小説:アサルト選抜チーム | RCSPAWNのブログ

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第2章
**********Old man


「司令部からの要請で例のものの進捗に関して情報をもらおうと思ってね」

いづいが老人を見上げながら問いかけに答える。

「案内してもらっってたんだが」

「私たち、配属間もないものだから要領を得なくて」

Risaがつじつまを合わせるように続ける。

老人は書架の天井から6人をじろりと睨む。

(ばれたか?・・・。)

SPAWNは背後に回した右手で4人に合図を送る。

(騒ぐようなら、仕留めろ)

ジョーとハマは射撃動作に移れるように老人を見据えながら銃に再度手をかける。

「まったく、本社の連中は何をしておる。」

そういいながら書架の梯子を老人はゆっくりと降り、やがていづいたちの前にやってきた。

「実働部隊はいつもせっかちだな。レポートは毎月送っているから、状況がこの短期間で劇的に変わることがないことくらいわかりそうなものだが」

そういいながら老人は書架から抜き出した3冊のファイルを差し出した。

「ほれ、ウォールハック、高硬度装甲、重装機兵の最新の報告書じゃ」

「ウォールハック・・・」

ハマーンのつぶやきに老人が反応する。

「先月のレポートでは技術的な課題解消の目処あり、としたんじゃが思ったよりも根が深くてな。3ヶ月ほど制式化は延期せざるを得ん、としておる。」

「そうか、それは仕方ない話かもな。」

いづいは3冊のレポートをジョーのバックに入れながら、撤収の段取りを考え始める。

「たすかったよ。じゃ俺たちはこれで失礼することにする」

(C4の時間もある。長居は無用だな)

「うむ。」

6人はぞろぞろと出口に向かって歩き始める。

「ところで配属されたばかりといっておったが、ここに入るには特殊なIDカードが必要なはず。」

その問いかけに思わずRisa、ジョー、ハマが足を止める。

「あ、あのー・・・・・」

その言動を見て老人の目つきが変わる。SPAWN、いづい、ハマーンもその変化をも見逃さなかった。

(まずい。やるか?マスター)

SPAWNがおろしている左腕の袖口からするりとナイフが左手の中に滑り込む。

言葉も無く、お互いがにらみ合ったような状態が続く。時間にすれば4,5秒の間の話だが、まるで時間の流れが遅くなったかのようだった。

(よし、や・・・・・)

いづいが意を決して指示を出そうとした瞬間、奥の書架に仕掛けたC4の1つが爆発した。

規模は小さいが、老人の注意をそらすには十分な爆発音と爆風がラボ内に充満する。

(いくぞ!)

爆発音と同時にいづいから指示が出され、同時に6人は踵を返してラボのドアを目指す。

老人は爆発音のする方に視線を移動させた瞬間、爆風によって書架に叩きつけられ、どうっとその場に倒れこんだ。

(死んではいないな)

最後尾のいづいはちらりと老人の様子を確認する。

(無駄に死人を出すのは主義じゃないからな)

6人がラボを出た瞬間、爆発音が立て続けに鳴り、施設内に警報が鳴り響く。

と同時に施設内の照明は青白いものからオレンジに切り替わる。

廊下の奥のほうからは靴音が響いてくる。

(結構な人数だが革靴のようだ、兵士ではないな)

ジョーが状況を予測する。

(通風孔から逃げるぞ)

ハマーンが腰を落とし、手を組んだところに5人はつぎつぎと足をかけて飛び上がる。

その度にハマーンは組んだ手を上に振り上げ、ジャンプを手助けする。

最後にRisaを放り投げるとハマーン自身もジャンプする。

通風孔の淵に手を掛け、懸垂の要領で体を持ち上げると足先からするりと通風孔に滑り込む。

(天才!、こちらは撤収開始、そちらはどうだ!)

いづいがコミュータで施設の外で撤収支援統率をするはずの天才に状況を確認する。

(・・・・・間に合わせる!)

荒い呼吸音とともに天才からの応答が返ってくる。

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「呼吸が荒くなったぞ、いいのか。くっくっく」

敵のリーダー格らしき細身の男が天才に問いかける。

天才たちの前には兵士が2人、一人は細身で長身、もう一人は2mを超える身長でがっしりとした体躯の男が立っていた。

(まったく、らしくないしくじりだぜ)

天才たちは10分ほど前に撤収支援の為に施設の周囲を廻って所々にC4を仕掛けていた。

カモフラージュされた燃料タンクを発見し、そこに7つめのC4を仕掛け終わり、狙撃による支援体勢を取る為に離れようとしていたタイミングでこの男たちが不意に現れたのだ。

リグ、ロンズは即座に銃を構えた。

が、ここで発砲すれば燃料タンクに当たって意図しないタイミングで爆発させることになってしまう。

それを懸念した天才が銃撃を制止する。

「だれだ、貴様ら」

大柄な男が抑揚のない声でさらに続ける

「見たことのないやつらだ・・・・・」

細身の男が続ける。細身の男は天才たち3人をみて舌なめずりをする。

「ちょうどいい。研究所の警護なんて刺激のない業務で退屈してたところだ。」

そういうと銃をすてて身構える。

「ボンズ、お前も体がなまってんだろ、白兵戦、白兵戦といこうじゃねえか」

大柄な男もそれに答える。

「そうだな・・・・。おれはこっちの二人と遊ぶことにしよう・・・・。」

「なっ」

リグとロンズが気色ばむ。

「後悔させてやるよ。でくのぼう・・・」

リグとロンズも銃を捨てて身構えた。

(近接戦闘に自信あり、か。こいつらを片付けないと撤収支援は完了できんな、やむを得ん。)

天才も銃を捨て、身構える。

それを見た細身の男がゆっくりと前に進み出る。天才はやや腰を落とした状態で身構える。

細身の男が踏み込む。さっきまでのゆっくりとした動きからスピードが上がっている。

(早い!)

ぎりぎりまで攻撃を見切るために天才はあえて受けの姿勢で迎え撃つ。

男のパンチを左手でいなしたところで男がさらに左足を踏み込み、蹴りを放つ。

(蹴り自体は早くないな)

そう思った瞬間、蹴りの軌跡を見失った。

(なっ。)

瞬間、天才は本能的に左腕に力を込める。と、左手甲に蹴りの衝撃が加わり、同時に天才の体は右に吹き飛ばされる

(蹴りの軌跡が変わった!、見えなかったぞ)

吹き飛んでいる最中に天才は体を入れ替えて受身を取りつつすぐさま起き上がる。

男はその吹き飛んだ先にまで瞬時に移動し、天才が起き上がったときには蹴りの第2撃が振り下ろされていた。

ゴーグル越しに天才は右膝よりも上を遅れて足先が動いているのをみた。

(柔術!)

南米地方で発達した柔術には蹴りの際、先に出る膝の軌跡とそれに遅れ、且つ異なる足先の軌跡が描くものがある。

天才はとっさに蹴りを肘でいなすがそれでも衝撃のすべては往なし切れず、倒れないように再度足を踏ん張らざるを得なかった。

「どうした。白兵戦は苦手か? 戦争は銃だけじゃないだろう。くっくっく」

細身の男は舌なめずりをする。

天才は間合いを保ちつつ荒い呼吸を整え、マスクをはずす。

「もう息が上がったか。くっくっく」


天才がそれまでのスタンスを広く取り腰を落とした姿勢から、スタンスを狭くして立ちなおす。

「選抜を・・・・・・なめるなよ・・・・」

Old man 完

第2章

HardAttackに続く