「可愛いな~、でも日本の猫って珍しい色してるね」
「珍しい色?」
「うん、だってほら、あの子達皆真っ赤じゃん」
真っ赤な猫?
私はアイネのその言葉にゾッと背筋に悪寒を感じた。
「ちょっと撫で撫でしてくるね~」
アイネは跳ねる様に立ち上がると、猫の方へと早歩きで向かって行く。
「ま、待てッ! そいつらは――」
私は猫に駆け寄るアイネにそう言った――。
けど、もうそれは遅かった。
「子猫ちゃん達、皆で何食べて――」
真っ赤な猫、そんな猫居るわけない。
微かに赤い猫は居るかもしれないけど、全身が血の色の様に赤い猫なんて存在しない。
ペンキか何かで塗りたくらなければ、真っ赤な猫なんて存在しない。
「え……な、に、これ……」
もしくは、血でその身を染めなければ。
アイネは数匹の猫の近くで身体を震わせている。
「――あ、ぶっうッ!!」
そのまましゃがみこみ、口を押さえ込んでいる。
そんなアイネはお構いなしに真っ赤な猫達は食事を進める。
私はアイネに近づき、背中を摩った。
そしてアイネの頭に被せる様に自身の赤コートを掛ける。
目の前の光景が目に入らない様に。
私はグチャグチャと汚い音を立てている猫を見つめる。
「……」
真っ赤な猫達が仲良く食しているのは人間の死体だった。
しかもさっき私達に誘拐事件についての情報を教えてくれた男。
死体は両手、両足が引きちぎられている。
猫達はそのちぎられた手足に鳴きながら噛み付いていたのだ。
胴体は皮が全部剥がされている。
「……人の出来る事じゃない」
小声で私は呟いた。
アイネは私が被せたコートの中で怯えた声を上げていた。
「ぶっ……うぅ、何で? 何でこんな……」
も少し目を細めて見るべきだったと今更反省してしまう。
いくら街灯があるからと言って周りはかなり暗い。
そのせいで地面に広がる赤い水たまりに気づく事が出来なかった。
「アイネ、一先ず表に出るぞ?」
私はアイネの頭を撫でながらそう言うと、ゆっくり立ち上がらせる。
出来るだけ目の前の光景を見せない様にして。
私達はその場を後にした。
/続く