■ フロントフォークのオイル漏れ修理(オイルシール交換)
導入から10年が経過して、(過去に「先延ばし」してきた分も含めて)このあたりでまとめて「お手入れ」をしておこうと考えた管理人のヤマハマジェスティS「ねこうめ」
長期間、オイルを漏らしながら「だましだまし」使ってきたフロントフォークも、ここらで根本的に完治しておこうと、重い腰を上げて整備に入るのだった。
本内容は管理人が行った活動の記録だったりする。各名称等は管理人が使用しているもので正式なものではないかも。こんな記録を参考にせず、正しい情報を入手して、正しく活動されたい。万一、参考にしてしまう場合には自己責任で。
■ これまでの経緯とか
前々回、 フロントフォークを抜き取るための準備として、外装・フロントホイール・ブレーキキャリパーといった部品を取り外して・・・
続いて前回、2本のフロントフォークを車体側から取り外している。
■ 作業とか(フロントフォーク分解)
外したフロントフォークの、所謂「三又」(アンダブラケツトコンプリート)に留められていた上側、インナーチューブ(インナチユーブコンプリート1)のめっき表面についた錆跡を、
とりあえずウェスで磨いて拭き取っておく。
左側フロントフォーク・アウターチューブの上側(アウターチューブとインナーチューブの境界側)を見ると、
漏れたフォークオイルと汚れが付着している。(こびりついている)
ちなみに、「フォークオイル漏れ」症状がでていたのは左側フロントフォークだけで、右側フロントフォークからのオイルは漏れは発生していない。
しつこくこびりついた汚れを、
洗油(灯油)で、
洗っておく。
ついでにもう一方の(車体右側の)フロントフォークも洗っておく。
付着した汚れを落としておいたフロントフォーク。
とりあえずアウターチューブのボトムにあるボルト(ヘキサゴンソケット)を回してみる。
やっぱり空回りするので先に進んでおく。
インナーチューブの上側を見ると、
トップ部分に錆が発生しているので、
少し磨いておく。
フォークトップのキャップを外すため、
いつものようにT字レンチの先端部分をキャップに当てて、
T字レンチの横バー側を胸に当てて、キャップを押し込む。
内部のスプリングを押しこんで、キャップが中に入った隙に、キャップを留めていたC型のリング状クリップ(リング,フエルト)を取り外すと、
キャップが外れる。
車体左側のフロントフォークから先にキャップを外したのだが、フォークオイルを排出すると、
濁った色のフォークオイルが排出された。
フォークオイルが排出されたところで、
ダストシールを外してみる。
ダストシールを外したその内側、
特に錆等が見当たらなかったので一安心。
オイルシールを留めているクリップ(リング,ピストン)を外してみる。
ここでフォーク(アウターチューブ)の底にあるボルトが気になって回してみるが、やっぱり空回りする。
仕方ないのでやっぱり先に進んでしまう。
続いて車体右側のフロントフォーク。
インナーチューブの上側、やっぱり錆びている。
磨いて錆を軽く除いてから、趣味の防錆(錆転換剤塗布)でも実施しておこう。
左側のフロントフォークと同様にトップキャップを外してから、
フォークオイルを排出する。
車体右側のフロントフォークからもフォークオイルを排出する。
車体左側のフロントフォークから排出されたフォークオイルと較べたら、澄んだ色のフォークオイルが排出された。
一般的にブレーキキャリパーが付いている方のフロントフォークが、(ブレーキキャリパーが付いていない方のフロントフォークと較べて)いろいろと(オイルシールやフォークオイルが)劣化しやすいと言われる。
ブレーキをかける度にフロントフォークの伸縮方向とは別に伸縮部分を曲げる方向にも力が加わってしまうブレーキキャリパーを装備した方のフロントフォークが他より劣化しやすいのは当然といえば当然なのだが、今回はその傾向が顕著に出ている。
とりあえずフロントフォークを逆さまにして、内部に残ったフォークオイルを排出しておく。
(この間に新しいオイルシールを準備とか)
フォークオイルの排出が終わったところで、アウターチューブのボトムにあるボルトを外すべく努力してみる。
六角レンチでボルトを回すと、フロントフォーク内部にあるピストン状の部品(シート,スプリングアツパ)が空回りしてしまう。
インナーチューブの端から内部にロッド(参考:フォークオイルシールの交換#02 XTZ125「ねこちやづけ」)を突っ込んで内部の部品の空回りを防ごうとするが、その程度の固定力では内部の部品の空回りを防ぐことができず、ボルトを抜くことができない。
フロントフォークの内部に突っ込むロッドの先端が六角形状になった工具もあるようだが、管理人がそんな専用工具的なものを持っている筈もなく、
いよいよ空回りするボルトを無視して更に先に進むわけにもいかなくなり、仕方がないのでエアインパクトドライバーを引っ張り出してきて一気に緩めてみる。
さすがに文明の利器、新・必殺仕事人のエンディングテーマ 思い出の糸車 並みに空回りしていたボルトも一発で取り外すことができた。
外したボルト(ボルト,ヘキサゴンソケツトヘツド)
汚れが付着した状態。
フロントフォーク(アウターチューブ)の底にヘドロ状の汚れが溜まっていたのだろうな。
アウターチューブ底のボルトを外したところで、何の引っかかりもなくインナーチューブが抜けてきた。
(本車のフロントフォークには「メタル」が付いていない。インナーチューブを引き抜く際にスライドメタルとオイルシールが引っかかる事も無く、ボルトを抜くと何の抵抗もなくインナーチューブが抜けてくるのだった。)
なお、同クラススクーター系のPCXやADVといった機種のフロントフォークにも「スライドメタル」は装備されておらず、一般的なスクーター系はフロントフォークは(モーターサイクル系のフロントフォークまわりを持つ特殊な機種を除き)スライドメタルが無いのが一般的なようだ。
で、
抜き取ったインナーチューブの内部から、
先ほどまで空回りしていたピストン的な部品が抜けてきた。
その上端側、六角形状の凹みがあるので、ここに嵌るロッドを挿入していたら、空回りを防ぐことができたはず。
(サスペンションオーバーホールを行う業者では、ここに嵌るい自作工具を使用している動画を見たことがある。)
インナーチューブの下側、アウターチューブ内に挿入される側の形状。
滑らかな形状で、ここがアウターチューブの内壁を滑ってストロークすることになる。
アウターチューブの内部を見ると、
劣化したオイルシール。
オイルシールを外して、
内部をパーツクリーナーで濯いでおく。
この内壁をインナーチューブが滑ってストロークする。
インナーチューブの中に入っていたピストン的な部品
(シート,スプリングアツパ) |
ここの穴の小ささが、マジェスティS(初期型)のフロントサスペンションの特徴(=段差通過時の激しめの衝撃)の主な要因だったはず。(以前パーツリストを見比べた際に、後期型とはここの部品が異なっていた。)
フォークオイルが通過するであろう、この小さな穴。
ここの穴をドリルで拡大するとか、この部品を後期型の部品に交換するとか、フロントサスペンションの「激しめの衝撃」を緩和するために「何らかの対策」を実施するならこの機会がチャンスなのだが、今回はそのまま組み直してしまう。(何も対策をしないという意味ではない。)
洗浄した部品。
巻きの密度が上下で異なるスプリング。
フォークの下側の巻きが密だったはず。
スプリングも濯いでおく。
車体左側のフロントフォークも、
同様に分解。
アウターチューブの内部の様子。
汚れが溜まっている。
オイルシールを外し、
アウターチューブ内部の底にある部品(ピストン,フロントフオーク)の内部もパーツクリーナーで洗浄しておいた。
部品を洗浄した状態。(左側フロントフォーク)
この後、新しいオイルシールの取付とかに続いてしまう予定。
続いてしまった。