魔王のお見合い! 第十五話『番外編・ヤンのデート2!』
「今日は大丈夫なの、魔王さん。」
「はい。魔王様もデートですから、まさかついていく訳にも行かないでしょう。」
ヤンがそう答えると、ヒメコは驚いた表情を見せた。
「デート!?よく・・・そこまで漕ぎ着けたわね。」(本当かしら・・・)
(やっと・・・魔王様の本質を理解できる人が・・・)
二人は、ーヤンがヒメコの買い物に付き合うという形でー 渋谷109に来ていた。
「うーん、どれにしようかな・・・」
ヒメコは、新しいバッグが欲しいということだった。
「ヤンくんはどれが・・・って、また上の空ね。」(慣れたけど。)
「あ、すいません。ちょっと昔のことを・・・」
「ふーん。昔って?」
「200年ほど前でしょうか・・・」
「あ、ああそっか。」(魔族は長生き・・・だったわね。)
とりあえず頷いてみせたヒメコが続ける。
「なにかあったの?・・・そのときに。」
「はい。」
と、少し間を置いて、ヤンが答えた。
「そのときの話・・・聞きたいな。」(ヤンくんのことは・・・知っておきたい。)
「長くなるから・・・また今度話します。」
「そっか。うん、わかった。」(残念!)
ヒメコはバッグ選びに戻った。
「ヤンくん・・・」
「はい。」
「・・・」
「どうしました?」
「ううん。なんでもない。」
(人間と魔族が結ばれたとして・・・幸せになれるのかな?)
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「はい。魔王様もデートですから、まさかついていく訳にも行かないでしょう。」
ヤンがそう答えると、ヒメコは驚いた表情を見せた。
「デート!?よく・・・そこまで漕ぎ着けたわね。」(本当かしら・・・)
(やっと・・・魔王様の本質を理解できる人が・・・)
二人は、ーヤンがヒメコの買い物に付き合うという形でー 渋谷109に来ていた。
「うーん、どれにしようかな・・・」
ヒメコは、新しいバッグが欲しいということだった。
「ヤンくんはどれが・・・って、また上の空ね。」(慣れたけど。)
「あ、すいません。ちょっと昔のことを・・・」
「ふーん。昔って?」
「200年ほど前でしょうか・・・」
「あ、ああそっか。」(魔族は長生き・・・だったわね。)
とりあえず頷いてみせたヒメコが続ける。
「なにかあったの?・・・そのときに。」
「はい。」
と、少し間を置いて、ヤンが答えた。
「そのときの話・・・聞きたいな。」(ヤンくんのことは・・・知っておきたい。)
「長くなるから・・・また今度話します。」
「そっか。うん、わかった。」(残念!)
ヒメコはバッグ選びに戻った。
「ヤンくん・・・」
「はい。」
「・・・」
「どうしました?」
「ううん。なんでもない。」
(人間と魔族が結ばれたとして・・・幸せになれるのかな?)
魔王のお見合い! 第十四話『戦闘準備完了!』
「え!?兄さん、成功したの?」
「ああ。東大のミスキャンとな。」(すごいだろ?)
「う、うん。」(すごいだろ?って顔してる・・・)
お見合いの翌日、クララが魔王府に遊びにきたので、魔王はその詳細を話したのだった。
「デートの約束も・・・。兄さん、最近忙しいけど、予定は合うの?」
「大丈夫だ。ヤンが、しっかりスケジュールを組んでくれてるからな。」
「ヤンさん様様ね。で・・・そのヤンさんは?」
「あいつはデートだ。」(もう、悔しさは感じないがな。)
ああ、とクララはうなずいた。
「それでいつデート?」
「今週の金曜日だ。」
魔王はにやにやしながら答える。
「金曜日って・・・三日後じゃない!準備は大丈夫?」
「大丈夫だ。ヤンが、デートコースから何まで考えてくれたからな。」
「・・・」
「何だ、その顔は?」
「とにかく・・・心配はないみたいね。」
「当たり前だ。クララ、お義姉さんができる日も遠くないぞ。」(沙緒さん・・・。結婚したい・・・)
「はいはい。楽しみにしてるわ。」(でも、ちょっと楽しみ!)
魔王もヤンもクララも、デートの成功を信じていた。
確かに完璧であった。
”ここまで”は・・・。
魔王のお見合い! 第十三話『初の!』
魔王と沙緒は、身の回りの話、趣味、夢などについて二時間は語り合った。
(すごい、私のフォローがいらないくらいだ!)
ヤンもまた、お見合いの成功を確信していた。
「沙緒さんとは、いろいろな点で気が合いますな。」(まぁ、嘘もついてるけど。)
「はい。なんだか・・・嬉しいです。」
沙緒は俯き加減で、頬を赤らめてみせた。
(か、かわいい・・・)
「あの、どうでしょうか・・・沙緒さんと、結婚を前提とした・・・その、お付き合いをしたいんですが・・・」
「あの・・・」
ごくっ。
(どうだ!?)
(神よ!魔王様にご加護を!)
「わたしでよければ・・・」
「え?・・・本当ですか?」
やや遅れての魔王の反応。
「はい。」
「うおっ。うおおおお!よっしゃあああ!」
「やりましたね、魔王様!」
魔王もヤンも、歓喜の涙をこぼしていた。
「あ、あの、沙緒さん!早速ですが、今度デートなど・・・」
「あ、はい!もちろんです。」
「ま、また予定などはメールさせてもらいます!」(これは現実なのだろうか・・・!)(初の彼女だ!)
・・・
沙緒を見送った後、魔王は自分の頬をつねってみた。
ちょっぴり痛かった。
魔王のお見合い! 第十二話『一転!』
”看板事件”以来、魔王の生活は一変した。
「魔王様、電話です!」
「魔王様、週刊誌が取材をしたいと・・・!」
「魔王様!」「魔王様!」
魔王府の職員は、慣れない仕事に大忙しである。
魔王は一躍、”時の人”となっていた。
様々なメディアに取り上げられ、国民的ヒーローにまで成り上がっていたのだ。
「魔王様!」
「ヤンか。入れ。」
『魔王室』で、『魔王自伝』を執筆しているときだった。
「魔王様、お見合いをしたいという女性が。」
「おお!そうか!」(やはり来たか!)
「今日の予定は・・・」
「そんなもの、すべてキャンセル!それ、早速準備だ!」
・・・
「あの、はじめまして。粳田沙緒[うるちだ さお]です。今、21です。」
「は、はじめまひ・・・はじめまして!魔王エル=M=デビルです。」
すぐ緊張するのは、何も変わっていなかった。
(す、すごく美人だ・・・!)
お見合いの前に聞いた情報だと、沙緒は東大のミス・キャンパスということだった。
「ええと、何故私とお見合いする気に・・・?」(男には困らないだろうに・・・)
「えと、”看板事件”で・・・すごく憧れて。他人のためにあそこまで体を張れる人は、初めて見ました。」
目の前ではにかむ沙緒を見て、魔王は確信に近いものを感じていた。
(これは・・・いけるぞ!)
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「魔王様、電話です!」
「魔王様、週刊誌が取材をしたいと・・・!」
「魔王様!」「魔王様!」
魔王府の職員は、慣れない仕事に大忙しである。
魔王は一躍、”時の人”となっていた。
様々なメディアに取り上げられ、国民的ヒーローにまで成り上がっていたのだ。
「魔王様!」
「ヤンか。入れ。」
『魔王室』で、『魔王自伝』を執筆しているときだった。
「魔王様、お見合いをしたいという女性が。」
「おお!そうか!」(やはり来たか!)
「今日の予定は・・・」
「そんなもの、すべてキャンセル!それ、早速準備だ!」
・・・
「あの、はじめまして。粳田沙緒[うるちだ さお]です。今、21です。」
「は、はじめまひ・・・はじめまして!魔王エル=M=デビルです。」
すぐ緊張するのは、何も変わっていなかった。
(す、すごく美人だ・・・!)
お見合いの前に聞いた情報だと、沙緒は東大のミス・キャンパスということだった。
「ええと、何故私とお見合いする気に・・・?」(男には困らないだろうに・・・)
「えと、”看板事件”で・・・すごく憧れて。他人のためにあそこまで体を張れる人は、初めて見ました。」
目の前ではにかむ沙緒を見て、魔王は確信に近いものを感じていた。
(これは・・・いけるぞ!)
魔王のお見合い! 第十一話『人助け!』
「魔王様!待って下さい!」
「いいんだ、私なんて・・・」
「兄さん!」
二人がついてきているのはわかっていたが、魔王は後ろを振り返らずに歩き続けた。
(人間界のことも考えないで・・・勝手に侵攻して、嫁探し・・・私は・・・なんておこがましいんだ。)
魔王は、人々に忌み嫌われる悲しさよりも、自己嫌悪の情に浸っていた。
そう遠くないところで、ビルの改修工事が行われている。
看板を取り外す作業をしているところであった。
魔王にとっては珍しい光景なので、しばらく見ながら歩いていた。
そのため、異変にすぐ気がついた。
(看板が・・・!)
看板の取り外しにかかっていたクレーンが、強風に煽られ、看板を落としてしまったのだ。
(これはまずい!)
「あっ!」
後ろのヤンとクララも気付いて、声を上げた。
だが、このとき魔王はすでに走り出していた。
魔族の脚力は、人間のそれとは比べ物にならない。
魔王は一瞬のうちに、数kmを走り、ビルの近くまでたどり着いた。
(まずい・・・人が多い!間に合うか・・・!?)
人々が声を上げる間もなく、看板は落ちてきた。
が、”地面までは”落ちなかった。
看板の下にいる人たちは、自分の置かれている状況が把握できなかった。
しかし、看板を片手で支える、ピンクのスーツに身を包んだ男がいるのはわかった。
「早く外に出て下さい!」
皆、その言葉に従った。
従うだけの、”威厳”があった。
(ふう・・・間に合った。)
魔王が看板をおろして、その姿を見せると歓声が沸き起こった。
「魔王、すごいぞ!」
「ありがとう!」
「助かったぞ!」
「は、はは・・・!」
魔王の目から、涙がこぼれ落ちた。
「こういうのも、悪くないな・・・。」
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「いいんだ、私なんて・・・」
「兄さん!」
二人がついてきているのはわかっていたが、魔王は後ろを振り返らずに歩き続けた。
(人間界のことも考えないで・・・勝手に侵攻して、嫁探し・・・私は・・・なんておこがましいんだ。)
魔王は、人々に忌み嫌われる悲しさよりも、自己嫌悪の情に浸っていた。
そう遠くないところで、ビルの改修工事が行われている。
看板を取り外す作業をしているところであった。
魔王にとっては珍しい光景なので、しばらく見ながら歩いていた。
そのため、異変にすぐ気がついた。
(看板が・・・!)
看板の取り外しにかかっていたクレーンが、強風に煽られ、看板を落としてしまったのだ。
(これはまずい!)
「あっ!」
後ろのヤンとクララも気付いて、声を上げた。
だが、このとき魔王はすでに走り出していた。
魔族の脚力は、人間のそれとは比べ物にならない。
魔王は一瞬のうちに、数kmを走り、ビルの近くまでたどり着いた。
(まずい・・・人が多い!間に合うか・・・!?)
人々が声を上げる間もなく、看板は落ちてきた。
が、”地面までは”落ちなかった。
看板の下にいる人たちは、自分の置かれている状況が把握できなかった。
しかし、看板を片手で支える、ピンクのスーツに身を包んだ男がいるのはわかった。
「早く外に出て下さい!」
皆、その言葉に従った。
従うだけの、”威厳”があった。
(ふう・・・間に合った。)
魔王が看板をおろして、その姿を見せると歓声が沸き起こった。
「魔王、すごいぞ!」
「ありがとう!」
「助かったぞ!」
「は、はは・・・!」
魔王の目から、涙がこぼれ落ちた。
「こういうのも、悪くないな・・・。」