6月の読書メーター
読んだ本の数:8
読んだページ数:3144
ナイス数:257
マルタの鷹【新訳版】 (創元推理文庫)の感想
読書会前に会場に向かう新幹線の中で再読。新訳で物語の構図、輪郭が分かりやすくなり、登場人物それぞれについても深く考えることができました。とはいえ全てが分かったとは言えないのはやはり自分の理解力の無さのせいでしょうか(笑)。ラストももしかして嘘ばかりで真実はいかに、とかだったらどうしようとかも思いました。
読了日:06月28日 著者:ダシール・ハメット
血の収穫【新訳版】 (創元推理文庫)の感想
汚れた町で汚れた探偵が多くの血を流す、ハードボイルドの元祖な物語。よく言えば頭が良いのですが、なんともずる賢くも臨機応変に嘘をついてその場を掌握し、誰も彼もが主人公の名無しのオプにかき回された挙句、町には死体の山が。いやー、よくオプ自身も死ななかったもんです(笑)。それにしてもダイナに振り回される男どもといったら。そこまでダイナが魅力的なのかが自分には分からないけど、どうしようもなく男を狂わすような女性なんでしょうね。
読了日:06月25日 著者:ダシール・ハメット
鎖された声 (ハヤカワ・ミステリ)の感想
2年前に行方不明になった少女エリーが保護される。何者かに監禁、虐待されてきたと思しきエリーですが、監禁されていた2年間についてはなかなか口を開こうとせず。担当する警官のチェルシーもまた姉を行方不明で失った過去が。その時の悔恨や正義感もあり、事件を解決しようとするその心情も丁寧に描かれています。ラストは思いがけない真実に驚きました。しかし何より心に残ったのは「娘を守ることに時間をかけるより、もっと息子を気にかけるべきではないだろうか」云々。ほんと、それな!
読了日:06月22日 著者:エミコ・ジーン
ボニーとクライドにはなれないけれど (創元推理文庫)の感想
なんとキュートな物語。バイトしているコンビニに強盗に入ったデルと恋に落ちたルイーズ。クライムノベルでありロードノベルでもあるんですが、時に読んでいて辛くなるようなお話もあるものの、二人の距離感が描かれる様子がなんとも心地いい。個人的には年間ベスト級、邦題も秀逸な連作短編集で、とても大好きな一冊になりました。
読了日:06月18日 著者:アート・テイラー
マルタの鷹【新訳版】 (創元推理文庫)の感想
小鷹信光氏版で何度か読んでいるハードボイルド小説の元祖を田口俊樹氏による新訳版で再読。とにかく主人公のサム・スペードの内面が排除されている事もあってか、二つの殺人事件とマルタの鷹に関する構造がより複雑さを見せます。サム自身は自身の中にある行動原理に従って動くので、傍から見ればクズのような男にしか見えませんね(笑)。とはいえ同じクズだとしても相棒を殺されれば黙ってはいられないというぶれない芯や、ファムファタール的な女性に対しても自身を曲げない姿が魅力的。映画版も久しぶりに観てみようっと。
読了日:06月15日 著者:ダシール・ハメット
19号室 (創元推理文庫)の感想
〈刑事トム・バビロン〉シリーズ二作目。ベルリン映画祭で映し出されたスナッフフィルム。捜査にあたるトムと相棒となる臨床心理士ジータは、旧東ドイツ時代からの闇と直面する事に。今回はジータの辛い過去が明らかになると同時に、トム自身も過去の事件に直面します。前作同様、謎につぐ謎で、読んでいて疲れることといったら(笑)。しかしトムとジータ、実は浅からぬ因縁があったとはなかなかな偶然ぶりですが、それゆえ絡み合う謎がこの先にどう展開していくのか、次作を待ちたいと思います。
読了日:06月12日 著者:マルク・ラーベ
暗殺依存症 (ハヤカワ・ミステリ)の感想
名前を聞いただけで戦意を喪失するような凄腕の暗殺者マーク。しかし「殺しの依存症」を治療しようと自助グループに入り不殺の誓いを立てているという設定が面白い。そんなマークが何者かに狙われて、更に次々と敵と対峙するにあたり暗殺衝動が蘇ってきて、さてどうするといったところも読み応えあります。実際読んでいてその衝動に身を任せてしまえと思ったりも。過去と現在が描かれ、映画ネタも多く、まさに映像化向きの作品。ちょっと戯画的だけど、それを分かって読むと楽しい。
読了日:06月07日 著者:ロブ・ハート
読書会は危険?: 〈秘密の階段建築社〉の事件簿 (創元推理文庫)の感想
〈秘密の階段建築社の事件簿〉2作目。今回は(ニセ)降霊会にて、突然テーブルの上に死体が現れるという事件に元イリュージョニストのテンペストが挑みます。事件現場となる読書会スペースは色んな仕掛けがあって楽しそう。こんな書斎、スペースが欲しくなります。事件そのものは不可能犯罪に見えるけれど、イリュージョニストらしく何をどう見るかがポイントで、本格ミステリ味のコージーミステリーとして楽しめました。主軸に家族の物語と謎があり、その辺も絡めている分、今回の事件だけに集中できないのが少し残念かな。でも次作も楽しみ。
読了日:06月03日 著者:ジジ・パンディアン
読書メーター
6月は海外作品しか読んでいませんでしたね。
そして早川書房のポケミスの2冊と、東京創元社の創元推理文庫5冊という偏りぶり。
7月は国内作品も読んでいこう!
さて、そんな6月で個人的イチオシは『ボニーとクライドにはなれないけれど』。
上半期で読んだ中でもベストに近いぐらい好きかも。
そして『マルタの鷹(新訳版)』は参加した読書会でいろんなお話が聞けたのでやはり印象深いですね。
著名な作家で大学教授だったモス・ヒューゴが亡くなって25年。
その追悼式が開催される事となり、かつての教え子たちが集まるが、吹雪に襲われた大学の施設で不穏な空気が高まり、最初の犠牲者が…。
雪の山荘で起きる殺人事件といえば、それだけでミステリファンの心をくすぐるものがあるかと思いますが、本作も某有名作品へのオマージュたっぷりなミステリ。
現在と25年前の過去について、どちらも主人公のネルによって語られていくのですが、学生時代だった25年前の出来事について、とにかく小出しにしか語られません。
なので、ある意味信頼できない語り手のようにも思え、読み手に大きなフラストレーションを与えるかと思います。
実際、中盤の現代パートでようやく最初の殺人事件が起きるまではなかなかの我慢を強いられるかも。
けれでも、彷徨える幽霊話や迷路のような地下洞窟などなど、まるでゴシックホラーのようにも思えてくる描写の中で、かつての仲間たちが次々と犠牲になっていく様子に、いつの間にか物語の中に惹きこまれます。
特に、ネルにとって親友であると同時にネルを支配する存在でもあったレイン。
作家として成功し、今回、資金集めを目指す学長より招かれていたものの、悪天候のせいか、ひとりだけ現れないまま。
レインが現れない中、モスの元で学んだ仲間たちそれぞれが、かつて創作した物語をなぞらえたかのように新たな事件が発生していくうちに、互いに疑心暗鬼になっていく姿。
それが、それぞれ愛憎入り混じる関係性と共に描かれる事で、より雰囲気たっぷりに感じ取れるのではないでしょうか。
勘のいい人は察することができるかなとも思いますし、自分も怪しいと感じながら読んでいましたが、それでも最後にはあっと驚くような真相を楽しむことができた、良質のミステリでした。