もしアヴェンジャーが人工的に何者かに作られた存在であるとしたら……。
無意識に歯を食いしばる。
そんなふざけた事している奴は誰なのか。
殺意がこみ上げてくるのが分かる。
私は大きな足音を立てながら路地裏を進み続ける。
後ろからアイネが何か呟きながら付いてきているが、何を言っているのか聞き取れない。
そして、しばらく歩いていると。
点滅している街灯に照らされた十字路が見えてきた。
私は十字路の真ん中で立ち止まり、左右に視線を向ける。
左に進めば明るい表通りに出る事が出来る。
真っ直ぐ進んでも同じだ。
右に進めばまた暗闇の世界。
あの男、よくまぁこんな暗闇で女を狙ってたもんだ。
その根性に少し感心してしまう。
私は右の道に顔を向ける。
今まで通って来た道よりも暗い感じがした。
もしかしたら街灯もないかもしれないな。
「ライト……もう路地裏捜索はやめようよ~」
「怖いなら帰っても良いぞ」
私はそう言い放つとアイネを置いて右の道に進む。
「ちょ! 待ってよ~」
今にも泣き出しそうな声でアイネは私の後を追ってきた。
しばらく進むと完全に暗闇の世界にでも来たのかと思うくらいの暗さになった。
ここの路地裏は外の音が聞こえて来ないのか、私達の足音しか聞こえてこない。
私は辺りに警戒しながら黙々と先に進む。
そう言えば、右に曲がった所のどの辺りが犯行現場か聞くことを忘れてしまっていた。
「まぁ、ここまで来たら自分で探すけどな」
私は一人、そんな事を呟いた。
と、その時だった――。
どこからか変な鳴き声が聞こえてくる。
「何……何の声ッ!」
騒ぐアイネの口を手で押さえつける。
私はじっとして鳴き声がどこから聞こえて来ているのかを聞き取る。
「……猫の鳴き声?」
ニャーニャー、と言う猫の鳴き声はこの道の先から聞こえて来ているようだった。
アイネの口から手を離し、私は猫の鳴き声のする方へと向かっていく。
「え? なになに猫さん?」
さっきの態度とは一変しアイネは明るいテンションで私の後を付いてくる。
そう言えばアイネは犬や猫が好きだったな。
そんな事を思い返している内に、また点滅している街灯が目に入る。
その点滅している街灯が差している灯りの所に数匹の猫が屯っていた。
ニャーニャー鳴きながら、何かを皆で囲んで食べているようだ。
「野良猫か……」
私はホッとため息をこぼす。
アイネは数匹の猫を前に目を輝かせていた。
「うっわ~、野良でも猫は可愛いね~」
「そうだな」
さっきまでの緊張が解けた反動か、アイネはやけにテンションが高い。
しゃがみ込んで猫達を見つめる。
/続く