物音は何もしない、ただ自分の足音だけが響きわたる。
気のせいか、少し寒気を感じる。
しばらく歩いていると点滅している街灯が目に入った。
そこには、とんがった髪型をした男の人が佇んでいた。
私は立ち止まり辺りを見回す。
声の主はどこにも見当たらない。
そうなると――。
「あ、貴方ですか? 私を呼んだの……」
恐る恐る男に声をかける。
すると男はゆっくりと私に顔を向けた。
そして口元を優しくニヤっと歪ませる。
「呼んだ覚えはねーんだけどな。けど、そうか、アンタが〝女神の耳〟の持ち主って訳だ」
意味不明な言葉を口から吐き捨てるとんがりヘアーの男。
女神の耳って、何かゲームか何かの設定か何かですか?
この人、中二病?
「あの、何言ってるんですか?」
「だからさ、アンタの耳だよ耳。聞こえたんだろ、命の嘆きってのがよ」
命の嘆き?
さっきの声の事を言っているのだろうか。
「今だって耳を澄ませば聞こえる筈だ」
「さっきから何を言って――」
るんですか、と言おうとした時だった。
頭に釘でも打ち付けられたかのような激しい頭痛が襲う。
私は頭を抱え込み、その場に膝を着いてしまった。
この、痛みはなに?
キーンと、金属が擦れるような音が脳内に響きわたる。
耐えられず、私はその場にうずくまるように倒れ込んだ。
「あ、あぁッ!! がああ、いやぁああ!!」
頭が、割る……!!
金属が擦れる様な音が、今では何かの悲鳴の様に聞こえて来る。
いや、きっとこれは悲鳴、嘆きなんだ。
男の言っていた、命の嘆き。
その嘆き声が私の脳に直接突き刺さっている。
「や、め、てッ!! 頭がぁ、がっああ!!!!」
このままだと血管が切れると思うくらいの激しい痛み。
身体はビクビクと痙攣さえお越している。
もう、限界、そう思った時だった。
/続く