著名な作家で大学教授だったモス・ヒューゴが亡くなって25年。
その追悼式が開催される事となり、かつての教え子たちが集まるが、吹雪に襲われた大学の施設で不穏な空気が高まり、最初の犠牲者が…。
雪の山荘で起きる殺人事件といえば、それだけでミステリファンの心をくすぐるものがあるかと思いますが、本作も某有名作品へのオマージュたっぷりなミステリ。
現在と25年前の過去について、どちらも主人公のネルによって語られていくのですが、学生時代だった25年前の出来事について、とにかく小出しにしか語られません。
なので、ある意味信頼できない語り手のようにも思え、読み手に大きなフラストレーションを与えるかと思います。
実際、中盤の現代パートでようやく最初の殺人事件が起きるまではなかなかの我慢を強いられるかも。
けれでも、彷徨える幽霊話や迷路のような地下洞窟などなど、まるでゴシックホラーのようにも思えてくる描写の中で、かつての仲間たちが次々と犠牲になっていく様子に、いつの間にか物語の中に惹きこまれます。
特に、ネルにとって親友であると同時にネルを支配する存在でもあったレイン。
作家として成功し、今回、資金集めを目指す学長より招かれていたものの、悪天候のせいか、ひとりだけ現れないまま。
レインが現れない中、モスの元で学んだ仲間たちそれぞれが、かつて創作した物語をなぞらえたかのように新たな事件が発生していくうちに、互いに疑心暗鬼になっていく姿。
それが、それぞれ愛憎入り混じる関係性と共に描かれる事で、より雰囲気たっぷりに感じ取れるのではないでしょうか。
勘のいい人は察することができるかなとも思いますし、自分も怪しいと感じながら読んでいましたが、それでも最後にはあっと驚くような真相を楽しむことができた、良質のミステリでした。

