Beyond Despair -30ページ目

Beyond Despair

― 絶望の底に落ちた少女の先に待つ運命 ―

「うにゃ~、皆さんどこへ行ってしまわれたのでしょうか……」

ナイトタウンの街を一人沈んだ足取りで歩く私こと神楽咲エレナ。

先程喫茶店にて先陣を切って出撃したのが原因で、愛花さん達とはぐれてしまったのでした。

しかも最悪な事に携帯の電池が切れてしまっているのです。

連絡を取りたくても取れない状況……。

通り過ぎる人たちはしょぼくれる私に見向きもしません。

何てこの世の中は残酷で冷たいのでしょうか。

「とは言いながらも、自分のせいですよねやっぱり……」

とほほ、と私は道にある木製のベンチに腰を降ろす。

空を見上げても太陽やら青空やらは見当たらない。

当たり前なんですけどね、エヘヘ。

しかし参りました、こんな時は一体どうしたらいいのでしょうか。

私は重度の方向音痴でありまして、勿論一人で駅に行く事なんて出来ません。

誰か助けてくれないかなぁ~、とか思ってる訳なんです。

「あ、マッチでも配れば良いんですかね?」

マッチ売りの少女的な感じで行けば、火を点けた瞬間に愛花さんが現れるかもしれませんよねッ!

いや、あるいは護さんでも良いですけどね~。

「って、そんな事ある訳ないでしゅが焼き」

どうも私の脳みそは幻想的な考えに満ち溢れているみたいです。

そのおかげで周りからは〝天然お馬鹿〟とか〝妄想乙〟とか酷い言われようなんですけど。

「もっと真面目に現実的な解決策を考えないと」

私は頭を抱えながら真面目に考える。

携帯は使えない、しかも方向音痴スキルを習得してしまっている。

そんな私がこの場を乗り切る為には――。

「そうだぁ! 交番に行けばいいんじゃないですか!!」

困った事があったら交番へダッシュしろとよく言われてました。

いや正確には愛花さんにこの間きいたんですけどね。



/続く



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「真っ暗な街だな」

メモ帳に何かを書き込みながら一人の少女が呟いた。

黒いロングヘアーの少女は第三エリア、ナイトタウンのとあるビルの屋上から街を眺めている。

その少女の隣には金紗色の髪をした少女が居た。

「こんなに暗いと、まともに絵も描けない」

ブツブツ文句を言いながらひたすら何かをメモ帳に書き込んでいる。

「それでも綺麗に描けてるじゃない、さすが芸術家を目指すだけの事はあるわね」

「目指してない、目指していただろ。過去形にするべき事だぞ」

「それでも貴方は絵を書き続けている。好きなんでしょ?」

金紗の少女の言葉に黒髪の女は反論出来ない。

舌打ちをし、書き込んでいたページを破り捨てる。

「それで、お前の捜し物は見つかったのか、(つるぎ)

黒髪の少女は劔と言う少女に視線を向ける。

「えぇ、お陰様で。これでようやく約束が守れるわ」

劔と言う少女は優しい笑みを浮かべながら街を見下ろす。

「あの子が守り抜いた命だもの。私があの子の代わりに守ってみせる」

劔のその言葉に黒髪の少女はため息をこぼした。

「良いか劔、私達の任務はこの街に現れたアヴェンジャーを駆逐する事にほかならない。お前のお探しの〝彼女〟に奴らを殺されては意味が無い。奴らを完全に消化させる事が出来るのは私達の持つ〝U-sword〟だけだ」

黒髪の少女の言葉に劔は目をほ細める。

そして何かを決意するかのように頷いた。

「大丈夫、彼女がアヴェンジャーと接触する前に終わらせるから」

そして手すりに飛び登る。

そんな劔の背中に黒髪の少女は視線を向ける。

今にでもこのビルから飛び降りそうな彼女を。

「あまり、思い出に縛られるなよ」

黒髪の少女は心配そうな表情で劔にそう声をかけた。

すると劔は顔を少女に一瞬向けると――。

「それは貴方にも言える事よ、(ほむら)。いい加減、見守るだけで居るのはやめなさい」

と、そんな言葉を言い残して下に降りて行ってしまった。

「……見守る事しか出来ないんだよ、それくらいの資格しか私には無いんだ」

寂しげな声で黒髪の少女は一人そう呟く。

そして財布に挟まっている写真を呆然と見つめた。

「私のせいで、亀裂が入ったんだ。私が目の前に現れたた、きっと殺しにかかるだろうさ」

そう言いながら少女は写真を大切そうに抱きしめた。



/続く



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「可愛いな~、でも日本の猫って珍しい色してるね」

「珍しい色?」

「うん、だってほら、あの子達皆真っ赤じゃん」

真っ赤な猫?

私はアイネのその言葉にゾッと背筋に悪寒を感じた。

「ちょっと撫で撫でしてくるね~」

アイネは跳ねる様に立ち上がると、猫の方へと早歩きで向かって行く。

「ま、待てッ! そいつらは――」

私は猫に駆け寄るアイネにそう言った――。

けど、もうそれは遅かった。

「子猫ちゃん達、皆で何食べて――」

真っ赤な猫、そんな猫居るわけない。

微かに赤い猫は居るかもしれないけど、全身が血の色の様に赤い猫なんて存在しない。

ペンキか何かで塗りたくらなければ、真っ赤な猫なんて存在しない。

「え……な、に、これ……」

もしくは、血でその身を染めなければ。

アイネは数匹の猫の近くで身体を震わせている。

「――あ、ぶっうッ!!」

そのまましゃがみこみ、口を押さえ込んでいる。

そんなアイネはお構いなしに真っ赤な猫達は食事を進める。

私はアイネに近づき、背中を摩った。

そしてアイネの頭に被せる様に自身の赤コートを掛ける。

目の前の光景が目に入らない様に。

私はグチャグチャと汚い音を立てている猫を見つめる。

「……」

真っ赤な猫達が仲良く食しているのは人間の死体だった。

しかもさっき私達に誘拐事件についての情報を教えてくれた男。

死体は両手、両足が引きちぎられている。

猫達はそのちぎられた手足に鳴きながら噛み付いていたのだ。

胴体は皮が全部剥がされている。

「……人の出来る事じゃない」 


小声で私は呟いた。

アイネは私が被せたコートの中で怯えた声を上げていた。

「ぶっ……うぅ、何で? 何でこんな……」

も少し目を細めて見るべきだったと今更反省してしまう。

いくら街灯があるからと言って周りはかなり暗い。

そのせいで地面に広がる赤い水たまりに気づく事が出来なかった。

「アイネ、一先ず表に出るぞ?」

私はアイネの頭を撫でながらそう言うと、ゆっくり立ち上がらせる。

出来るだけ目の前の光景を見せない様にして。

私達はその場を後にした。



/続く



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