魔王のお見合い! 第五十五話『守桜!』
つやのある黒髪。
かわいらしさを演出するツインテール。
気が強そうに見えるけど、どこか甘えたがっているような目。
それらを併せ持つ女子大生・八田 守桜は、死の覚悟と一目惚れをほぼ同時に経験したことがある。
それは俗にいう、“看板事件”の時であった。
ちょうど落下する看板の下にいた守桜は、すぐに落下に気付いたものの、体が動かなかった。
もうだめか、と思った。
しかし、看板が落ちてきても自分は生きている。というより看板は地に着いていなかった。
ピンクスーツの、品の良さそうなチョビ髭のオッサンが看板を支えているのである。
「早く外に出て下さい!」と叫ぶ彼には威厳があった。
それが魔王であったと気付いたのは、すでに彼が去った後だったが、守桜は彼に一目惚れしていた。
想いを伝えたい一心で、魔王の動向を探っていたが、なかなかチャンスが来ない。
しかし、ある日魔王が自ら街に繰り出してきたのだった。
なんとか魔王にメールアドレスを渡した守桜は、幸せで気を失いそうだった。
返信が来たときなど尚更だった。
今、まさに魔王とメールをしている。
「やった!また返信だ!」
と狂喜しながら、守桜は悶えていた。
「『魔王様、1789歳なの!?∑ヾ( ̄0 ̄;ノ ていうか“エル”って呼んでいい?(〃∇〃)』っと。」
普段の自分とのギャップを感じつつも、「まいっか」と思ってしまう守桜であった。
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かわいらしさを演出するツインテール。
気が強そうに見えるけど、どこか甘えたがっているような目。
それらを併せ持つ女子大生・八田 守桜は、死の覚悟と一目惚れをほぼ同時に経験したことがある。
それは俗にいう、“看板事件”の時であった。
ちょうど落下する看板の下にいた守桜は、すぐに落下に気付いたものの、体が動かなかった。
もうだめか、と思った。
しかし、看板が落ちてきても自分は生きている。というより看板は地に着いていなかった。
ピンクスーツの、品の良さそうなチョビ髭のオッサンが看板を支えているのである。
「早く外に出て下さい!」と叫ぶ彼には威厳があった。
それが魔王であったと気付いたのは、すでに彼が去った後だったが、守桜は彼に一目惚れしていた。
想いを伝えたい一心で、魔王の動向を探っていたが、なかなかチャンスが来ない。
しかし、ある日魔王が自ら街に繰り出してきたのだった。
なんとか魔王にメールアドレスを渡した守桜は、幸せで気を失いそうだった。
返信が来たときなど尚更だった。
今、まさに魔王とメールをしている。
「やった!また返信だ!」
と狂喜しながら、守桜は悶えていた。
「『魔王様、1789歳なの!?∑ヾ( ̄0 ̄;ノ ていうか“エル”って呼んでいい?(〃∇〃)』っと。」
普段の自分とのギャップを感じつつも、「まいっか」と思ってしまう守桜であった。
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魔王のお見合い! 第五十四話『メール!』
「ううん・・・」
「どうしたんですか?」
携帯電話の画面を見つめて唸る魔王に、ヤンが尋ねる。
「いや・・・。昨日、女性にアドレスが書かれた紙を渡されてな。」
「それって・・・“お誘い”じゃないでしようか。」
「ううむ。それにしてはおかしい態度であったが・・・」
「と言いますと?」
「こう、なんだかツンツンしているのだ。」
「ツンツン・・・。」
「まあ一度メールしてみるか。」
「そうですね。」
魔王はおもむろにメールを打ちはじめた。
「こんにちは、魔王です・・・っと。」
「あ。」
ヤンが時計を見て呟く。
「どうした?」
「もうすぐ待ち合わせの時間です・・・」
「ヒメコさんとか?」
「はい。ヒメコさんの実家に行って、両親に御挨拶しようと。」
「そうか。頑張れよ。」
「はい!ありがとうございます!」
そう言うと、ヤンは魔王室を出て行った。
魔王がメールを送信してから、わずか一分。
はやくも返信が来た。
「なんだなんだ・・・えーと『こんにちは♡八田 守桜[やだ すおう]です♪よろしくね(≧▽≦)』・・・。これ、あの人か?」
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魔王のお見合い! 第五十三話『新たな出会い!』
人間界に戻ってから、すでに三日が過ぎる。
魔王はひとり、渋谷の街を歩いていた。
ピンクのスーツに身を包み、堂々と闊歩する。
自分でお見合い相手を見つけるためである。
ヤンは結婚準備で忙しいのだ。
喜ばしいことであったが、それが余計に魔王を悶々とさせた。
なぜ自分には彼女がいないのか、と。
居ても立ってもいられない魔王は、誰にも告げずに街へ繰り出したのであった。
「あ、あれ魔王じゃない?」
「あ、ホントだあ!」
「写メ写メ!」
メディアへの露出はめっきり減った魔王であったが、その人気は衰えていなかった。
魔王を見ると騒ぐ人がほとんどである。
悪い気はしなかった。
そんな調子で歩いてると、一人の女性が魔王の前に急に飛び出し、ぶつかって転んでしまった。
「だ、大丈夫ですか?」
魔王が手を差し伸べると、女性はその手をはたいた。
「優しくしてもらったって・・・うれしくないんだから!」
「え?」
まだ高校生くらいにも見える女性は、唇をツンと尖らせ、頬をピンクに染める。
「わ、わたし急いでるから!」
女性は走り去っていった。
(なんだったんだろう・・・)
・・・
結局、誰にも声をかけることができないまま、魔王は魔王府に戻ってきた。
「ん?」
魔王府の前に、誰か立っている。
近づいてみると、先程の女性であった。
「あ、あんたが魔王だって・・・気付いてたから!」
「はあ。」
「べ、べ、べつに、お礼を言いにきた訳じゃないんだからね。」
「はあ。」
「・・・もう!知らない!」
女性は魔王の横を通って、帰ろうとした。
「こ、これ!」
去り際に魔王に一枚の紙切れを渡し、女性は小走りで去った。
(よくわからないが・・・かわいかったな。)
紙切れを見ると、メールアドレスが書いてある。
(・・・?)(アドレス?)(まあいいや・・・)
魔王は疲れていたので、とりあえず寝ることにした。
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魔王のお見合い! 第五十二話『満月の誓い!』
「ヒメコさん、おやすみなさい。」
「うん。おやすみ。」
ヒメコの家の前で挨拶だけすると、ヤンは帰ろうとした。
「ヤン君。」
ヤンは少し驚いた様子で振り向く。
「はい。」
「あの・・・。ううん、ごめん。何でもないの。」
「ヒメコさん。」
「お、おやすみ!」
「待って!」
慌てて部屋に入ろうとするヒメコを、ヤンが呼び止める。
「結婚しましょう!」
ヤンが真っすぐにヒメコを見つめて、声を張り上げる。
「・・・え?」
「二人で幸せになるんです!」
「でも・・・」
「ヒメコさんの方が早く亡くなるでしょう・・・。でも、僕はこの生涯で、あなたしか愛さないと誓います。幸せにしてみます!」
「ヤン、君・・・」
ヒメコは泣いていた。
それを見て、ヤンの目にも涙が溢れ出してきた。
「わたしが・・・言いたかったのに。」
涙を拭いながらヒメコが微笑む。
二人を、満月が優しく照らす。
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