人類に割り当てられる幸せの量はあらかじめ決められており、神様はその幸せを誰に分配するかを、一部の野良猫を調査員として任命し、幸せを与える人間を見極めていて…。
ほんわかとした可愛らしい猫と鳩のイラストの表紙ですが、内容自体は予想していたものより硬派な感じだったかも。
神様の幸せ調査員たる野良猫、キジトラのノラ。
猫らしく、自由気ままな様子で、なかなか幸せ調査員たり使命を果たそうとしません。
そんなノラに、神様のまさに伝書鳩、ノラの監視役たる伝書鳩のピースが、分け与える幸せが余っているから相応しい人間を探してこいとせっついてきます。
この二人のやり取りが漫才みたいで可笑しく、もう、ここだけでも読んでいたくなるほど(笑)。
さて、幸せ調査員のノラは、人間に化けて対象者のことを調べます。
神様のお陰で対象者もその周囲の人間もノラの事を不審に思わず、自然に悩みなどを打ち明けてくれるという、親切設定(笑)。
野良猫であるノラは、対象者の悩みだったり問題だったりについて聞いているうちに、その人にとっての「幸せ」を考えるように。
そんなノラの調査を通じ、現代社会が抱える問題が映し出されていきます。
やる気がないと公園で日向ぼっこしたり、人間に化けてラーメン屋めぐりをしたりする気ままな猫らしい姿と、人間のことは理解できないといいつつも、どうやら人間の歴史をずっと見てきたようで、妙に博識でシニカルに達観した様子も。
そんなギャップ萌え(?)な姿もあってか、ノラ本人の意図とは違うみたいだけれど、時折発言する名言には思わずハッとさせられることも。
ところで各話のタイトルは、再結成し、先日行われた日本公演も最高だった、イギリスのロックバンドoasisの名曲のタイトルとなっていて、その曲に合わせたセリフがあったり内容になっているので、oasisファンとしては思わずニヤリ。
単に曲をモチーフにしているだけかと思いきや、最終話はoasisの話も入っていてびっくりすると共に、「今夜、俺はロックンロール・スターだ」と叫びながら生きていこう、なんれ気持ちが昂るものがありました。
てな訳でオアシスのファンも是非手に取ってみてください(笑)。
ちなみに作中ではまだoasisは再結成をしていない模様なので、著者が書かれたのは再結成のニュース前なのかな。
そしてやっぱりファンなんでしょうか。だとしたらこの前の来日公演、観に行けていたらいいですね。

