梨木 香歩
 ぐるりのこと

 梨木さんの書くあらゆるものは

 本人の深い深い思考の沼から精製された思考の結晶なのだなあと

 この人のエッセイを読むたびに思う。

 なんて本気な人。

 真っ白い表紙とは裏腹に、気楽に読み流させない重量感は

 そうした本人の本気の自然、読み手にも移って行くからなんでしょう。

 ベルンハルト シュリンク, Bernhard Schlink, 松永 美穂
 逃げてゆく愛
 「朗読者」でお馴染みのドイツの作家。
 タイトルの通り、「逃げて」いく「愛」の物語を集めた短編集。  
 ――恋愛作家じゃないんだよなあ…
 千差万別の恋愛を書いているけれど、根底にあるものは常に只一つ、
 現在を生きるドイツ人の在り方に尽きると思います。
 この人はかつて自分の国で起こった「何か」を絶対に忘れようとしないんだ。
 有馬 哲夫
 ディズニーランド物語―LA‐フロリダ‐東京‐パリ

 ウォルトから香港まで、ディズニーとテーマパークの歴史を紐解いていく、

 どちらかというと企業史に近い形態。

 東京ディズニーランドに本家が直接関わっていないって、初めて知ったよ。

 何方もやっていることはドッコイドッコイの筈なのに

 ディズニーへの中国側の対応にはうっかり同情させられてた…。

amazon では在庫切れなようなのでリンクはなしです…当然と言えば当然か。


以前掲載した『JAZZ SINGER』同様、トーキー映画黎明期にフランスで作られたもの。

全篇に渡って流れるシャンソン「巴里の屋根の下」は有名。

映像と音の多種多様な組み合わせが面白い。

その代わりという訳ではないのだろうけれど、ストーリーはあってなきが如し。

人物造形も何というか…・・・あのヒロインはもう少しどうにかならなかったのか?

 R.P. ファインマン, Richard P. Feynman, 大貫 昌子
 困ります、ファインマンさん

 このシリーズ、ファインマン本人が書いたものとされているが

 実際は彼の友人の子供が本人から聞いた話を写し取ったもので、自伝ではない。

 しかし、だからといって本書の魅力が衰えるわけではない。

 嘘か真か分からない話の数々はファインマン氏の優しくユーモラスな人柄を

 反映させてなおかつ痛快。しかし政府嫌いの彼が結局は政府に殺されたも同然と

 考えると、どうしてもやりきれない。

 20世紀フォックス・ホーム・エンターテイメント・ジャパン
 王様と私 特別編

 周りの評判に期待していたことが悪かったのか。

 そんな絶賛されるほど面白い作品だとは思わないな……。

 突然流れるShall We Dance?のメロディに驚く。これが本家本元だったのか!

 ビクターエンタテインメント
 キャバレー

 元はミュージカルだったらしいが、映画版を観てしまった以上、

 このサリー役はライザ・ミネリ以外には考えられなくなってしまう。はまり役だ。

 ナチスの台頭時期と第一次大戦後のドイツの退廃的な雰囲気が

 この映画の「闇」となって後半ずっしりと圧し掛かってくる部分は何ともぞっとしない。

 ミュージカル映画だが歌や踊りの場面はキャバレーでのショーに限ってあるので

 普通の映画として楽に観れる作品だと思う。

 ビデオメーカー
 十二夜

 これは元々シェークスピアが書いた「芝居用」の作品を、

 時代設定を19cへと変更して映画化したものです。

 原作自体が面白い作品なのですが……それでもこの映画は凄い、本当に。

 よくもまあこれだけ面白可笑しく映画化できたものだと思います。

 恋愛コメディが好きな人には特にお勧めですね。損はありません。

 大島 かおり, ミヒャエル・エンデ, Michael Ende
 モモ  時間どろぼうとぬすまれた時間を人間にかえしてくれた女の子のふしぎな物語

 自分が生まれて初めて触れた正真正銘の「物語」がモモで、これは今でも

 大切で大切で、かけがえの無い一冊だ。

 これが無ければ今の自分は無かったのではないかな、とまで思えてしまう。

 図書館の壁と本棚の隙間から埃だらけのこれを引っ張り出した

 あの頃の自分を称えて。(笑)

 Jazz Singer (1927)

 世界初のトーキー映画であり、また世界初のミュージカル映画でもある。

 内容はというと、親子の愛情もの。

 親と夢を秤にかけなければならない時が人生の中には存在する…という話。

 彼は結局……ということになるけれど、自分は余り納得することが出来なかった。

 まあ、単に価値観が違うだけなのだけれどね。