森ビルの調査と、今後のビル市況
森ビルさんは、1986年から継続して毎年、大規模ビルのマーケット調査を行っています。
その名も「東京23区の大規模オフィスビル市場動向調査」。
自社による独自調査なので、内容も正確、客観性もあるように思います。
2010版レポートを拝見してみて、気付いたことがいくつかありました。
http://www.mori.co.jp/company/press/release/2010/03/20100331094402001899.html
① (レポート) 2011年、2012年の竣工物件のおおむね半分程度が、都心3区「外」である。
→ (筆者) 一般的に、オフィスを借りる企業は、千代田区、港区、中央区で探したいと思うはず。
→ (筆者) 都心3区「外」の物件とは、2005年~2007年のミニバブル期に計画されたものが、事業を中止出来ずに着工するものだろう。
→ (筆者) この状況は、1993年当時とそっくり。平成バブル崩壊から3年程度経って竣工した物件は、ほとんど「都心3区以外」であった。平成バブルの最中には、「都心3区以外」であっても、ビル経営ができると甘く見積もられた場所であった。結果、それらのビルはテナント集めに大苦戦して、ますます賃貸マーケットが軟化することになった。
→ (筆者) 今回も、2011年・2012年に竣工する都心3区外ビルは、大幅な予定賃料の引き下げを余儀なくされるだろう。
② (レポート) 都心3区での供給が細ることから、3区内でのテナント需要は今後高まる可能性が高い。
→ (筆者) これは、「そう?」とツッコミたくなります(笑)。
→ (筆者) すべては、賃料次第でしょうね。現在、都心3区の優良大規模オフィスビル賃料もガンガン下がっています。この下げ圧力があるから、東京のビル空室率が5~6%程度で止まっているんです。
→ (筆者) 景気下降期には、事業会社は事務所賃料を増やすことはできません。単価の高いビルに移転することはできないのです。ですから、「現在借りているビルよりも賃料を総額で下げる為に移転する」というニーズが主になります。結果、賃料削減の移転メリットを企業が感じられるまで、都心3区内の賃料は下がることになります。
→ (筆者) そして、テナントが抜けたビルは、自らの空室を埋めるべく、他のビルからテナントを引き抜きにかかります。ここでも、移転のコストメリットが必要ですから、賃料は益々下がります。これは大規模ビルでも、都心3区のビルでも同じ構図です。
→ (筆者) そしてまたまた、そこでテナントを抜かれたビルは・・・・。同じことをします。
こうして、賃料下落スパイラルは5年くらいは続きます。
この間に、ビル賃料はピーク時の半分程度になります。
【 このように断定的に書くと、『なにを根拠に!(怒)』と思われる方も多いでしょう 】
1993~1998年のオフィスビルマーケットが、まさに下落スパイラルでした。
歴史は繰り返します。
現地を見に行ってはいけないという不動産屋・・。
4月になっても、住み替えにはよいマーケットが続きます。
繁忙期と言われる3月末を過ぎてからの方が、ゆったりと物件を探せますし、オーナーとの条件交渉が行い易いということもあります。
3月末を過ぎると、お客さんの動きは全体的に鈍くなるので、空室が埋まり難いのです。
(ですから条件交渉の余地が生まれる。)
賃貸ユーザーの知人たちや、不動産屋仲介業に従事している友人から、3月末のマーケットについて色々話を聞けました。
① 賃料がこの秋からすごく下がった。
② 条件交渉、特にフリーレントが一般的になった。
③ 敷金ゼロ・礼金ゼロのゼロゼロ物件が増えた。
(しかし、比較的賃料の低い物件群に『ゼロゼロ』は集中している印象)
④ 仲介手数料が無料になる不動産会社は多くない。
⑤ 不動産屋さん同士での、お客の取りあいが多くあった。
(お客さんの前で、ライバル会社のことを悪くいうとか)
⑤は、よくわかります。不動産屋さんにとっても厳しいマーケットのはずです。
(成約が全体的に減っている)
それを反映して、お客さんの取りあいが起こる・・。。
どんなマーケットでも顧客の争奪はあります。
要は、品性の問題ですね。 お品よく、競争するべきです。
不動産屋さんの場合、「あからさまな」お客の囲い込みが多すぎます。
例えば、多くの不動産屋さんと、不動産サイトが、
「物件現地にはお客さんご自身で行かないでください。トラブルの原因になりかねません。」
などと、公然と言っています。
ちなみに、部屋にはもちろん入れません。それはお客さんも分かってます。
お客さん自身で、物件を「下見」に行かせないように、このようなことを言います。
トラブルって、一体何のトラブルでしょうか?
「自分たちが不動産仲介手数料を取れなくなっては困る」ということですね。
大の大人(お客)に対して、「1人で物件を見に行くな」とは・・・。
呆れて笑うしかありません・・・。
この情報化社会に、消費者の行動をコントロールしようとは。
しかも極めて幼稚なやり方で。
youtubeにもこの件アップしました。
http://www.youtube.com/watch?v=pu2Um1ZspU0
吉川克弥 拝
