Beyond Despair -29ページ目

Beyond Despair

― 絶望の底に落ちた少女の先に待つ運命 ―

「そうだぁ! さっきのコンビニの店員さんに聞けば良いんじゃないんですか~」

我ながら気づくのが遅すぎだと自分でツッコミを入れたくなる。

そうと決まればさっさとコンビニに戻りましょう。

私はグルリとコンビニの方向へと身体を向ける。

そして希望の光に向かって歩き出した。

『タスケテ……』

「え?」

私は立ち止まり、辺りを見回す。

今、声が、聞こえた?

でも誰も私に話しかけて来ている訳でもない。

て、テレパシー?

そんな力私にはありません。

「……気のせい、だったのかな?」

私は再び歩き出そうとした、その時――。

『ワタシタチヲ、カイホウシテ』

また、聞こえた。

一度目の時は分からなかったけど、二度目でようやく理解出来た。

この声は私の脳に直接聞こえてきている声だって。

私は恐る恐る後ろに振り返る。

けど、当然の事ながら誰も居ない。

まただ、また変な声が聞こえる。

私は昔からそう言った変わった能力を持っていた。

動物、猫とか犬とか草、木から声が聞こえる、ような気がするのだ。

勿論、そんな事はきっとありえない。

私が少し皆より妄想馬鹿なだけかもしれない。

そう言い聞かせながら私は今まで生きてきた。

きっと気のせい、そう自分に言い聞かせながら。

でも、今のは今までのとはどこか違う気がした。

『タマシイヲ、カイホウシテ』

何か、私にしてもらいたがっている?

「……どこ、なの?」

聞こえているかは分からない、けど私は無意識にそんな事を口にしていた。

『ワタシタチヲ、タマシイヲ、カイホウシテ』

四度目の声、その声はどうやら路地裏の方から聞こえて来ているらしい。

私は喉を鳴らし、ゆっくりと路地裏の方へと足を進めた。

ただでさえ暗いのに、路地裏はさらに闇が深まっている。

『ソクバクサレタワレワレヲ、カイホウシテ』

この声は間違いなく、この路地裏から聞こえてきている。

今の声でそう確信する事が出来た。

私はゆっくりと路地裏に入る。

所々に街灯はあるけど、そのどれもが点滅していた。

表通りはとても素敵なナイトタウン。

だけどここだけは暗い、闇の底の様に感じる程別世界に感じてしまう。



/続く



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もう一度ゴマ太郎に顔を向ける。

なんだかさっきより表情が変わっているような気がする。

〝僕の事、買ってくれないの?〟みたいな……。

そんな顔で私を見ないでゴマ太郎。

「ごめんね、君とはまたどこかで会えると信じてるから」

ゴマ太郎の頭を優しく撫でる。

そして私は涙目のままカゴの中に乱暴にお弁当、おにぎり、飲み物をぶち込んだ。

レジにカゴを置くと、奥の方から女の店員さんがやってきた。

「いらっしゃいませ~」

笑顔でそういいながら慣れた手つきでお弁当を袋に入れていく。

「あ、あの。一つ聞いてもいいですか?」

「はい、なんでしょうか?」

「あそこにあるフィギュア、今度来るときまで取っておいてもらえたり……しませんよね」

あんなレアフィギュア、取っておけなんて言う方が間違ってるのはわかってます。

でもダメ元で聞いてみました。

「良いですよ?」

「ほぇ?」

「お名前さえ教えて貰えれば」

予想外の返事に私はポカンと口を開けてしまう。 

そして数秒後、その店員さんの両手を握りしめた。

「あ、ありがとうございますッ!! 神楽咲エレナと申します!!」

「か、神楽咲エレナさんですね、かしこまりました……」

店員さんは苦笑いしながら残りのおにぎりを袋に入れてくれた。

「では、またのお越しをお待ちしています」

私は袋を受け取ると、ゴマ太郎に手を降ってコンビニを出た。

いや~今日はついてました!

護さんを励まそうと言う事で来たにも関わらず、こんな良いことがあったなんて。

私は先程と同じ木製のベンチに座り込み、袋からコンビニ弁当を取り出す。

そしてパクパクと口に運んだ。

勝ったお弁当やおにぎりは十分程で全滅させてしまっていた。

我ながら食う速さは半端ないですね。

「ふぅ~、とりあえず空腹は何とかなりました」

お腹を撫でながら私は買ったオレンジジュースを一気に飲み干す。

この食後にひんやりした飲み物を飲む感覚がたまらないんですよね~。

ベンチの横に相手あるゴミ箱に弁当の残骸を投げ入れる。

さて、これからどうしましょうか。

地図には現在地が書いてなかったから自分がどこに居るのか分からない状況。

と、一つ私の頭の中でひらめいた。



/続く



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私はベンチからぴょんと立ち上がる。

まずはこの街の地図を手に入れましょうか。

そうすれば方向音痴な私でも何とか交番に行ける筈!

私は辺りを見回しながら街の地図を探す。

こういった街のどこかには必ず壁か何かに地図が張り付けられている物なのです。

デパートとか遊園地とかには必ずあると言っても過言ではありません。

ここ第三エリア、ナイトタウンは大人気エリア。

アトラクションとかはありませんが、歩いているだけでも楽しめる街なんです。

若いカップルの間でも人気のあるエリア。

そんな街に地図が貼っていない訳がありません。

「え~っと~、あッ!」

グルグル回転しながら歩き回っているとコンビニの入口付近にナイトタウンの全体図を発見。

私は駆け寄り、すぐさま地図をジロジロ見つめる。

「現在地、現在地……あれ? 書いてないです現在地」

デパートとかは今自分の現在地が書いてある筈なのに。

私はその場にフニャ~とまんじゅうの様に座り込んでしまう。

現在地書いてないとわかりませんよ、私方向音痴ですし。

それに店の名前とか書いてあっても、わかりにくいですよ。

「うぅ……どうしたら良いんですか~」

どこの誰に問いかけているのか、自分でも分からない状況です、アハハ。

と、そんな時――。

ぐぅぅぃ~、と気の抜ける音が私のお腹から聞こえてくる。

あれま、私としたことが空腹状態だったとわ。

愛花さん達を探すのに夢中で全然気づきませんでした。

「腹が減っては戦は出来ぬ、ですッ! まずは食料確保と行きましょう!」

私は立ち上がり、コンビニへと足を運ぶ。

店内には美味しそうなおにぎりやらお弁当が並べられていた。

それを見ただけで口端からヨダレが流れ出てしまう。

ポケットから財布を取り出し、所持金を確認する。

「に、二千円……」

これくらいあればお弁当におにぎり、飲み物くらいは買えるだろう。

私はそんなノリで弁当売り場へと向かおうとした、その時。

「あ、あれはッ!!」

お菓子売り場にゴマ太郎のフィギュアが売られていた。

しかも千八百円と言う価格。

あのフィギュアは確か、ネットだと五千円は行く代物の筈。

なんでそんなレアフィギュアがこんなコンビニに売られているのでしょうか?

「よ、よりにもよって……何でこんな時にエンカウントしちゃうの?」

私はゴマ太郎フィギュアにそう言いながら涙を流す。

いくらなんでもこんなのあんまりですよ。

あのフィギュアは私が口から手が出るほど欲しい物だと言うのに。

私はもう一度財布の中を確認する。

「横に振ったり、縦に振ったりしたらお金が増えるとか無いかなぁ~」

あるわけないですよ、そんなんで金増えたら世の中金持ちだらけですよ。

私は深くため息をして、ゴマ太郎からお弁当売り場へと顔を向けた。

今は空腹を何とかしないといけない、それは優先すべき事。

だけどマニア魂がそんな私の邪魔をしています……。



/続く



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