ミーティングでアートについて扱った。 | 乱歩酔歩--Random Walk official blog--

ミーティングでアートについて扱った。

 

 

 

 

 

須々木です。

 

5月にやったRWのミーティングで、現代アートについて扱いました。

より具体的には、「横浜における現代アート」みたいな話です。

実際に「黄金町バザール2024 —世界のすべてがアートでできているわけではない—」に行ったりして、その後、さらに思考を深めていきました。

今回はそれに関連したお話など。

 

 

ミーティングについての詳細はこちら参照↓

 

米原による関連ブログ↓

 

 

 

 

まず、単純に今回の「黄金町バザール」に関する感想です。

 

2021年まで毎年開催されていた黄金町バザールが、そのあと2022年、2023年と連続でナシだったので残念に思っていましたが、今回復活してくれたことがまず何よりです。

もちろん、黄金町バザールがなくても他にいろいろ動きはあり、展覧会もやっていたりするのですが、やはり黄金町バザールという形での開催は一番しっくりきます。

 

個人的に、黄金町バザールは年によって受ける印象に差があるので、「今回はどんな感じだろうか?」と思って行ってきました。

今年は、3年に1度の横浜トリエンナーレがある年で、黄金町界隈よりもっと広い範囲でアートが超豊作です。

横浜トリエンナーレのテーマ「野草:いま、ここで生きてる」は、黄金町バザールをはじめとする関連アート・プログラムとの相性も非常に良かったです。

 

個々のアーティスト、個々の作品を楽しむ。

「黄金町バザール」など、個々のアートインベントとして楽しむ。

横浜トリエンナーレ、BankART Life、黄金町バザールなど横浜ベイサイドエリアで展開される一連のアート・プログラムを俯瞰して楽しむ。

 

こんな感じで、様々なスケールでアートに触れ、アートに浸り、アートで思考する機会を持てたことが、今回の最大のポイントだと思います。

点で楽しみ、線で楽しみ、面で楽しむことができる非常に贅沢な期間でした。

 

 

 

BankART Life7に関してはこちらで触れています↓

 

 

 

 

 

せっかくなので、ミーティングのときに発表した内容など、簡単に紹介しておこうと思います。

なお、①~③の課題は、ミーティング議長の遊木が事前に提示していたものです。

 

 

 

① 事前学習と展覧会鑑賞を通して感じた、「黄金町エリア」への率直な感想を発表せよ。

  • あくまで相対的なものだが、黄金町では完成度を最優先で求めなくて許される空気を感じる。結果として、探求の途中経過のようなものが作品として発表されることが多々ある。懐の深さを感じるし、自由な発想に触れる可能性が広がるので良い。
  • また、完成度を優先しなくても、強固なコンセプトの下で集まれば、魅力的な一つのコンテンツになりうるということを証明しているとも思う。この点について、RWとして参考にできる部分が多いだろう。
  • すでに数えられないくらい訪れている場所なので、慣れてしまい盲目になっていた感がある。せっかくなので、この機会に「黄金町の魅力/黄金町の力」を改めて考えてみた。
  • 黄金町界隈は、「ストーリー」を共有することで、境界線を厳格にひかなくても、ゆるくつながることができている。もっと俗っぽい言い方をすれば、「ストーリー」を推している(黄金町の今に至る経緯というストーリー)。「このストーリー推せる!」という人たちが黄金町のコミュニティを形成している。
  • もはや作品は物質的な意味でのそれ単体で価値を見出しにくくなってきている。ストーリー性をもっているかはとても重要だが、黄金町という場所は、マクロでもミクロでも多層的にストーリーが折り重なっているので(プロスポーツチームが、チームとしてのストーリーと所属している個々の選手のストーリーを有して、交差しているのと同様)、一過性ではない吸引力を持っているのだろう。
  • ストーリーも大きく2種類。一つは「歴史(過去のエピソード)」、もう一つは「ライブ感(現在リアルタイムに紡がれる現在のエピソード)」。学校教育など学習の場でも類似が見られる。関連する歴史的エピソード(だいたいテストには出ない)から入り興味を持たせてから本題に入るパターンが前者。教師の教え方など教室における状況が面白く、それに関連付けて記憶が定着するパターンが後者。黄金町は、この両方があるのも強い。過去の歴史は興味深いが、同時にリアルタイムの展開も興味を引く。
  • 結論として、黄金町というコンテンツがもつ独自性はかなり強いし面白い。

 

 

 

② ミーティングの前後で、「横浜で創作活動する自分達」に対する印象に変化はあったか、あるならどのような変化か、ないならその理由を発表せよ。

  • 現時点で特段の変化はない。個人としては、黄金町バザールをはじめとして、横浜に根差したアートイベントにはそれなりに足を運び観覧してきたので、新境地を開拓するような状況は起こりにくい(インプットのバリエーションは増えるが)。今後、印象が変わるとしたら、自分たちの立ち位置が変わったときだろう。自分たちの立ち位置が変われば、同じものを見ても新たな側面に気付けるようになるかもしれない。
  • 「横浜で創作活動する自分達」について考えるとき、もう少し限定的なエリアで想定しても面白い(「横浜」は時として概念的)。

 

 

③ 「表現の力」という言葉は用いずに、“表現の力”を表現する一文を創作し、発表せよ。

 

『他者の主観を歪める主観の力』

 

  • 「表現」はそもそも非常に主観的な領域の言葉だと思う。「表現」とは己の中の主観から生み出される。そして、その「表現」が「力」をもっていると言うためには、それが他者の「主観」に作用し何らかの歪みを発生させることが必要だと思う。歪められた者は、それを自己の成長により補正したり、うまく消化できずに苦しんだり、自己防衛的な反発を見せたり、受け入れて自己の表現ツールとして取り込んだりする。
  • イチゴなどが、多少ストレスがかかる環境に置かれると甘みを増すのも近いイメージ。そのように歪みを与え、レジリエンス(困難をしなやかに乗り越え回復する力)を引き出すのが、表現の力だと思う。

 

 

 

ところで、ミーティングの一環でメンバーそろって行った時点で始まっていない展示もあったので、後日、改めて行ってきました。

あとから増えたものも結構ありました。

 

 

 

 

 

 

 

 

Instagram関連投稿(黄金町バザール) ⇒      

 

 

 

 

 

5月には、横浜トリエンナーレも全会場を回ってきました。

 

 

横浜美術館からスタートして――途中の段階で「多くないか?」と感じていましたが、実際、過去の開催規模と比較して、参加アーティスト数はかなり多かったようです。

さらに、一人のアーティストの作品がいくつもあるパターンもかなり多かったので、全体として相当なボリュームです。

しかし、ひと通り見終わってから振り返ると、今回のテーマ「野草:いま、ここで生きてる」を伝えるのに、ある程度のボリュームをそろえることは必然だったんだろうなと感じます。

 

 

 

 

 

 

 

印象的な作品はいくつもありましたが、それとは別に少し印象的だったのが、美術館の前のスペース。

みなとみらいなので、様々な植物がきちんと手入れされているのが普通ですが、おそらく敢えて放置されたのでしょう。

みなとみらいでも、建設待ちのフェンスの中や、人がほとんど立ち入らない隅っこのスペースなどでは野草が元気に生えてきますが、人が行きかうみなとみらいの中心軸のスペースで伸びるに任せた雑草が見られるのは、想像以上に不思議な感じでした。

意図したものなのかという説明が特にあるわけでもないので、何も気にしない人も多いと思うのですが、だからこそ逆に考えさせられるところでもあります。

 

 

Instagram関連投稿(横浜トリエンナーレ) ⇒      

 

 

 

一連のアート・プログラムは、6月9日まで。

質、量ともに充実した鑑賞体験でした。

 

 

 

sho