第二章 友達の絆 70 | Beyond Despair

Beyond Despair

― 絶望の底に落ちた少女の先に待つ運命 ―

「可愛いな~、でも日本の猫って珍しい色してるね」

「珍しい色?」

「うん、だってほら、あの子達皆真っ赤じゃん」

真っ赤な猫?

私はアイネのその言葉にゾッと背筋に悪寒を感じた。

「ちょっと撫で撫でしてくるね~」

アイネは跳ねる様に立ち上がると、猫の方へと早歩きで向かって行く。

「ま、待てッ! そいつらは――」

私は猫に駆け寄るアイネにそう言った――。

けど、もうそれは遅かった。

「子猫ちゃん達、皆で何食べて――」

真っ赤な猫、そんな猫居るわけない。

微かに赤い猫は居るかもしれないけど、全身が血の色の様に赤い猫なんて存在しない。

ペンキか何かで塗りたくらなければ、真っ赤な猫なんて存在しない。

「え……な、に、これ……」

もしくは、血でその身を染めなければ。

アイネは数匹の猫の近くで身体を震わせている。

「――あ、ぶっうッ!!」

そのまましゃがみこみ、口を押さえ込んでいる。

そんなアイネはお構いなしに真っ赤な猫達は食事を進める。

私はアイネに近づき、背中を摩った。

そしてアイネの頭に被せる様に自身の赤コートを掛ける。

目の前の光景が目に入らない様に。

私はグチャグチャと汚い音を立てている猫を見つめる。

「……」

真っ赤な猫達が仲良く食しているのは人間の死体だった。

しかもさっき私達に誘拐事件についての情報を教えてくれた男。

死体は両手、両足が引きちぎられている。

猫達はそのちぎられた手足に鳴きながら噛み付いていたのだ。

胴体は皮が全部剥がされている。

「……人の出来る事じゃない」 


小声で私は呟いた。

アイネは私が被せたコートの中で怯えた声を上げていた。

「ぶっ……うぅ、何で? 何でこんな……」

も少し目を細めて見るべきだったと今更反省してしまう。

いくら街灯があるからと言って周りはかなり暗い。

そのせいで地面に広がる赤い水たまりに気づく事が出来なかった。

「アイネ、一先ず表に出るぞ?」

私はアイネの頭を撫でながらそう言うと、ゆっくり立ち上がらせる。

出来るだけ目の前の光景を見せない様にして。

私達はその場を後にした。



/続く



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