「金か、ならいくらでもやるぞ」
「金には困ってない。そうだな、アンタの身体で遊ばせてくれたら知ってる事を教えてやっても構わないぜ?」
男は立ち上がり私に近づいてくる。
「ら、ライトッ! 逃げようよ……!」
アイネは動かない私の腕を何ども引く。
でも私はそんなアイネの腕を振り払う。
すると男は私の両肩に分厚い手を乗せてきた。
「ほぉ、その態度はお触りOKって事かな?」
私は何も言わずに目の前の男を見つめる。
すると肩に乗っていた男の手がゆっくりと私の首筋を撫でた。
「ら、ライト……!」
泣きそうなアイネの声が路地裏に響く。
男の手はだんだん私の胸へと到着した。
「ひゅ~、姉ちゃんまさかこう言う事されたくて来たってはらか?」
ご機嫌そうな声で男は私の赤いシャツをまくり上げようとする。
が、その直前で男は手を引いた。
「……どうした、やらないのか?」
「やめたよ、アンタからは波ならぬ殺気を感じるからな。もし触りでもしたら殺されそうだぜ」
「へぇ、利口だなアンタ」
すると男は私に左手を差し出してきた。
「その手は何だ」
「姉ちゃんの身体はいらねー。でもただで情報はやりたくねー。分かるよなぁ?」
結局はそうなるのか。
だったら初めからそう言えばいいのに、無駄な時間を過ごした気分だ。
私は舌打ちをしながら財布を取り出す。
「で? いくら欲しいんだ」
「姉ちゃんの所持金はいくらだ、それによって要求する額も変わってくる」
「そうだな、ざっと五十万って所か」
私がそう言うと男は目を丸くした。
頭をかきながら私を呆然と見つめる。
「おいおい、姉ちゃんどっかの大企業の社長の娘か何かか? そんな大金よく持ち歩けるな」
「大企業の娘じゃないけど、まぁ昔働かされてたからな。それの残りだよ、この五十万は」
「その歳で働いてたのかぁ? おいおい、姉ちゃんの両親は一体どんな奴だ」
「正確には二年前、あの化け物が現れるまでだけどな」
男は信じられないと言う表情だ。
こんな社会のゴミのような奴でも、こういった常識的な考え方は出来るのか。
と言うことは〝あの男〟の考え方は異常って事だな。
/続く