第二章 友達の絆 67 | Beyond Despair

Beyond Despair

― 絶望の底に落ちた少女の先に待つ運命 ―

「それで、いくらだ」

私がそう言うと男は深くため息をして座り込んだ。

そして手をヒラヒラさせながら首を左右に振る。

「何だ、いらなくなったか?」

「いいや、貰うさ。そだな、十五万でどうだ」

私は言われた額の金を財布から取り出し男に渡す。

男は丁寧に一枚一枚、札をペラペラと捲っていく。

「……よし、十五枚あるな。良いぜ、話してやるよ」

男は数え終えた札をポケットにしまい込んだ。

「そうだな、ありゃー一ヶ月前のこった。いつもみたいに暗闇で通り過ぎる女を待ってた時だ。時間は午後の四時くらいだったか」

男はタバコを地面に捨てると、足でグリグリ踏み潰す。

「この裏路地でロックオンしてた女を尾行してたんだがな、そしたら急にその女の前に妙な人影が現れてな。女は何か話してたみたいだったが俺が居た所からじゃなんも聞こえなくてな」

「その妙な人影って言うのは、男か? 女か?」

「男に間違いねーだろうさ。でもな、そっから引っかかるもんがあってな」

すると先程までヘラヘラしていた男の表情が変わった。

「なんかよ、その男の後ろにグニャグニヤした影が見えた気がすんだよなぁ」

「グニャグニャ?」

「あぁ、まるで生きている何かみたいな。かと言って何なのか分からねーんだけどな」

グニャグニャした、生きている何か?

「んで、そのグニャグニャした影から時々赤い光が見えてな。もしかすっと、この連続誘拐事件の犯人は獣使いか何かかもしれねーぞ」

男は冗談めかしに笑いながら新しいタバコに火を灯す。

吐いた煙が暗闇の空へと浮いていく。

「獣使い……いや、でも」

男の些細な発言に私は真剣に考え込んでいた。

グニャグニヤした生き物、赤い光……。

まさか、今回のこの事件は……。

「アヴェンジャーが関わっている?」

私が呟くと男は得意げな笑みを浮かべた。

けど、もしこの仮説が真実なら。

アヴェンジャーは何者かに従っている存在と言うことなのだろうか。


/続く

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