Beyond Despair -28ページ目

Beyond Despair

― 絶望の底に落ちた少女の先に待つ運命 ―

「何だ、疑うのか? ならその疑いを晴らしてやる」

そう言うと男はどこから取り出したのか、黒い鎖で私の身体を一瞬にして縛り付けた。

身体が動かなくなる。

私はその場に倒れ込んだ。

「どうだ、これで分かったろ?」

「……」

私は男の人に顔を向ける。

優しい感じがするけど、この人本当に悪い人なのかな?

「三十人の女性を誘拐したのは、本当なんですか?」

「あぁ、皆とある秘密基地に監禁してある。そのどれも外れだったが、今日やっとあたりを見つけた」

男は嬉しそうにニヤリと口元を歪ませる。

けれど、やはり悪人には私には見えなかった。

私の感覚がおかしいのかな。それともさっきの頭痛のせいで頭がイっちゃってる?

「出来れば嬢ちゃんのような幼い子はご勘弁願いたがったが、こうしないと俺は〝解放〟されないんでね」

解放?

その男の言葉にさっき脳に直接訴えていた声の言葉が頭に浮かんだ。

〝タマシイヲ、カイホウシテ〟

タマシイって、魂?

カイホウって、解放?

頭がグラグラしてきた。

視界がボヤけてきている。

男の人の顔がグニャグニャにかき混ぜられたかのように見えてしまう。

どうなってるの、私……?

「はぁ……はぁ……」

息が、苦しくなる。

鎖のせいだろうか、それともこの男の人が何か私にしているのだろうか。

「悪いな嬢ちゃん、しばらくオネンネしててくれ」

その男の人の言葉と同時に――。

私の意識は途切れてしまった。



/続く



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視界に赤い飛沫が映る。

赤い、血飛沫?

それと同時に頭の激しい痛みが消える。

私は息を整えながら身体を起こす。

すると目の前にいるトンガリヘアーの男が苦しそうに片膝を着いていた。

心臓部分に黒い剣の様な物が突き刺さっている。

「え……!!」

慌てて周りを見渡す、けど誰も居ない。

ここには私と、血を流す男の人だけだった。

私は立ち上がり、男に駆け寄る。

「だ、大丈夫ですかッ!? 待っててくださ、今治療しますから」

私は両手のひらを男の人の心臓部分に向ける。

私は攻撃的な魔術は苦手だけど、治癒魔術は得意なのだ。

力を込めて、私は傷を塞ごうとする。

だけど出血は止まらない、剣が刺さっているからだろう。

私は突き刺さる剣を握ると、力強く引き抜こうとする。

「ぐう~、痛いかもですけど、我慢してくださいッ!」

私はそう言いながら黒い剣を引き抜こうと力を込める。

そんな私の手を男が優しく掴んできた。

「やめとけ嬢ちゃん、これ抜いたらまた痛くなるかもしれないぜ?」

「えぇ……」

そう言うと男はゆっくりと立ち上がる。

そして私の頭を優しく撫でてきた。

「にしても、こんなに若いってのはちっとな~。気が乗らねーっつーかよ」

私の頭かた手を離し、男はしゃがみこんで私に顔を近づけてきた。

「嬢ちゃん、俺はアンタを誘拐する事が目的な訳なんだが、OK?」

「誘拐?」

と言うことはこの人がライトさん達が探している連続誘拐事件の犯人?

「え……本当に貴方が誘拐犯、なんですか?」

思わずそんな質問をしてしまう。

私はこの人がそんな事をするような人には見えないから。



/続く



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物音は何もしない、ただ自分の足音だけが響きわたる。

気のせいか、少し寒気を感じる。

しばらく歩いていると点滅している街灯が目に入った。

そこには、とんがった髪型をした男の人が佇んでいた。

私は立ち止まり辺りを見回す。

声の主はどこにも見当たらない。

そうなると――。

「あ、貴方ですか? 私を呼んだの……」

恐る恐る男に声をかける。

すると男はゆっくりと私に顔を向けた。

そして口元を優しくニヤっと歪ませる。

「呼んだ覚えはねーんだけどな。けど、そうか、アンタが〝女神の耳〟の持ち主って訳だ」

意味不明な言葉を口から吐き捨てるとんがりヘアーの男。

女神の耳って、何かゲームか何かの設定か何かですか?

この人、中二病?

「あの、何言ってるんですか?」

「だからさ、アンタの耳だよ耳。聞こえたんだろ、命の嘆きってのがよ」

命の嘆き?

さっきの声の事を言っているのだろうか。

「今だって耳を澄ませば聞こえる筈だ」

「さっきから何を言って――」

るんですか、と言おうとした時だった。

頭に釘でも打ち付けられたかのような激しい頭痛が襲う。

私は頭を抱え込み、その場に膝を着いてしまった。

この、痛みはなに?

キーンと、金属が擦れるような音が脳内に響きわたる。

耐えられず、私はその場にうずくまるように倒れ込んだ。

「あ、あぁッ!! がああ、いやぁああ!!」

頭が、割る……!!

金属が擦れる様な音が、今では何かの悲鳴の様に聞こえて来る。

いや、きっとこれは悲鳴、嘆きなんだ。

男の言っていた、命の嘆き。

その嘆き声が私の脳に直接突き刺さっている。

「や、め、てッ!! 頭がぁ、がっああ!!!!」

このままだと血管が切れると思うくらいの激しい痛み。

身体はビクビクと痙攣さえお越している。

もう、限界、そう思った時だった。



/続く



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