
ホロヴィッツの上手さ、面白さを存分に堪能できた、まさかのシリーズ3作目。
恋人とクレタ島でのホテル経営をしていたスーザンですが、再びロンドンに戻りフリーの編集者として、本の世界へと復帰します。
そんなスーザンの元に舞い込んできたのは〈アティカス・ビュント〉シリーズの最新作『ピュント最後の事件』を手掛けるというもの。
アラン・コンウェイに変わる著者は、かつてスーザンが編集者として関わったものの、作品は売れなかったミステリー作家エリオット・クレイスで、世界的児童文学者の孫にあたる人物。
エリオットは、〈アティカス・ビュント〉シリーズの生みの親、アラン・コンウェイと同様に付き合いが難しい相手ですが、彼の原稿は面白く、才能を感じたスーザンは出版に向けて協力していくことに。
というわけで、今回も作中作の事件と現実の事件がリンクしながら描かれていくのですが、やはりこの作中作が実に面白くて、もうそれだけでお腹が膨れそうです(笑)。
そこへもってきて自然死とされていたエリオットの世界的児童文学者だった祖母の死について疑いが。
実は毒殺であり、その犯人はエリオットの原稿の中に示されているというだけでなく、現実世界で起きる殺人事件、そしてスーザンがその容疑者となるという展開で、二重三重、雪だるま式に面白くなっていきます。
特に、ある事に関しては、大概の読者がある人物が怪しいと感じる通りとなるのだけれど、それを目くらましのようにしつつ、全体像が明らかにされていく様子というのが本当に上手いです。
現実世界でのエリオットの家族、そしてエリオットが書くミステリー。
それは怨讐うずまく一族の確執を描いた物語としての面白さがあり、その様は、やはり著者のクリスティーへの愛がこれでもかと詰まっているかのようにも感じます。
うん、やっぱり個人的には〈ホーソーン&ホロヴィッツ〉シリーズよりこちらの方が好きだなぁ。
そして、まさかまさかのシリーズ4作目が決まっているとのこと!
いまから読める日が楽しみです。























