学生狂(小説・魔王のお見合い!連載中) -23ページ目

魔王のお見合い! 第二十九話『教師!』


「お見合いしたいなあ・・・」
「もう。それ、何回言えば気が済むの?」
「結婚できるまで。」
「・・・」(埒があかないわ・・・)

学校でのミクの様子を知りたい、ということでクララは魔王に呼ばれた。
が、本当はお見合いの手伝いをしてほしいだけだろう。

「・・・わかったわ。手伝って上げる。」
「え?本当に!?」(言ってみるものだなあ。)
魔王の顔が急に輝きはじめた。
「え、ええ。」(このテンションの上がり方は気持ち悪いな・・・)
「それで相手は・・・」
「連れてきてあげるわ。もちろん仲人もわたしが務める。ヤン君、いないしね。」
ヤンはヒメコと旅行に出かけていた。
「あ、ありがとう・・・!」
「え、ええ。兄さんには早く結婚してもらいたいから。」
「ようし!頑張るぞ!あ、ミクには気をつけるんだぞ。」

「ミクさんか・・・」
クララは学校でのミクの様子が思い浮かんだ。

「どうした?」
「ううん、何でもない。」(ミクさんには悪いけど・・・)(やっぱり兄さんの好きにさせてあげたい。)

・・・二日後。
「兄さん、連れてきたわ!」

今回は魔王が自ら扉を開けに行った。

「どうぞどうぞ!」

クララが連れてきたのは、10代には見えないが、まだ若い女性だった。
背が高く、スタイルの良い美人だ。

「兄さん。わたしの担任の先生よ。」
「はじめまして、魔王さん。紬 夕[つむぎ ゆう]です。」
「あ、はじめまして!エル=M=デビルです。」(た、担任・・・)(・・・いいかも。)




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魔王のお見合い! 第二十八話『クララとミク!』


「それでは編入生を紹介します!」
担任の女性教師が、元気よく声を上げた。

『お茶の湯大学附属高校』に編入生が入るのは、10年ぶりらしい。
クラスの皆は、新たな仲間に胸をときめかせ、歓迎の用意をしていた。

しかし、クララだけは憂鬱だった。
すでに魔王から、その編入生がミクであることを聞いていたからだ。

「ミクさん、入ってきてえ。」
クララは、扉を”お上品”に開けて入ってきたミクから、信じられないことに奥ゆかしさを感じた。

「皆さん、はじめまして。ミク=ブ・・・じゃなかった。山田ミクです。」
クララは、”山田”というのはヤンが付けた名字で、なるべく目立たないようなものを選んでのことである、というのも魔王から聞いていた。

そのあと、ミクの自己紹介やミクに対する質問の時間が10分ほどあったが、ミクは決して”ボロ”を出さなかった。

「ええと、席は・・・クララさんの横がちょうど空いてるわね。」

ミクがクララの横に座って、嬉しそうに耳打ちした。
「これからよろしくね。」
「う、うん。」(これから大変そうだ・・・)
クララは複雑な心境で返事をした。

「それでは、朝のホームルームは終わります。一時間目は体育よ。」

・・・
周りが着替え始める中、クララはミクをじっと見つめていた。
「・・・どうしたの、クララさん?」
「ミクさん・・・本気出しちゃ駄目よ。」
クララはミクの正体が皆に気付かれるのを恐れていたのだ。
「わかってるわよ。アタシはここで”おしとやか”になるんだから。」

言う通り、ミクは”ほどほどの力”で授業を受けた。
体育に限らず、他の授業でも目立つことはしなかった。

「ほら、これで信用できるでしょう?」
帰りのホームルームが終わると、ミクがクララに話しかけてきた。
「え、ええ。」(信じていいのかしら?)

「ねえ。・・・今日のアタシ・・・どうだった?」
「どうって・・・普通だったわ。」
「頑張ったもの・・・アタシ。」
ミクは遠くを見つめて話していた。
魔王府のある方角だった。
「ミクさん・・・」

ミクがはっと気付いたかのように、クララの方へ顔を戻す。
「さ、また明日ね、クララさん!」
「あ、うん。さようなら!」
ミクが急いで教室を出て行った。
部活の見学をするらしい。

「難しいな・・・いろいろ。」
教室で一人だけになったクララが呟いた。




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魔王のお見合い! 第二十七話『炎魔の過去・後編!』

「先代魔王・・・が?」
「はい。」
ヴォルグとヒメコが魔王に目を向けると、魔王も目を閉じてうなずいていた。

「先代は、能力の高い炎魔の台頭を恐れていました。
そのため、炎魔を一掃しようと考えていたのです。
そして・・・先代の狙い通り、同胞を殺された炎魔は武装蜂起。
先代は炎魔を滅ぼす”きっかけ”を手に入れました。」

「では、貴様の祖父は・・・」
「はい、処刑などしていません。
おそらくは・・・炎魔を分裂させようとする、政府が流した噂でしょう。」

「先程、貴様の父も殺されたと言ったが・・・武闘派でもないのに、なぜ・・・?」
「クリムゾン家は、とにかく滅ぼす気だったのでしょう。
ブレインを失った集団ほど崩しやすいものはありませんからね。」
「・・・」

「実は私も・・・炎魔側で参戦しました。」
「え?」
ヴォルグとヒメコは目を丸くした。

「何も知らずに・・・ただがむしゃらに戦い、重傷を負いました。
そして・・・瀕死の私を助けてくれたのが、当時の王子・・・つまり現在の魔王様だったのです。
敵である私を、なんのためらいもなく・・・」
ヤンの目に涙がうっすらと浮かんだ。

「・・・それが二人の出会いというわけね。」
にわかには信じがたい話だが、ヒメコは何とか納得した。

「私も父のやり方に疑問を持っていてな・・・。戦場に赴いて、少しでも多くの命を救おうとしていた。」

「魔王様は、先代に気付かれないように私をかくまってくれました。
やがて先代が戦死して魔王様が即位すると、私を大臣として重用してくれたのです。
・・・ヴォルグさん、これが”真実”です。信じてもらえますか?」

「ふん。魔王の前で嘘をつくこともないだろう。・・・信じてやる。」
ヴォルグの口調は穏やかになっていた。

「なぜ・・・」
ヒメコがヴォルグに問いかけた。
「なぜ・・・放火なんてしたの?」

「”魔が差した”んだろうな・・・。深い理由はない。
ただ、力を誇示したかったのかもしれない・・・。炎魔の・・・」

「・・・」(ヴォルグさん・・・)

・・・三日後ー。
「ヴォルグは魔界の裁判所で裁かれることになったよ。」
「そうですか・・・。」
「仲間が犯罪を犯すのは・・・辛いな。」
「はい・・・」

”仲間”というのが”魔族そのもの”を指すのか、”炎魔”を指すのか、ヤンには分からなかった。
ただ、辛いのは確かだった。





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魔王のお見合い! 第二十六話『炎魔の過去・前編!』


「私たち炎魔は、代々魔王様に仕えてきました。
しかし、魔界統一戦争のとき、内部分裂が起きます。
魔王様に仕え続けるか、または ー 逆らって炎魔による独立政権を築くか。
永きに渡る戦争の中、二つの派閥の溝は深くなっていきます。
ただ、頭首のクリムゾン家は中立の立場を取り、現状維持に努めていました。」

「そんなことは知っている!」

「続きを聞いて下さい。
・・・私の祖父が頭首のとき、均衡が崩れます。
祖父が・・・穏健派の何人かを処刑し、独立政権を建てたのです。」

「それも知っている!何度も言わせるな。」

「処刑された者の中に・・・あなたの父、ジェド=ヴォルケノもいましたね。」
「・・・!何故父の名を・・・!」
「これでも頭首の跡取りでしたから・・・。炎魔のことで知らないことはありません。」

ヴォルグはヤンが自分を捕まえたときのことを思い出した。
ヤンは、ヴォルグが炎魔であることにすぐ気がついていたのだ。
先程ヤンを笑った己が情けなかった。

「私の父は、祖父に抗議をしました。が、結局殺されてしまいます。」
「・・・」
「すぐに魔王軍との戦争が始まりました。
もちろん、勝てるはずもありません。炎魔は滅亡します。」

「・・・それが”真実”か?そのくらい、俺でも知っている。」
「今まで話したのは一般に語られている歴史です。”真実”とは異なるのです。」
「は・・・?」

「あなたの父や、私の父を殺したのは祖父ではありません。先代魔王です。」
「なっ・・・!」
「先代が・・・”危険分子”として炎魔の武闘派を処刑したのです。」




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魔王のお見合い! 第二十五話『クリムゾン!』


「なるほど。その放火魔が、この男という訳か・・・」
「はい。警察で処理できる問題ではないので・・・」

魔族の問題は、魔族が解決しなくてはー。
そう考えたヤンはヒメコと一緒に、取り押さえた男を魔王のもと -魔王室- に連れてきた。


「俺をどうするつもりだ。」
放火魔が威勢よく声を上げた。
虚勢にも見えた。
「まあ待て。まずはお前の名前を聞こうではないか、炎魔よ。」
「ふん・・・。ヴォルグだ。ヴォルグ=ヴォルカノ。」
「ヤン、知っているか?」

「・・・。いえ・・・」
ヤンが静かに首を横に振った。

「ははっ」
そのヤンの様子を見て、ヴォルグが笑い出した。
「そりゃあ、知らないだろうよ。俺は炎魔の中でも、かなり下の方の身分だったからな。ヤン様ほどのお方になると、そんな下賎な奴らに興味もないだろう!」

「・・・どういうこと、ヤン君?」
それまで黙っていたヒメコが割って入った。

「ヤンは・・・炎を司る魔族・炎魔の頭首である、クリムゾン家の者だ。そして今言った通り、このヴォルグという男も炎魔・・・ということだ。」
魔王が代わりに答えた。

”クリムゾン家”と聞いて、ヴォルグの目の色が変わった。
「そうだ・・・貴様らクリムゾン家のせいで俺ら炎魔は・・・!」
「ヴォルグ・・・さん。」
ヤンは申し訳なさそうに立ち尽くしていた。

「ヤン・・・。真実を話したらどうだ?炎魔の真実を・・・」
「魔王様・・・。わかりました。ヴォルグさん、そしてヒメコさんもよく聞いて下さい。これから語るのは・・・すべて真実です。」





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少しシリアスになってきましたが、どうしても書きたい話なのでご了承を。