その手伝いの最中に事故で池に落ちた夜花は、不思議な雰囲気の少年、千歳に助けられる。
なんといっても、主人公を助ける使い魔(?)ゆきうさが可愛い。
口の悪いところがまたいい(笑)。
主人公は〈まれびと〉となった少女、夜花。
両親を喪い、厳しく当たる祖母の元で暮らしており、自立しようとしている頑張り屋で明るい彼女ですが、実は孤独でどうしようも無いぐあい厭世的な痛みを抱えている様子が胸を打ちます。
一方で同じ〈まれびと〉となった少女、晴。
彼女の自覚の無い悪意が怖いですね。
その彼女を番として選んだ序列一位の瑞希の不完全な様子も含め、今後に波乱と不幸を巻き起こしそうな予感がします。
そして、ひょんな事から夜花を助けた千歳。
ある呪いと祝福を受けている千歳の打算的だった目的も、夜花との交流で変化が見受けられます。
社城家の中では序列が決められており、その一族内での権力闘争や陰謀なども今後描かれいきそうですし、千歳の秘密や〈まれびと〉について、そして何より前向きに生きようと決意する夜花と、その反対に内へ内へとこもりそうな晴、二人の運命がどう描かれていくのか。
続きが楽しみな現代ファンタジーの開幕です。
ジョージア州、ユニオン郡の保安官ヴィクターは、デイト郡で同じく保安官を務めている弟が車に轢逃げされ死亡したとの訃報を受ける。
確執のあるフランクとは長年連絡も取っていなかったが、弔問に訪れた先でその存在すら知らなかった姪のジェニファーから、父親の死の真相を調べて欲しいとお願いされる。
最初はそんなつもりも無かったヴィクターだが、地元警察への不信感が芽生え、調査する事に…。
著者の『静かなる天使の叫び』も良かった記憶がありますが、本作もまた実に良かったです。
保安官のヴィクターが喧嘩別れし疎遠となったままの弟フランクの訃報を受けて始まる物語。
事実と現実に直面し、周囲に壁を作ってきたヴィクターが己の人生を取り戻していく様子が、弟の事件と共に少女が殺されて発見された事件を軸に、じっくりと描かれています。
事件の裏にある事実やヴィクター自身が抱える悔恨や怒り、贖罪の念など、全体的に暗いトーンで覆われていますが、登場人物たちの会話には思わずニヤリとしてしまうようなユーモアが多々、差し込まれている事もあって読みやすいですね。
ヴィクターと弟との間に出来た確執については終盤まで明らかにされませんが、その理由については、ヴィクターにも理由があるにせよ、それでもやはり自分がヴィクターだったら許せないかも。
それはさておき、事件を通じてヴィクターと関わるようになる各登場人物も魅力的でした。
なんといっても、純真ながらもちゃんと現実を理解しているような聡明さも見せる弟の娘であるジェニファー(ジェンナ)。
弟が死ぬまでその存在すら知らなかった彼女がいなければ、ヴィクターも弟の死の真相を探る事は無かったでしょうし、氷のようだったヴィクターの心も溶ける事は無かったでしょう。
二人で出かけた際に、ジェンナの姿が見えなくなった時のヴィクターの焦りといったら…!
そして、ヴィクターの側で常に支えてくれる受付係のバーバラもまた素敵な女性でした。
ヴィクターを心配しながらも時に叱咤するように全力でサポートする、有能過ぎるぐらい有能な仕事上のパートナー。
バーバラもまたヴィクターの心の拠り所の一つだったと思います。
更に管轄を超えてヴィクターに協力してくれる保安官仲間とのやり取りには、バーバラとの会話でもそうでしたが、飛び出るちょっとした格言めいた金言も響きましたし、事件解決に向けて動いてくれる姿には胸を熱くさせてくれるものがありました。
そういった人間関係と事件の背後をメインにじっくり描かれていた前半から一転し、後半は怒濤の展開。
この辺り、やはりこういった強引な手法でしか解決には至れないのかなとは思いましたが、ヴィクター達の激情に煽られるように熱くなりながら一気読みでした。
しかし人命が掛かっていたとしても、あれだけの事をして全部無かった事にできるんでしょうかね。
こういう大雑把な感じ、嫌いじゃないですけど(笑)。
ところで先に著者の『静かなる天使の叫び』も良かったなんて記しましたが、実をいうと良かった事だけ覚えていて内容はほとんど忘れていたりして。
でも、本書をきっかけに著者の他の作品も紹介されると嬉しいですね。















