学生狂(小説・魔王のお見合い!連載中) -27ページ目

魔王のお見合い! 第十話『シブヤ!』

渋谷駅に着いてから、もう一時間が経つー。
ヤンとクララは待ち疲れていた。

「あ・・・来ましたよ。」

「ごっめーん!待った?」
魔王が、叫びながら笑顔で駆け寄って来る。
「兄さん・・・遅いわよ。」(すごく浮かれてるし・・・)
「まあまあ・・・気を取り直して、出発しましょう!」(すごく浮かれてる・・・)

「とりあえず、服でも買いに行きましょうか。」
「服?私はこのままでも良いのだが・・・」
「よくない!魔界のファッションは、人間界では通じないの。」

魔王は、できる限りオシャレをして来たつもりだったのだが、ピンクを基調としたスーツは、”ださい”としか言いようがなかった。
ーちなみに、ヤンはいかにも若者らしい格好をしていた。

「現代魔界では、ピンクは基本だが・・・。仕方がない。」

渋谷には、魔王の知らないモノがたくさんあった。

「人間界は・・・科学技術の発展がすばらしい。」
「そうですね・・・。」

しばらくすると、周囲の目線が魔王たち一行に向けられ始めた。

「ねえ、あのピンクの・・・魔王じゃない?」
「本当だ・・・」

周りの人間が、魔王の正体に気付き始めた。

「ふむ・・・私も有名人だな。」(女の子に声かけられたりして・・・)
「一応、王様だからね。」
王様、と言っても形だけで、魔界による征服後も日本の政治機構に変化はなく、魔王が政治に干渉するということもなかった。

「あいつ・・・何なの?」
「きもくない?」
「人間に迷惑かけてるのに・・・のこのこ出てきやがって。」

周囲から聞こえる声は、すべて魔王に対する揶揄や批判であった。

「・・・お気になさらないで下さい。」
「兄さん・・・」
「・・・帰るよ。」
「兄さん!」

魔王は駅へ戻り始めた。

「魔王様!」(ピンクのスーツの後ろ姿・・・)(まったく威厳がない!)

ヤンとクララは、必死に呼び止めようとした。
しかし、今の魔王には、どのような呼びかけも届かないのであった。




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魔王のお見合い! 第九話『信頼!』


「魔王様!」
ヤンが『魔王室』ー『お見合い室』ーに駆け込んできた。

「ど、どうなりました!?」
息切れしている。

「駄目・・・だった。」
「・・・そうですか。」
「私のせいよ・・・無理にフォローしようとしたから。」
「いや、気にするな、クララ。」
そう言いながらも、魔王は溜め息をもらしていた。

「どうやら・・・人間からの印象が悪いようだ。」
「・・・」

「・・・魔王様、街に視察にでたらどうです?」
「視察?」
「今日のデートで気付いたことなんですが、人間界では『流行に乗る』ことが重要なようなのです。街に出ることで、魔王様ご自身が人間を知ろうとする・・・というのはどうでしょうか。」
「・・・ふむ。それもそうだな。」(人前に出るのは怖いけど・・・)

それなら、とクララが俯いていた顔を上げる。
「わたしもついて行くわ。人間界に関しては、わたしの方が詳しいしね。」
「もちろん、私も同行させてもらいます。」
「二人とも・・・!礼を言うぞ。ところで、ヤン。ずいぶん早い帰りだが・・・」
「あ、ヒメコさんが、他にも用事あるって・・・」

「・・・そうか。」
魔王はヤンの優しさに気付いていた。
ヤンもまた、魔王に見透かされていることに気付いていた。
しかし、二人の間に、これ以上のやりとりはなかった。




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魔王のお見合い! 第八話『番外編・ヤンのデート!』

「魔王様、大丈夫かなぁ・・・」
「どうしたの、ヤンくん。」
「いえ・・・今日、また魔王様がお見合いしてて。」

ヤンはヒメコとデートをしていた。
今、ちょうど映画を見終わったところだ。

「ヤンくんは、本当に魔王さんを尊敬してるのね。」
「はい。あの方には・・・たいへんお世話になってますから。」
「あまり良い印象はないけど・・・」(ネズミーランド行きたかったのに。)
「あの方の本質は・・・その優しさにあります。」

ヤンは、昔を思い出すかのように空を見上げた。

「ふうん・・・そうなんだ?ねぇ、どこか買い物に行こっか。赤坂サーカスなんてどうかな?」
「あ、そうですね!行きましょうか。」

・・・
ショッピングを楽しみつつも、ヤンは魔王のことが気になっていた。
「どうしたの、さっきから。上の空、って感じ。」
「・・・ごめんなさい、やっぱり不安で。」
「そっか・・・。」
「すいません、あの・・・魔王府に戻ります。」
「・・・」(やっぱり。)
「本当に・・・すみません。」
「いいよ・・・。わかってる。でも・・・心配になりすぎて、私と別れたりしないでね。」
「はい、当然です!僕・・・ヒメコさん、好きですよ。」
「うん・・・。ありがとう。」(私も・・・)

ヤンは急いで、魔王府に帰って行った。
ヒメコは、その背中に悲しさを覚えつつも、優しい気持ちになっていた。


魔王のお見合い! 第七話『気まずい!』

「兄さん、連れてきたよ!」
「おお!入ってくれ!」

「わたしのお隣さん、鶴屋さんよ。」
「こんにちは、鶴屋八鶴[やつる]です。」
「こんにちは、エル=M=デビルです。」(女子高生が良かった・・・)(・・・でも美人だ。)

八鶴は、おとなしそうな女性であるが、ややつり上がった眉は、気が強そうな印象を与えていた。

「兄さんは、人間で言うと35くらいだから・・・鶴屋さんと、そこまで差はないね。」
「そ、そうなんですか・・・」(かなり若く見えるけど・・・)
「ふふ、驚きました?私、30でバツイチですよ。」
「バツイチですか・・・お美しいのに。」(バツイチ・・・)(・・・でも美人だ。)
「ありがとう。ところで、エルさんは・・・普段何をなさってるんですか?魔王、と言われてもピンと来なくて・・・」
「さ、最近では・・・えーと・・・」(やばい!最近ヒキコモリ状態だったからな・・・)
「兄さんは、人間と魔族の共存を目指してるの。歴史上、初めての試みよ。」
(クララ・・・ありがとう!)
(感謝なさい・・・)
「そう!そ、そのために人間界に来たんです。」
「でも、みんな怒ってますよ?ネズミーランドのこととか・・・」

魔王は、人間界侵攻の際、人間に直接危害は加えなかったが、日本沿海での軍事演習や、ネズミーランドの一部破壊などによって力を誇示したのだった。
そして狙い通り、力のない日本は簡単に降伏した。

「あ、あれは申し訳なかった。でも、部下が勝手にやったことで・・・」
「そうなんですか・・・」
「は、はい・・・」(本当は・・・カップル達が癪になって、私が命じたんだけど・・・)

「・・・」
「・・・」

沈黙が流れる。

魔王のお見合い! 第六話『今度こそ!』

「来たか・・・入ってくれ。」
ヤンとクララは、やや緊張しながら『魔王室』に入った。

「なぜ私はモテないのだろうか・・・」

二人の緊張は一気に解けた。

「魔王様、まだ二回しかお見合いしてないじゃないですか。しかも、一回はクララ様だったわけですし。」
「そうよ、兄さん。まったく・・・大事な相談があるって言うから、来てみれば・・・」
「だって・・・」(もう自信が・・・)

「・・・よし!わかったわ。今度はわたしが仲人を務める。」
いじける魔王を見かねたようだ。
「え?私の役目が・・・」(なくなってしまう!)
「ヤン、あなたは・・・彼女がいるそうね。たまにはデートしてきたら?」
「あ・・・そうですね。ありがとうございます。」(その方がいいや。)
「ちょっと・・・二人で話進めてるのやめてよ!」(私は魔王なんだからな!)
「ま、魔王様、申し訳ございません。」
「・・・まぁ、デートくらいなら許してやる。」
「ありがとうございます、魔王様!」
(やはり優しいお方だ・・・)
(単にやめさせる勇気がないだけよ・・・)

「それじゃあ、お見合いは明日決行よ!」
「よし!」(今度こそ・・・!)(・・・ヤン、携帯いじってる!)(彼女とメールか!?)

「あ・・・明日のデートの約束できました!本当はもっと先の予定でしたが・・・」
先程から、携帯電話をいじっていたヤンが声を上げた。
「うん・・・よかったな。」(このリア充が!)