高校へは電車通学していた。

 

 

家から最寄り駅まで徒歩10分くらいの距離。

 

朝が弱かった。

 

だから自転車を使っていた。

 

晴れの日も雨の日も雪の日も。何でもない日も。

 

駅に着くのはいつもギリギリ。

 

 

駅のホームには同級生が先に待っている。

 

約束はしていない。

 

 

「おはよー!」

 

『おはよう。』

 

「もっと早く来なよ!」

 

『いいんだよ。別に早く来たくないんだよ。』

 

 

 

乗る電車の位置はいつも先頭車両。

 

席が空いていても、別に座らない。

 

変わらぬ風景。


...

 

降りる駅では、高校生も大学生もたくさん降りる。

 

オレもその中の一人。

 

 

高校も大学も同じ方向だから、たくさんの人がそれぞれのペースで歩いていく。

 

オレは誰のペースに合わせるのではなく、ゆっくり歩いていく。

 

急ぐ必要もなかったし。

 

 


学校付近になると後輩から声を掛けられる。

 

「先輩、おはよー!」

 

「おはようございまーす!」

 

テンションは低めの

『おはよう。』で返す。

 

いつもと変わらぬ風景。

 

 

 

高校3年、夏休みが終わった頃。

 

なんでもない日だと思っていた。

 

 

 

乗る電車の位置はいつも先頭車両。

 

席が空いていても、別に座らない。

 

変わらぬ風景。

 

 

ひとつだけ違っていた。

 

 

一人の女性にドア付近に立っていることに気が付く。

 

『(あんな人、初めて見たな。)』

 

 

その人も同じ駅で降りる。

 

同じ方向に歩く。

 

 

『(大学生だったんだ。)』

 

 

 

別の日もその人を見かけた。

 

気になっていた。

 

でも見ているだけ。

 

 

 

別の日もその人がいるか探す。

 

いるか、いないかで自分のテンションの違いに気がつく。

 

 

 

家から駅まで向かう時でさえ楽しみになる。

 

自転車のスピードが違う。

 

いつもの景色が少し違う。

 

 

 

その人がいる。

 

気になる。

 

 

 

気がついていた。

 

自分の気持ちを。

 

 

 

一目惚れだった。

 

 

初めてその人を見た時には、もう恋をしていた。

 

 

遠くから見ているのは、

そろそろ止めようと思い始めた。

 

 

その人を好きになっていた。

 

日が経つにつれ、時間が経つにつれ、気持ちを伝えたいと思うようになった。

 

 

『(相手は大学生だし、オレは高校生だし。)』

 

『(いきなり告白しても相手にされないかもな。)』

 

『(どうしようかな。)』

 

 

 

その人が大学、オレは高校、同方向に歩いていくと、たまたま、その人が女友達と会話をしているのを見かけた。

 

 

その人のことを聞くチャンスはこの時だと思った。

 

 

その人が友達と別れたと同時に、その友達に駆け寄った。

 

 

『あの、いきなりすいません。さっき一緒に話をしていた女性の名前はなんて言うんですか?』

 

「え?!ん~。ああ。」

 

「サオリって言うよ。なんでなの?!」

 

 『いえ、ちょっと気になって。ありがとうございました。』

 

 

足早にその場を立ち去る。

 

『(サオリさんかぁ!)』

 

一つの達成感でニヤける。

 

 

 

気持ちが加速する。

 

 

『(大学生だから大人だよな。)』

 

『(普通に告白してもダメだよな!)』

 

『告白するなら、帰りの電車に乗る前だよな。』

 

『(よし!オーケストラのコンサートのチケットを買って、告白の時に一緒に渡そう!)』

 

精一杯の背伸びだった。

 

 

チケットも購入して、気持ちも整えば、あとは・・・・

 

 

告白の準備はいつでも出来ていた。

 

チケットもスポーツバックの中に常に入っている。

 

あとはその人に会うだけ。

 

 

サオリさんという名前を聞いてから、そんなに日は経っていない。

 

告白するなら、この日と決めた日があった。

 

 

帰りの電車で一緒になったことはない。

 

会えるかもわからない。

 

でも会えると思った。

 

サオリさんに会える自信だけはあった。

 

 

 

告白当日。

 

大学と高校の最寄り駅前の路地で、サオリさんを待つことにした。

 

 

何か意味深な行動しているオレを見て、後輩たちがひそひそ話をしている。

 

「先輩は何してるんですか?」

 

「一緒に帰りましょうよ!」

 

『ごめんな。今日はいいよ。今度な。』

 

後輩の女子らにかまっている暇はなかった。

 

 

 

サオリさんは絶対に来ると思った。

 

待っていた。

 

時間が経った。

 

 

駅前の路地にもたれかかってうつむいていた。

 

すると女の人が目の前に通った。

 

おもむろに顏をあげて、その人を見た。

 

 

サオリさんだった。

 

サオリさんは長し目でオレを見て、微笑んだように見えた。

 

 

あ、あ、あの。

 

声を掛けるも声が小さすぎて届かない。

 

土壇場でビビッてしまった。

 

 

サオリさんはホームに行ってしまった。

 

 

オレは。

でも。

オレは。

でも。

オレは。

でも。

 

 

これを逃したら、チャンスがないと思った。

 

オレも同じ電車に乗った。

 

 

オレが降りる駅を通り過ぎる。

 

それから2駅を過ぎて、サオリさんが降りる。

 

サオリさんが乗り換えるため、ホームを移動する。

 

 

その後ろを追いかけて。

 

 

チケットを握り締めて。

 

 

 

『あのっ!!』

 

声を掛ける。

 

 

サオリさんが振り向くと微笑んでいた。

 

 

『いきなり、すいません。』

 

 

『オレ、ずっと前から電車の中で見ていました。』

 

 

サオリさんは微笑んでいる。

 

 

ホームいる人達がチラチラとこちらを見てくる。

 

『(言わなきゃ。言え。言え。)』

 

自分に言い聞かせる。

 

 

 

『あのっ!』

 

『好きです。』

 

 

サオリさんは微笑んでいる。

 

 

 

サオリさんが口を開く。

 

「ありがとう。」

 

「ごめんね。彼氏がいるんだ。」

 

「でも嬉しいよ。」

 

 

『・・・わかりました。』

 

 フラれた実感はあまり無いくらい、口調が優しかった。

 

 

「待って。」 

 

「名前はなんて言うの?」

 

『楽です。』

 

「駅はいつもどこで降りるの?』

 

『〇〇駅です。』

 

「じゃあ、今度、電車で一緒になったら、話でもしようね。」

 

『あ、ありがとうございます。』

 

「楽くん、またね。」

 

サオリさんは微笑んでいた。

 

 

チケットは渡せなかった。

 

 

 

 

数日後。

 

2枚あるオーケストラコンサートのチケットを持って、会場に行った。

 

隣がいない席に座り、初めてのオーケストラを聴いた。

 

・・・・つまらない。

 

 

サオリさんを思い出す。

 

『(サオリさん、優しかったな。)』

 

『(本当に優しい人だったな。)』

 

 

オーケストラ。

ひとりで観てもつまらなかった。

途中で帰った。

 

 

それから、サオリさんが電車にいるのを一度見かけた。

 

恥ずかしくて、隠れてしまった。

 

見たのはその一度だけ。

 

 

サオリさんは4年生だった。

 

大学を行く回数は必然的に少なくなる。

 

最後に話すチャンスを逃した。

 

 

サオリさんの微笑む顏を思い出す。

 

サオリさんは知っていた。

 

友達から、自分のことを聞いてきた高校生がいたことを。

 

同じ電車で、目が合うと視線を逸らす高校生がいたことを。

 

自分に告白する可能性がある高校生がいたことを。

 

それでもサオリさんは微笑んでくれた。

 

・・・・

・・

 

 

サオリさんの顏を今はもう思い出せない。

 

先頭車両に乗ると、当時のことを少し思い出す。

 

席が空いていても、別に座らない。

 

 

でも、変わらぬ風景なんてなかったんだ。

 

 

 

********************

 

これはオレが高校生の時の先頭車両の思い出です。

 

こんな長文を最後まで読んでくれて嬉しいです。

 

 

色々な出来事があって今があります。

 

でも言葉にできない自信が少なからずあったからこそ、あの行動ができたのだと思います。

 

 

 

 

自信というのは本当に大切です。

 

生きていく上で必要な活力になります。

 

その自信の重要性を特に身に染みています。

 

なんでも使えます。

 

恋愛でも、仕事でも、人間関係でも、お金でも、愛情でも。

 

全員が自信を持って生きてほしいです。

 

それはオレ自身にも言えることです。

 

自信があれば人生観が変わります。

 

自信があれば生き方が変わります。

 

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