「真っ暗な街だな」
メモ帳に何かを書き込みながら一人の少女が呟いた。
黒いロングヘアーの少女は第三エリア、ナイトタウンのとあるビルの屋上から街を眺めている。
その少女の隣には金紗色の髪をした少女が居た。
「こんなに暗いと、まともに絵も描けない」
ブツブツ文句を言いながらひたすら何かをメモ帳に書き込んでいる。
「それでも綺麗に描けてるじゃない、さすが芸術家を目指すだけの事はあるわね」
「目指してない、目指していただろ。過去形にするべき事だぞ」
「それでも貴方は絵を書き続けている。好きなんでしょ?」
金紗の少女の言葉に黒髪の女は反論出来ない。
舌打ちをし、書き込んでいたページを破り捨てる。
「それで、お前の捜し物は見つかったのか、劔」
黒髪の少女は劔と言う少女に視線を向ける。
「えぇ、お陰様で。これでようやく約束が守れるわ」
劔と言う少女は優しい笑みを浮かべながら街を見下ろす。
「あの子が守り抜いた命だもの。私があの子の代わりに守ってみせる」
劔のその言葉に黒髪の少女はため息をこぼした。
「良いか劔、私達の任務はこの街に現れたアヴェンジャーを駆逐する事にほかならない。お前のお探しの〝彼女〟に奴らを殺されては意味が無い。奴らを完全に消化させる事が出来るのは私達の持つ〝U-sword〟だけだ」
黒髪の少女の言葉に劔は目をほ細める。
そして何かを決意するかのように頷いた。
「大丈夫、彼女がアヴェンジャーと接触する前に終わらせるから」
そして手すりに飛び登る。
そんな劔の背中に黒髪の少女は視線を向ける。
今にでもこのビルから飛び降りそうな彼女を。
「あまり、思い出に縛られるなよ」
黒髪の少女は心配そうな表情で劔にそう声をかけた。
すると劔は顔を少女に一瞬向けると――。
「それは貴方にも言える事よ、焔。いい加減、見守るだけで居るのはやめなさい」
と、そんな言葉を言い残して下に降りて行ってしまった。
「……見守る事しか出来ないんだよ、それくらいの資格しか私には無いんだ」
寂しげな声で黒髪の少女は一人そう呟く。
そして財布に挟まっている写真を呆然と見つめた。
「私のせいで、亀裂が入ったんだ。私が目の前に現れたた、きっと殺しにかかるだろうさ」
そう言いながら少女は写真を大切そうに抱きしめた。
/続く