学生狂(小説・魔王のお見合い!連載中) -18ページ目

魔王のお見合い! 第四十六話『クララのお見合い・前編!』


「わたしに・・・一目惚れ?」
「は、はい!」
顔を赤くしながら、威勢良く返事をするアティ。

「ほほう。クララにも春が来たか?」
魔王がいたずらっぽく微笑んだ。
「ちょ、ちょっと兄さん!」
クララも顔を真っ赤にしている。

「美男美女で、お似合いのカップルよ。」
ヒメコも囃し立てる。

「と、とにかく!ここは人が多すぎよ!どこかでゆっくり話しましょう!」

一行は喫茶店『イービル』に入った。
アンティークや絵画が飾ってあり、趣き深い雰囲気を醸し出している。
店長に頼んで、貸し切りにしてもらった。

クララとアティが向き合う形で座り、その周りを他のメンバーが囲って座った。

「あの、まずはお名前を・・・」
クララがおずおずと尋ねる。
「申し遅れました!俺・・・じゃない、私は”アティ=クルセイダス”です!」
「あの、『俺』で結構ですよ。」
「・・・あ、ありがとうございます!ええと、クララ・・・さん?」
「ええ。クララ=S=デビルよ。よろしくね。」
アティに比べて、クララには落ち着きが見え始めていた。
しかし、どちらもまだ顔は赤かった。

「あ、あの!クララさんはお付き合いなさっている男性などは!いますか!?」
「いないわ。」
(よかったああ!)
アティは心底安心した。

「ええと、なにかご趣味などは・・・?」
「おばあさまにお琴を習っていて・・・。結構上手よ?」

(ああ、それは本当だったのか。)
魔王はクララが自分を試しに、お見合いにやってきたときのことを思い出していた。

「お琴ですか!魔界では琴の使い手は絶滅してしまったんですよ。」
魔王とヤンもうなずく。

一方、クララはこの会話の流れに焦りを感じていた。
(ていうか、これ・・・)(お見合いじゃん!)




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魔王のお見合い! 第四十五話『アティ登場!』


中世ヨーロッパを思わせる、煉瓦作りの建物が立ち並ぶ。
人間界のように”発達”はしていないが、魅力的な光景である。

「お待ちしておりました。」
屈強な男が一同に話しかけてきた。
「あ、あなた!」
クララは思わず声を上げてしまった。
「ディフさん!?」

男がハハハ、と高らかに笑った。
「違いますよ、私はディフの弟、”シルディ”です。以後お見知りおきを。」
「き、兄弟か・・・」

魔王府のそれとは違い、魔界側の門は街の中の広場にあった。
そのため、魔王の帰還を聞きつけた街の者がすぐに集まってきた。

「魔王様!」
「魔王様、恋人はみつかりましたか!?」
「魔王様!」

老若男女、人種を問わず大人気であった。

一同が対応に困る中、一人の青年が群衆をかき分けてきた。

「魔王様!俺・・・じゃなかった。私がわかりますか!?」
「ええと・・・。ああ、アティじゃないか!足は治ったのか?」
「はい!おかげさまで!」

「彼・・・アティも私と同じく、魔王様に戦場でその命を助けられた身です。」
ヤンがクララとヒメコに向かって呟いた。

アティは凛々しい好青年であった。
顔のパーツが整っていて、輪郭も鋭い。
そんなアティのキリっとした目がクララに向けられた。

「ま、魔王様。こちらの女性は?」
アティの顔が紅潮している。
「クララだ。私の腹違いの妹である。」
「いもうと・・・。あの、その、クララさんに一目惚れしてしまいました!」

「ええ!?」
クララはまたもや声を上げて驚いてしまった。




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あくまで『お見合いコメディ』ですから、次回は『クララのお見合い!』です。


魔王のお見合い! 用語解説!(天魔の門)を更新!


用語解説に、天魔の門を掲載しました。

魔界と人間界を繋ぐ門・・・。
この響きに憧れていましたが、やっと出すことができました。
魔界唾飛ばし編、よろしくおねがいします!





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魔王のお見合い! 第四十四話『魔界へ!』


「よし、みんな揃ったな!」
ヤン、クララ、ヒメコが魔王室に集合した。
ヒメコは一度魔界 —ヤンの故郷— を訪れてみたいと言って、ついてきたのだった。

「どうやって行くの?」
ヒメコがヤンに質問した。
「”天魔の門”を使うんです。」
「天魔の門?どこにあるの?」
「この魔王府の地下にあります。」
「そんなところが・・・」

一行が魔王府の地下に向かうと、一人の屈強な男が出迎えた。
「魔王様!待っておりました!」
坊主頭にはいくつもの生傷がある。
見た目と礼儀正しさのギャップが激しい男だった。


男は、ヒメコとクララの方を向いた。
「はじめまして!”天魔の門”門番、”ディフ=ガーディアス”です!」
そう言うと、ディフは二人に握手を求めてきた。
二人は応じたが、ディフの手は汗でべとべとしていた。

「では準備はできておりますので、早速どうぞ!」

クララもヒメコも緊張していた。
クララは幼い頃、わずかな期間を魔界で過ごしたことはあったが、もちろん覚えていなかった。

天魔の門は、門とは言うものの、鏡のような形をしていた。

まず魔王が入っていった。
続いてヒメコとクララ。
しんがりはヤンが務めた。

少しの間真っ暗な空間を歩くと、意外にすんなり魔界に到着した。

「ここが魔界・・・!」




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魔王のお見合い! 第四十三話『クララの母!』

「クララ、今日は日曜日よ。朝早くからどうしたの?」
「ああ、母さん。」
クララは母親と二人暮らしだった。
先代魔王を余程愛していたのだろうか、クララの母・梨花[りか]は結婚する気が全くなかった。
ただ、もともとが裕福な家系であったため、金銭面で困ることもなかった。

クララはリュックに荷物を詰めているところだった。
「また魔王のところ?」
梨花は『魔王様』とは決して呼ばない。
「この前言ったじゃない!魔界に行くのよ。兄さんが心配で・・・」
「あ、ああ。例の”勝負”とやらね。最近物覚えが悪くて・・・」

「もう。一回で覚えてよね。」
「ごめんね。・・・でも、まさかあなたが、魔界に行くなんてね・・・」
梨花は過去を懐かしむかのようにクララを見つめた。

「魔王は・・・あなたの兄さんは、あの人に似てるわね・・・」
テレビで魔王を見てから、これが梨花の口癖になっていた。

「息子だからね。ねえ、先代はどういう人だったの?」

「少なくとも”私には”優しかった・・・。としか言いようがないわ。」
「ふうん。」(意味ありげね・・・)
クララもそれ以上は聞かなかった。

しばらくすると、クララの支度が終わった。
「それじゃあ、行ってくる。」
「うん、気をつけてね!」

梨花は家から離れていくクララが、見えなくなるまで見送っていた。
かつて同様に見送り、二度とは帰ってこなかった者を思い出しながら・・・。




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