Hard Attack
リグとロンズはボンズと細身の男によばれた大男を正面に見据えるように立っていた。
(パワー型、か・・・)
リグがつぶやく。
ロンズは軍服の上からでもわかるほど隆起したボンズの筋肉のつき方の観察を続ける。
(上半身に比べて下半身がプアだな。)
身構えたままの二人に対してボンズが問いかける
「おい・・・。おまえら・・・・かかってこいよ。」
そういいながらボンズはゆっくりと前に進み出て二人との間合いを詰める。
「こないならおれからいくぞ・・・」
そういうとさらに間合いを詰めながら大きく右腕を振りかぶる。
ロンズが身構える。
リグは2,3歩下がるとロンズと体幹がかぶらぬよう、さらに右に1歩ずれて身構える。
(これでよし。存分にお互い動けるというものだ)
リグはロンズの背後で自分のとるべき動きのタイミングを計る。
ボンズの右腕が振り下ろされる。
(遅い!)
リグはあっけにとられた。
(素人のボクシング以下だぞ・・・)
ロンズは苦も無くそのパンチをよけ、腰を落として踏み込みボンズの懐にもぐりこむ。
ボンズの右わき腹はノーガードでロンズの前に曝け出される。
(もらった!)
ロンズは渾身の力で左わき腹にパンチを打ち込む。
手ごたえを感じたロンズはボンズの顔を仰ぎ見る
(効いたか?)
が、しかしボンズの表情は変わらない。眼がぎょろりと動いてロンズを見下ろす。
とっさにロンズは飛びのく。
ロンズのいた場所を右腕同様、ゆっくりとした軌跡を描いて左腕が振り下ろされる。
「しとめそこなったか?」
ロンズはボンズを見据えたまま答える。
「思い切りぶち込んだが効いてないようだ」
「なっ!」
リグが驚きの声を上げる。
(こいつは思った以上に頑丈で厄介だな。)
ロンズが今度は一気に前に出る。
ボンズはやはり右腕を振り上げる。
先ほどと同様に懐にもぐりこんでわき腹に攻撃を加えた後
振り下ろされる左腕をよけながら右わき腹にも
攻撃を加える。
リグは少し離れたところで細身の男とやりあう天才の様子を伺う。
(あの調子ならそろそろ蹴りのバリエーションはおさえたか・・・)
先ほどまで蹴りを両腕に当てながら往なしていた天才の動きが体捌きで蹴りをかわすようになっていた。
細身の男は天才が体捌きで蹴りをかわし、パンチを往なしながら徐々に間合いを詰めていくのに気がついていない。
ボンズの攻撃は変わらず単調なままだった。
右腕が第一撃、次いで左腕は振り下ろすか、振り回すかで第2撃。
その間をロンズが縫うように接近し、パンチを左右のわき腹に叩き込む。
もう10分ほどまるでリピート再生のような状況が続く。
リグはその様子を見ながらやや緊張感に欠けたあくびをした。
(きりがねえな)
「ロンズ!、大丈夫か!」
リグがロンズに声をかける。
「任せろ!」
そういったロンズの息は荒く、肩の上下がその疲労の度合いを示していた。
(随分と手間がかかるな。ロンズのパンチ力は尋常じゃない。もらい続ければ真っ先に足に来るはずだが・・・)
リグはボンズの表情を見てぞっとする。
ボンズは最初の表情のまま、攻撃スピードも衰えていなかった。いや、スピードを維持していた。
ボンズは攻撃にスピードこそないものの、鍛えた体で攻撃を受け凌ぎ
そのスタミナでやがてスタミナの落ちた相手を凌駕する。
そういう戦法を取っているようだった。
「ボンズ!どうだ!遊んでるか!」
細身の男が怒鳴る。
「マグワイア・・・こいつ・・すばしこくて・・・・・」
ボンズが答える。
「”ブースター”を使え!」
マグワイアがボンズに答える。
(ブースター?武器か?)
その声にロンズが反応し、さっと飛びのき、間合いを確保する。
ボンズはごそごそと胸ポケットから細身の何かを取り出す。
(注射器? 薬物か!)
リグもロンズも眼を見張って動きが止まる。
ボンズはその注射器のキャップをはずし、自分の首筋に突き立てる。
薬物を注入し終わると注射器を投げ捨て、腕、肩をぐるぐるとまわし始める。
はじめは早く、そして徐々にゆっくりとまわし、やがてその動きを止める。
ぎろりとロンズを睨んだボンズの目は先ほどとは違い赤く充血している。
「さ、続きだ・・・」
途端、砂埃がばっと舞い、ボンズが猛烈なスピードで踏み込んであっという間にロンズの眼前に現れる。
(!!)
防御の反応をするまもなく、ロンズがなぎ倒される
(ロンズ!!)
リグは同時に身構えるが、その上から振り下ろされた左腕がリグをもなぎ倒す。
「のろまっていうなよ・・・・・」
ボンズの赤い眼が二人を交互に射抜く。
(やれやれ、とんだ芸当だな。びっくりした)
「早くなっても結果は一緒だ。」
「お前は俺たちに倒される」
リグとロンズが改めてファイティングポーズを取り直す。
Hard Attack 完
第2章 Break Shotに続く
第2章
**********Old man
「司令部からの要請で例のものの進捗に関して情報をもらおうと思ってね」
いづいが老人を見上げながら問いかけに答える。
「案内してもらっってたんだが」
「私たち、配属間もないものだから要領を得なくて」
Risaがつじつまを合わせるように続ける。
老人は書架の天井から6人をじろりと睨む。
(ばれたか?・・・。)
SPAWNは背後に回した右手で4人に合図を送る。
(騒ぐようなら、仕留めろ)
ジョーとハマは射撃動作に移れるように老人を見据えながら銃に再度手をかける。
「まったく、本社の連中は何をしておる。」
そういいながら書架の梯子を老人はゆっくりと降り、やがていづいたちの前にやってきた。
「実働部隊はいつもせっかちだな。レポートは毎月送っているから、状況がこの短期間で劇的に変わることがないことくらいわかりそうなものだが」
そういいながら老人は書架から抜き出した3冊のファイルを差し出した。
「ほれ、ウォールハック、高硬度装甲、重装機兵の最新の報告書じゃ」
「ウォールハック・・・」
ハマーンのつぶやきに老人が反応する。
「先月のレポートでは技術的な課題解消の目処あり、としたんじゃが思ったよりも根が深くてな。3ヶ月ほど制式化は延期せざるを得ん、としておる。」
「そうか、それは仕方ない話かもな。」
いづいは3冊のレポートをジョーのバックに入れながら、撤収の段取りを考え始める。
「たすかったよ。じゃ俺たちはこれで失礼することにする」
(C4の時間もある。長居は無用だな)
「うむ。」
6人はぞろぞろと出口に向かって歩き始める。
「ところで配属されたばかりといっておったが、ここに入るには特殊なIDカードが必要なはず。」
その問いかけに思わずRisa、ジョー、ハマが足を止める。
「あ、あのー・・・・・」
その言動を見て老人の目つきが変わる。SPAWN、いづい、ハマーンもその変化をも見逃さなかった。
(まずい。やるか?マスター)
SPAWNがおろしている左腕の袖口からするりとナイフが左手の中に滑り込む。
言葉も無く、お互いがにらみ合ったような状態が続く。時間にすれば4,5秒の間の話だが、まるで時間の流れが遅くなったかのようだった。
(よし、や・・・・・)
いづいが意を決して指示を出そうとした瞬間、奥の書架に仕掛けたC4の1つが爆発した。
規模は小さいが、老人の注意をそらすには十分な爆発音と爆風がラボ内に充満する。
(いくぞ!)
爆発音と同時にいづいから指示が出され、同時に6人は踵を返してラボのドアを目指す。
老人は爆発音のする方に視線を移動させた瞬間、爆風によって書架に叩きつけられ、どうっとその場に倒れこんだ。
(死んではいないな)
最後尾のいづいはちらりと老人の様子を確認する。
(無駄に死人を出すのは主義じゃないからな)
6人がラボを出た瞬間、爆発音が立て続けに鳴り、施設内に警報が鳴り響く。
と同時に施設内の照明は青白いものからオレンジに切り替わる。
廊下の奥のほうからは靴音が響いてくる。
(結構な人数だが革靴のようだ、兵士ではないな)
ジョーが状況を予測する。
(通風孔から逃げるぞ)
ハマーンが腰を落とし、手を組んだところに5人はつぎつぎと足をかけて飛び上がる。
その度にハマーンは組んだ手を上に振り上げ、ジャンプを手助けする。
最後にRisaを放り投げるとハマーン自身もジャンプする。
通風孔の淵に手を掛け、懸垂の要領で体を持ち上げると足先からするりと通風孔に滑り込む。
(天才!、こちらは撤収開始、そちらはどうだ!)
いづいがコミュータで施設の外で撤収支援統率をするはずの天才に状況を確認する。
(・・・・・間に合わせる!)
荒い呼吸音とともに天才からの応答が返ってくる。
---------------------------------------------
「呼吸が荒くなったぞ、いいのか。くっくっく」
敵のリーダー格らしき細身の男が天才に問いかける。
天才たちの前には兵士が2人、一人は細身で長身、もう一人は2mを超える身長でがっしりとした体躯の男が立っていた。
(まったく、らしくないしくじりだぜ)
天才たちは10分ほど前に撤収支援の為に施設の周囲を廻って所々にC4を仕掛けていた。
カモフラージュされた燃料タンクを発見し、そこに7つめのC4を仕掛け終わり、狙撃による支援体勢を取る為に離れようとしていたタイミングでこの男たちが不意に現れたのだ。
リグ、ロンズは即座に銃を構えた。
が、ここで発砲すれば燃料タンクに当たって意図しないタイミングで爆発させることになってしまう。
それを懸念した天才が銃撃を制止する。
「だれだ、貴様ら」
大柄な男が抑揚のない声でさらに続ける
「見たことのないやつらだ・・・・・」
細身の男が続ける。細身の男は天才たち3人をみて舌なめずりをする。
「ちょうどいい。研究所の警護なんて刺激のない業務で退屈してたところだ。」
そういうと銃をすてて身構える。
「ボンズ、お前も体がなまってんだろ、白兵戦、白兵戦といこうじゃねえか」
大柄な男もそれに答える。
「そうだな・・・・。おれはこっちの二人と遊ぶことにしよう・・・・。」
「なっ」
リグとロンズが気色ばむ。
「後悔させてやるよ。でくのぼう・・・」
リグとロンズも銃を捨てて身構えた。
(近接戦闘に自信あり、か。こいつらを片付けないと撤収支援は完了できんな、やむを得ん。)
天才も銃を捨て、身構える。
それを見た細身の男がゆっくりと前に進み出る。天才はやや腰を落とした状態で身構える。
細身の男が踏み込む。さっきまでのゆっくりとした動きからスピードが上がっている。
(早い!)
ぎりぎりまで攻撃を見切るために天才はあえて受けの姿勢で迎え撃つ。
男のパンチを左手でいなしたところで男がさらに左足を踏み込み、蹴りを放つ。
(蹴り自体は早くないな)
そう思った瞬間、蹴りの軌跡を見失った。
(なっ。)
瞬間、天才は本能的に左腕に力を込める。と、左手甲に蹴りの衝撃が加わり、同時に天才の体は右に吹き飛ばされる
(蹴りの軌跡が変わった!、見えなかったぞ)
吹き飛んでいる最中に天才は体を入れ替えて受身を取りつつすぐさま起き上がる。
男はその吹き飛んだ先にまで瞬時に移動し、天才が起き上がったときには蹴りの第2撃が振り下ろされていた。
ゴーグル越しに天才は右膝よりも上を遅れて足先が動いているのをみた。
(柔術!)
南米地方で発達した柔術には蹴りの際、先に出る膝の軌跡とそれに遅れ、且つ異なる足先の軌跡が描くものがある。
天才はとっさに蹴りを肘でいなすがそれでも衝撃のすべては往なし切れず、倒れないように再度足を踏ん張らざるを得なかった。
「どうした。白兵戦は苦手か? 戦争は銃だけじゃないだろう。くっくっく」
細身の男は舌なめずりをする。
天才は間合いを保ちつつ荒い呼吸を整え、マスクをはずす。
「もう息が上がったか。くっくっく」
天才がそれまでのスタンスを広く取り腰を落とした姿勢から、スタンスを狭くして立ちなおす。
「選抜を・・・・・・なめるなよ・・・・」
Old man 完
第2章
HardAttackに続く
**********Old man
「司令部からの要請で例のものの進捗に関して情報をもらおうと思ってね」
いづいが老人を見上げながら問いかけに答える。
「案内してもらっってたんだが」
「私たち、配属間もないものだから要領を得なくて」
Risaがつじつまを合わせるように続ける。
老人は書架の天井から6人をじろりと睨む。
(ばれたか?・・・。)
SPAWNは背後に回した右手で4人に合図を送る。
(騒ぐようなら、仕留めろ)
ジョーとハマは射撃動作に移れるように老人を見据えながら銃に再度手をかける。
「まったく、本社の連中は何をしておる。」
そういいながら書架の梯子を老人はゆっくりと降り、やがていづいたちの前にやってきた。
「実働部隊はいつもせっかちだな。レポートは毎月送っているから、状況がこの短期間で劇的に変わることがないことくらいわかりそうなものだが」
そういいながら老人は書架から抜き出した3冊のファイルを差し出した。
「ほれ、ウォールハック、高硬度装甲、重装機兵の最新の報告書じゃ」
「ウォールハック・・・」
ハマーンのつぶやきに老人が反応する。
「先月のレポートでは技術的な課題解消の目処あり、としたんじゃが思ったよりも根が深くてな。3ヶ月ほど制式化は延期せざるを得ん、としておる。」
「そうか、それは仕方ない話かもな。」
いづいは3冊のレポートをジョーのバックに入れながら、撤収の段取りを考え始める。
「たすかったよ。じゃ俺たちはこれで失礼することにする」
(C4の時間もある。長居は無用だな)
「うむ。」
6人はぞろぞろと出口に向かって歩き始める。
「ところで配属されたばかりといっておったが、ここに入るには特殊なIDカードが必要なはず。」
その問いかけに思わずRisa、ジョー、ハマが足を止める。
「あ、あのー・・・・・」
その言動を見て老人の目つきが変わる。SPAWN、いづい、ハマーンもその変化をも見逃さなかった。
(まずい。やるか?マスター)
SPAWNがおろしている左腕の袖口からするりとナイフが左手の中に滑り込む。
言葉も無く、お互いがにらみ合ったような状態が続く。時間にすれば4,5秒の間の話だが、まるで時間の流れが遅くなったかのようだった。
(よし、や・・・・・)
いづいが意を決して指示を出そうとした瞬間、奥の書架に仕掛けたC4の1つが爆発した。
規模は小さいが、老人の注意をそらすには十分な爆発音と爆風がラボ内に充満する。
(いくぞ!)
爆発音と同時にいづいから指示が出され、同時に6人は踵を返してラボのドアを目指す。
老人は爆発音のする方に視線を移動させた瞬間、爆風によって書架に叩きつけられ、どうっとその場に倒れこんだ。
(死んではいないな)
最後尾のいづいはちらりと老人の様子を確認する。
(無駄に死人を出すのは主義じゃないからな)
6人がラボを出た瞬間、爆発音が立て続けに鳴り、施設内に警報が鳴り響く。
と同時に施設内の照明は青白いものからオレンジに切り替わる。
廊下の奥のほうからは靴音が響いてくる。
(結構な人数だが革靴のようだ、兵士ではないな)
ジョーが状況を予測する。
(通風孔から逃げるぞ)
ハマーンが腰を落とし、手を組んだところに5人はつぎつぎと足をかけて飛び上がる。
その度にハマーンは組んだ手を上に振り上げ、ジャンプを手助けする。
最後にRisaを放り投げるとハマーン自身もジャンプする。
通風孔の淵に手を掛け、懸垂の要領で体を持ち上げると足先からするりと通風孔に滑り込む。
(天才!、こちらは撤収開始、そちらはどうだ!)
いづいがコミュータで施設の外で撤収支援統率をするはずの天才に状況を確認する。
(・・・・・間に合わせる!)
荒い呼吸音とともに天才からの応答が返ってくる。
---------------------------------------------
「呼吸が荒くなったぞ、いいのか。くっくっく」
敵のリーダー格らしき細身の男が天才に問いかける。
天才たちの前には兵士が2人、一人は細身で長身、もう一人は2mを超える身長でがっしりとした体躯の男が立っていた。
(まったく、らしくないしくじりだぜ)
天才たちは10分ほど前に撤収支援の為に施設の周囲を廻って所々にC4を仕掛けていた。
カモフラージュされた燃料タンクを発見し、そこに7つめのC4を仕掛け終わり、狙撃による支援体勢を取る為に離れようとしていたタイミングでこの男たちが不意に現れたのだ。
リグ、ロンズは即座に銃を構えた。
が、ここで発砲すれば燃料タンクに当たって意図しないタイミングで爆発させることになってしまう。
それを懸念した天才が銃撃を制止する。
「だれだ、貴様ら」
大柄な男が抑揚のない声でさらに続ける
「見たことのないやつらだ・・・・・」
細身の男が続ける。細身の男は天才たち3人をみて舌なめずりをする。
「ちょうどいい。研究所の警護なんて刺激のない業務で退屈してたところだ。」
そういうと銃をすてて身構える。
「ボンズ、お前も体がなまってんだろ、白兵戦、白兵戦といこうじゃねえか」
大柄な男もそれに答える。
「そうだな・・・・。おれはこっちの二人と遊ぶことにしよう・・・・。」
「なっ」
リグとロンズが気色ばむ。
「後悔させてやるよ。でくのぼう・・・」
リグとロンズも銃を捨てて身構えた。
(近接戦闘に自信あり、か。こいつらを片付けないと撤収支援は完了できんな、やむを得ん。)
天才も銃を捨て、身構える。
それを見た細身の男がゆっくりと前に進み出る。天才はやや腰を落とした状態で身構える。
細身の男が踏み込む。さっきまでのゆっくりとした動きからスピードが上がっている。
(早い!)
ぎりぎりまで攻撃を見切るために天才はあえて受けの姿勢で迎え撃つ。
男のパンチを左手でいなしたところで男がさらに左足を踏み込み、蹴りを放つ。
(蹴り自体は早くないな)
そう思った瞬間、蹴りの軌跡を見失った。
(なっ。)
瞬間、天才は本能的に左腕に力を込める。と、左手甲に蹴りの衝撃が加わり、同時に天才の体は右に吹き飛ばされる
(蹴りの軌跡が変わった!、見えなかったぞ)
吹き飛んでいる最中に天才は体を入れ替えて受身を取りつつすぐさま起き上がる。
男はその吹き飛んだ先にまで瞬時に移動し、天才が起き上がったときには蹴りの第2撃が振り下ろされていた。
ゴーグル越しに天才は右膝よりも上を遅れて足先が動いているのをみた。
(柔術!)
南米地方で発達した柔術には蹴りの際、先に出る膝の軌跡とそれに遅れ、且つ異なる足先の軌跡が描くものがある。
天才はとっさに蹴りを肘でいなすがそれでも衝撃のすべては往なし切れず、倒れないように再度足を踏ん張らざるを得なかった。
「どうした。白兵戦は苦手か? 戦争は銃だけじゃないだろう。くっくっく」
細身の男は舌なめずりをする。
天才は間合いを保ちつつ荒い呼吸を整え、マスクをはずす。
「もう息が上がったか。くっくっく」
天才がそれまでのスタンスを広く取り腰を落とした姿勢から、スタンスを狭くして立ちなおす。
「選抜を・・・・・・なめるなよ・・・・」
Old man 完
第2章
HardAttackに続く
第2章
**********Boys and Girl
見張りの兵を制圧したRisa ハマ ジョーは天才 リグ ロンズとは別の方向に走り出す。
(Risa そちらのチームの統率はまかせた)
天才からコミュータ越しに指示が飛ぶ。
(了解。坊やたちのお守りは任せて)
それを聞いてハマとジョーは不満を口にする。
(おいおい。俺たちゃ赤ん坊じゃないんだぜ)
低い姿勢で移動しながらRisaが切り返す。
(あら、あたしは11からこういうことやってるわ。)
(そうかもしれないがね・・・)
憮然とするジョーに比べハマは冷静に物事を捉えて言った。
(俺たちは潜入任務の経験が少ない。ジョー、ここはお手並み拝見でいいじゃねーか)
(物分りがよくて助かるわ。大丈夫、へまはしないわ)
そういうとRisaは通風孔に消える。
ハマとジョーもその後に続く。
通風孔に入ると、ハマ、ジョーの順に先へと進んでいく。
Risaは後方の確認をしながら後に続く。
通風孔はところどころ分岐はしているものの径から考えれば主道は容易に想像できた。
メインの通風孔の先には必ず、リネン室や食堂など人気が少なく、
警戒の薄いエリアに出ることができる。
Risaは移動しながらそれらへの投下を最善と考えていた。
(ハマ、どう?出られそうなところはある?)
ハマは匍匐前進しながら答える
(もう少し行くとダクトがある。そこから出られるかもしれない)
(OK。そこで降りましょう)
ダクトにたどり着いたハマは器用に外ねじをはずすとダクトからスコープを少し入れる。
(ロッカールームみたいだな。人もいない)
ダクトをそっとはずすと、3人は音も無くロッカールームと思しき部屋に降り立つ。
(ほんとロッカールームね・・・)
ロッカーは凡そ200人分を一列として20列ほどあることが確認できた。
1つ1つのロッカーは80cmほどの幅があり、ほとんどのロッカーは鍵がかかっていて
あかないことも確認できた。
(ここに通ってるって感じじゃないわね。ここで生活と研究、ってことかしら)
手近にある鍵のかかっていないロッカーをRisaがあける。
ロッカーの中には白衣が入っている。
スリッパや手袋など一式がそろっている。
(そうだ・・・。)
暫くすると3人は白衣に身を包んでいた。
「おい、これは・・・」
ハマがさすがに恥ずかしそうにRisaに意図を確認する
「この格好が一番目立たないわよ。ほら」
Risaがくるりと身を翻す。
「コスプレじゃねえか」
ジョーがつぶやく。
「じゃあんた、軍服で見つかって蜂の巣になる?」
Risaがジョーのあごを指で支えながら問いかける。
「わかった。任務のためだ」
ジョーが引き下がる。
「いい子ね、聞き分けのいい子、私好きよ」
暫く廊下を進むと金属音と乾いた銃声が2発聞こえた。
反射的に三人はそれぞれの携帯していた武器に手をかけて身構える
(なに、今の)
Risaはあたりを見渡しながら考える。
先ほどジョーを手玉に取った悪戯な微笑とは逆に眼光鋭く、口元はきっと結ばれている。
(マスターたちだろう)
ジョーが答える。
(近接戦闘でいつものライフルや銃は使っていない。
俺たちも近接戦闘前提で行った方がよさそうだな)
ハマが状況と方針を提案する。
(そうね)
そう答えながらRisaはこの二人の状況把握と選択の正確さに舌を巻く。
(さすが若くしてこのチームにいるだけのことはあるわね)
暫く歩くとドアから白衣の男が現れた。
「こんにちわ」
Risaは飛び切りの笑顔で挨拶をする。ハマとジョーもぎこちなく会釈をする。
「ああ」
不精ひげを生やし髪も寝癖のついたその男はやや面食らったようにその挨拶に反応する。
「配属されたばかりで研究室がわからないの。」
Risaが続ける。
「ああ。何の研究だい」
「あ、あの極秘の研究って聞いてるから詳しくは・・・」
「ああ、ならこれを奥に進んで突き当たりのドアを入ればブースがあるよ」
男はRisaを上から下まで舐める様に見、ついで奥に控えている二人の男をチラッと見た。
「お、女の人が配属ってのは珍しいな」
「あらそう?」
「よ、よかった今度食堂で一緒に飯をたべないか」
(この手の男は勘弁、願い下げね)
Risaはぐっと男の顔に近づく。
男はそれだけで及び腰のようになった。
「ええ、今度お願いしたいわ」
そういうとさっと身を翻して男の横を通り過ぎる。
ハマとジョーもそそくさとその場を離れる。
「きっとだぞ!」
男はうれしそうに手を振ると次のドアに消えていった。
「おい、すげーな」
ハマがRisaに声をかける
「男をあしらうってのはああいう感じなのか・・・」
ジョーもひとしきり感心したようにつぶやく。
その気配を背後に感じながらRisaはくすくすと笑い出す。
「聞きだす方法はいくらでもあるわ。でもあんなに簡単な手口で引っかかるなんて・・・」
(やっぱりここで生活してるのかもしれないわね。あの反応からすると女性の研究員は珍しいみたいだから長居すると彼からばれるかも知れないわね)
ドアを開けるとそこにはマスターをはじめとした先発の3人がすでにいた。
「あら」
「よう。どうやらここがラボの入り口らしい。ブースがあるんだがそれぞれキーロックがかかっている。暗号側から無いんでは入りようが無いぞ」
いづいがテンキーボックスを見ながら吐き出す。
「ああ、この手のタイプか」
ジョーがごそごそとバックをまさぐって電卓のようなものを出す。電卓の先にはコードが着いておりカードがついていた。
「これで破れると思う」
カードをテンキーのスロットに流すとロック解除を示す緑色のLEDが点灯する。
「どうやって?」
「ああ、カードで暗号の組み合わせを瞬時に全件試すのさ。所詮9桁しかないから全件といっても知れてるけどね」
ブースのドアが開くとそこは資料が壁の書架にぎっしりとかかっている部屋が見える。
「OK,適当にピックアップして持って帰ろう。残りは焼却。」
6人はそれぞれ書架にある書類をぱらぱらとめくり、ジョーのバックに放り込む。
ついで時限C4を各所にセットする。
「OK。こんなもんだろう、次に行こうぜ」
ハマーンがいづいに声をかける。
「そうだな」
周りをぐるりと見渡していづいが答える。
「だれだ!」
声のするほうを6人がいっせいに見上げる。
書架の最上段から老人が鋭い目つきで6人を見据えている。
(やるか?)
ハマとジョーが腰裏に隠した拳銃に手をかける
(まて。)
いづいがそれを制する。
第2章 Boys and Grils 完
Old manに続く
**********Boys and Girl
見張りの兵を制圧したRisa ハマ ジョーは天才 リグ ロンズとは別の方向に走り出す。
(Risa そちらのチームの統率はまかせた)
天才からコミュータ越しに指示が飛ぶ。
(了解。坊やたちのお守りは任せて)
それを聞いてハマとジョーは不満を口にする。
(おいおい。俺たちゃ赤ん坊じゃないんだぜ)
低い姿勢で移動しながらRisaが切り返す。
(あら、あたしは11からこういうことやってるわ。)
(そうかもしれないがね・・・)
憮然とするジョーに比べハマは冷静に物事を捉えて言った。
(俺たちは潜入任務の経験が少ない。ジョー、ここはお手並み拝見でいいじゃねーか)
(物分りがよくて助かるわ。大丈夫、へまはしないわ)
そういうとRisaは通風孔に消える。
ハマとジョーもその後に続く。
通風孔に入ると、ハマ、ジョーの順に先へと進んでいく。
Risaは後方の確認をしながら後に続く。
通風孔はところどころ分岐はしているものの径から考えれば主道は容易に想像できた。
メインの通風孔の先には必ず、リネン室や食堂など人気が少なく、
警戒の薄いエリアに出ることができる。
Risaは移動しながらそれらへの投下を最善と考えていた。
(ハマ、どう?出られそうなところはある?)
ハマは匍匐前進しながら答える
(もう少し行くとダクトがある。そこから出られるかもしれない)
(OK。そこで降りましょう)
ダクトにたどり着いたハマは器用に外ねじをはずすとダクトからスコープを少し入れる。
(ロッカールームみたいだな。人もいない)
ダクトをそっとはずすと、3人は音も無くロッカールームと思しき部屋に降り立つ。
(ほんとロッカールームね・・・)
ロッカーは凡そ200人分を一列として20列ほどあることが確認できた。
1つ1つのロッカーは80cmほどの幅があり、ほとんどのロッカーは鍵がかかっていて
あかないことも確認できた。
(ここに通ってるって感じじゃないわね。ここで生活と研究、ってことかしら)
手近にある鍵のかかっていないロッカーをRisaがあける。
ロッカーの中には白衣が入っている。
スリッパや手袋など一式がそろっている。
(そうだ・・・。)
暫くすると3人は白衣に身を包んでいた。
「おい、これは・・・」
ハマがさすがに恥ずかしそうにRisaに意図を確認する
「この格好が一番目立たないわよ。ほら」
Risaがくるりと身を翻す。
「コスプレじゃねえか」
ジョーがつぶやく。
「じゃあんた、軍服で見つかって蜂の巣になる?」
Risaがジョーのあごを指で支えながら問いかける。
「わかった。任務のためだ」
ジョーが引き下がる。
「いい子ね、聞き分けのいい子、私好きよ」
暫く廊下を進むと金属音と乾いた銃声が2発聞こえた。
反射的に三人はそれぞれの携帯していた武器に手をかけて身構える
(なに、今の)
Risaはあたりを見渡しながら考える。
先ほどジョーを手玉に取った悪戯な微笑とは逆に眼光鋭く、口元はきっと結ばれている。
(マスターたちだろう)
ジョーが答える。
(近接戦闘でいつものライフルや銃は使っていない。
俺たちも近接戦闘前提で行った方がよさそうだな)
ハマが状況と方針を提案する。
(そうね)
そう答えながらRisaはこの二人の状況把握と選択の正確さに舌を巻く。
(さすが若くしてこのチームにいるだけのことはあるわね)
暫く歩くとドアから白衣の男が現れた。
「こんにちわ」
Risaは飛び切りの笑顔で挨拶をする。ハマとジョーもぎこちなく会釈をする。
「ああ」
不精ひげを生やし髪も寝癖のついたその男はやや面食らったようにその挨拶に反応する。
「配属されたばかりで研究室がわからないの。」
Risaが続ける。
「ああ。何の研究だい」
「あ、あの極秘の研究って聞いてるから詳しくは・・・」
「ああ、ならこれを奥に進んで突き当たりのドアを入ればブースがあるよ」
男はRisaを上から下まで舐める様に見、ついで奥に控えている二人の男をチラッと見た。
「お、女の人が配属ってのは珍しいな」
「あらそう?」
「よ、よかった今度食堂で一緒に飯をたべないか」
(この手の男は勘弁、願い下げね)
Risaはぐっと男の顔に近づく。
男はそれだけで及び腰のようになった。
「ええ、今度お願いしたいわ」
そういうとさっと身を翻して男の横を通り過ぎる。
ハマとジョーもそそくさとその場を離れる。
「きっとだぞ!」
男はうれしそうに手を振ると次のドアに消えていった。
「おい、すげーな」
ハマがRisaに声をかける
「男をあしらうってのはああいう感じなのか・・・」
ジョーもひとしきり感心したようにつぶやく。
その気配を背後に感じながらRisaはくすくすと笑い出す。
「聞きだす方法はいくらでもあるわ。でもあんなに簡単な手口で引っかかるなんて・・・」
(やっぱりここで生活してるのかもしれないわね。あの反応からすると女性の研究員は珍しいみたいだから長居すると彼からばれるかも知れないわね)
ドアを開けるとそこにはマスターをはじめとした先発の3人がすでにいた。
「あら」
「よう。どうやらここがラボの入り口らしい。ブースがあるんだがそれぞれキーロックがかかっている。暗号側から無いんでは入りようが無いぞ」
いづいがテンキーボックスを見ながら吐き出す。
「ああ、この手のタイプか」
ジョーがごそごそとバックをまさぐって電卓のようなものを出す。電卓の先にはコードが着いておりカードがついていた。
「これで破れると思う」
カードをテンキーのスロットに流すとロック解除を示す緑色のLEDが点灯する。
「どうやって?」
「ああ、カードで暗号の組み合わせを瞬時に全件試すのさ。所詮9桁しかないから全件といっても知れてるけどね」
ブースのドアが開くとそこは資料が壁の書架にぎっしりとかかっている部屋が見える。
「OK,適当にピックアップして持って帰ろう。残りは焼却。」
6人はそれぞれ書架にある書類をぱらぱらとめくり、ジョーのバックに放り込む。
ついで時限C4を各所にセットする。
「OK。こんなもんだろう、次に行こうぜ」
ハマーンがいづいに声をかける。
「そうだな」
周りをぐるりと見渡していづいが答える。
「だれだ!」
声のするほうを6人がいっせいに見上げる。
書架の最上段から老人が鋭い目つきで6人を見据えている。
(やるか?)
ハマとジョーが腰裏に隠した拳銃に手をかける
(まて。)
いづいがそれを制する。
第2章 Boys and Grils 完
Old manに続く