場合、あるいは会社が認めない場合は無断欠勤とする。



従業員が、労働災害(通勤災害含む)以外の病気やケガで4日以上会社を休む場合には、健康保険の傷病手当金を受給できるということも知っておくべきです。

ただし、健康保険に加入していない会社の従業員、また、パートタイマー等で健康保険に入っていない従業員は受給できません。

第○○条  遅刻・早退

遅刻・早退については、場合によっては会社の業務に支障をきたすこともあるので、無断で行わないようにするということが大前提となります。また、業務の都合を考えると、遅刻や早退する用事があることが事前に分かっていれば、あらかじめ届け出て承認を得るということも、当たり前のことでしょう。

そして、そのことを就業規則に定めることは当然として、正当な理由もなく遅刻をしたり早退をしたりするということがないように、日頃からの指導を徹底することも重要です。寝坊による遅刻、気分がすぐれないと言って度々早退するということがあると、会社全体の秩序にも悪影響を与えることとなってしまいます。そのため、遅刻・早退については、適切な指導を行い、場合によっては懲戒処分を行うことも考えなければなりません。


また、正当な理由、というのも、ある程度会社内で意識を統一しておく必要があると思われます。

例えば、小さい子の具合が悪くなり、早退する母親(又は父親)の従業員について、他の従業員がどのように考えるかということなどについては、会社内で意識を統一しておく必要があるでしょう。


さらに、以前は遅刻も早退もなかったのに、最近になって遅刻や早退が多いという従業員については、何らかの事情があるのか、うつ病などいわゆる心の病の兆候ではないのか、などということについても考慮する必要があります。

このような場合、プライバシーのこともあるのであまり無理に事情を聞くということは避けなければなりませんが、適切な方法で面接を行い、対策を考えることが必要になってきます。


以下、一般的な条文を例示します。



(遅刻・早退)

第○○条

従業員が遅刻または早退する場合は、会社所定の用紙にてあらかじめ上司に届出をし、承認を得なければならない。

2. 交通事情などによりやむを得ず遅刻する場合は、電話等で速やかに会社に連絡し、出社後、会社所定の用紙にて届け出なければならない。



遅刻・早退に限らず、従業員に届出を求めるのであれば、当然のことながら届出用紙を事前につくっておく必要があります。届出用紙は、市販されているものをそのまま使用しても、特別な管理をしない会社ではさしあたり支障ないでしょう。


遅刻や早退は、その時間については賃金を控除するのが普通です。また、場合によっては懲戒処分を行わなければならないこともありえます。届出用紙はそのときの資料のひとつにもなるので、従業員から提出された届出に記入漏れがないかチェックし、適切に保管しておくことも重要なことです。

第○○条  タイムカードの管理

各従業員の出退勤の記録と管理については、出勤簿をつける方法、タイムカードによる方法が主流ですが、大きな会社や、IT系の会社などでは、IDカードを機械に読み取らせる方法や、会社のネットワークにログイン又はログアウトする方法で行うものなど、最近はいろいろな方法があります。

それほど大きくない会社では、出退勤の記録に客観性がそれなりに保たれ、コストもそう莫大なものにはならないということで、タイムカードによる記録と管理をするのが一番良いと思います。

今回は、出退勤の記録と管理の方法について、タイムカードによるものに限定し、少し書いていこうと思います。


タイムカードによる出退勤の記録と管理については、前回も少し書いたのですが、

 ①タイムカードに記録された時間が、本当に出勤・退勤時刻なのか?

 ②タイムカードの打刻に不正はないか?

という点が問題となります。


①も②も、本質的には何も変わりません。会社側か、従業員か、どちらかが不正にタイムカードを打刻していれば(又はさせていれば)、本当の出勤・退勤時刻と、タイムカードに記録された時間は当然食いちがってきます。


会社側の不正としては、いわゆるサービス残業を隠すために、タイムカードを打刻させた後で仕事をさせること、または、直接指示しなくても暗黙のプレッシャーをかけること、が考えられます。

従業員側の不正としては、タイムカードを他人に打刻してもらうよう依頼すること、または依頼に応じて他人のタイムカードを打刻すること。そして、仕事がないのに会社に居残り、残業をしたようにタイムカードを打刻し、残業代を請求すること、などが考えられます。


残業代の支払いについて会社と従業員の争いとなった場合に、会社が勝つということは実はかなり難しい。残業時間について、会社としてはタイムカードを根拠にその時間を主張することになるのですが、従業員側が、自分でつけていた出退勤の時間のメモ程度のものでもその反証として認められてしまうから、会社側としては、従業員の主張に対抗できる何かがないと、会社側に勝ち目はありません。

これは、会社側が不正にサービス残業をさせているという現実から労働者を保護するという意味があり、そのため、会社自身の不正を何とかごまかそうということはほとんど無理です。さらに、労働者側がそれを逆手にとって、残業代をいくらかでも取ってやろうということも、実際には少なくありません。これは、会社にとって大きなリスクとなります。


このリスクを100%なくすことは残念ながらできませんが、リスクを軽減することはできます。それが、残業の指示又は許可制の徹底です。今まで残業を従業員の主体性に任せ黙認してきた会社にとっては、残業を指示したり許可したりするのはかなり面倒なことです。ただこれも、もしトラブルになったときのことを考えて面倒でも行うか、そのときはそのときだということにするのかは各会社で決めることです。


タイムカードを他人に打刻してもらうよう依頼すること、または依頼に応じて他人のタイムカードを打刻することについては前回も述べました。

タイムカードは、賃金計算の基礎になるということはもとより、賞与・昇給等を決定するときの資料、従業員の健康のために、長時間労働になっていないかをチェックする資料、業務の負荷を見るときの資料となるなど、労務管理上大変に重要なツールです。

そのため、タイムカードを実態のとおりに打刻することを徹底するとともに、不正打刻を行った場合には懲戒処分も行わざるを得ないことを従業員に周知することが重要でしょう。


以下、就業規則の一般的な条文を例示します。



(タイムカードの管理)

第○○条

従業員は、タイムカードの打刻について、次の事項を遵守しなければならない。

(1)出退勤、外出の際は本人自らタイムカードを打刻すること。ただし、業務の都合で現場へ直行または直帰する場合、会社の許可を得たものについてはタイムカードの打刻をしなくてもよいこととする。

(2)タイムカードの打刻を他人に依頼したりまたは依頼に応じたりしてはならない。

(3)役職者は、部下のタイムカードの管理を責任を持って行うこと。

(4)役職者は、残業の指示又は許可なく無断で時間外労働を行っている者がいないか常に気を配ること。



上の条文では、残業は役職者の指示又は許可の下で行うということで記載しています。規則中には記載しませんが、残業の指示、許可については、口頭ではなく書面にて行い、記録を残しておくことも、会社と労働者の間でトラブルが発生した時のことを考えると大事なことであります。


タイムカードの管理については、実態のとおりに打刻すること、不正打刻を厳しく禁じることが当然であり、また大変重要なことです。そのことを就業規則に定めることも大事なことなのですが、それ以上に、適切な打刻ができるような場所にタイムカードを設置すること、タイムカードの管理は不正防止のにらみを利かせられる者に任せること、適切な打刻をするのが当然だという会社内の雰囲気を作っていくことが大事なことだと思います。これはけっこう大変なことですが、タイムカードだけの問題だけでなく、会社の雰囲気作りの基礎にもなるんじゃないかと思います。

第○○条 出勤・退勤

出勤及び退勤の様子というのは、各会社のカラーを強く決定づけるもののひとつであるといえるでしょう。業種にもよりますが、朝早い出勤をし、退勤時間も早いという朝型の会社や、朝は比較的遅く、その代わり遅くまで仕事をしている夜型の会社もあります。また、非常に規律が厳しい会社もあれば、多少ルーズな会社もあります。
ただ、朝型か夜型かはともかく、出退勤の時間にルーズな会社で業績が順調であるというところは、私個人としては見たことがありません。特に、出退勤にルーズになっているということはかなり規律が緩んでいるというように受け取られます。厳しい規律がある会社はすべて業績が良いとは当然言えませんが、会社の発展を考えるのであれば、ある程度の規律は保持するべきだと個人的には考えています。


今回の、 出勤・退勤 ということで問題になるのは、

①従業員が、始業時刻及び終業時刻をどのような状態で迎えなければならないか

②従業員の出勤時刻、退勤時刻をどのように記録するか

の2点です。


①については、通常、始業時刻には仕事をできる状態であること、終業時刻まで仕事をちゃんとすることを求めることになります。中には、会社の敷地内に入った時間を出勤時間にしている会社もあるようですが、残業時間の算定などでトラブルになる可能性があるので、おすすめはしません。やはり、始業時刻には仕事をはじめられること、終業時刻まで仕事をすることを求めるべきでしょう。

そうなると、どこからが労働時間で、どこまでが労働時間でないかという、具体的な部分が問題になります。

特に問題になりがちなのが、

 制服等に着替えるのは労働時間に入るか入らないか?

 仕事の準備をするのは労働時間に入るか入らないか?

というところです。

だいたいの結論としては、制服等の着替えは、その着用を義務付けているのであれば、労働時間に入ることになり、仕事の準備は、本来の労働に付随するものであれば労働時間に入ることになります。


そのような点を踏まえて、労働時間になるところとならないところの境目を明確にし、始業時間に仕事ができる状態というのはどのようなことをいうのか、始業時刻まで仕事をちゃんとしている状態というのはどのようなことをいうのかを明らかにしなければなりません。そのうえで、始業時刻には仕事をできる状態であること、終業時刻まで仕事をちゃんとすることを求めることになります。


まあ、ここまで考えている会社はほとんどありませんし、ほとんどの人は、そこまでするのは馬鹿げていると思うんじゃないかと私も思っています。ただ、特に遅刻の取り扱いについて会社と従業員のトラブルになった場合、労働時間になるかならないかの境目がどこにあるかということが問題になる場合が多いということは知っておいて良いんじゃないかと思います。


②について、これは、①と関わる部分でもあります。

例えばタイムカードの場合、仕事を始められる状態でないとタイムカードを打刻できない状態であるか、それとも、タイムカードを打刻してからいろいろ準備したりできる状態なのか、ということが重要になります。

いくら就業規則で、始業時刻には仕事をできる状態であること、終業時刻まで仕事をちゃんとすることを求めても、社内の環境がそうなっていないと、なかなか思うようにならないのではないかと思います。

そのような意味で、就業規則とは直接関係はありませんが、出退勤の記録を行う場所やその環境についても一考する余地があるものと思います。


②では、出勤時刻、退勤時刻の不正記録も大きな問題となりえます。

遅刻しそうなので、同僚や後輩にタイムカードの打刻を頼み、頼まれた人がそれに応じて打刻を行う、というのがありがちなパターンであり、従業員もけっこう気楽にやってしまうのですが、これは、会社と従業員との信頼関係を破壊する行為であるということをよくよく知らしめる必要があります。


タイムカードは、賃金計算の基礎になるということはもとより、賞与・昇給等を決定するときの資料、従業員の健康のために、長時間労働になっていないかをチェックする資料、業務の負荷を見るときの資料となるなど、労務管理上大変に重要なツールであります。
そういう意味でも、業務を始める直前、そして業務終了直後にタイムカードを打刻することを徹底することが必要となります。


以下、一般的な就業規則の条文を例示します。



(出勤・退勤)

第○○条

従業員は、業務の開始及び終了にあたり、次の事項を遵守しなければならない。

(1)出勤・退勤の際は本人自らタイムカードを打刻すること。ただし、業務の都合で現場へ直行または直帰する場合、会社の許可を得たものについてはタイムカードの打刻をしなくてもよいこととする。

(2)タイムカードの打刻を他人に依頼したりまたは依頼に応じたりしてはならない。

(3)従業員は、定められた始業時刻と同時に業務に着手できる態勢が取れる時刻までに出勤をしなければならない。

(4)従業員は、定められた終業時刻までは業務を行い、その後は速やかに退勤しなければならない。ただし、所定労働時間以外の労働を命じられた者及び会社の許可を得た者はこの限りではない。



上の条文では、出退勤の管理をタイムカードで行うという前提で、その管理についても記載しました。

しかし、出退勤の記録方法を複数取り入れる場合や、会社の方針として、しっかりとした規律を求める場合は、上の条文については、どのような状態で始業・終業時刻を迎えるべきかを定めるにとどめ、出退勤の記録の方法等について、独立した条文を設ける場合も少なくありません。