18) 8月3日の夜食 | BIG BLUE SKY -around the world-

18) 8月3日の夜食

第十八話) 8月3日の夜食


トンガチャンの滝 (Ton Nga Chang Waterfall) へピクニックに行った日、夜になってお腹が空いたので、DS 夫人を誘って夜食に出かけた。
お粥のお店に行きましょう。
大体の場所を聞いて、今日は私の運転するバイクで出かける。
タイ国鉄をくぐる地下道を通り抜けて、大通りを左へ曲がって北へ進むと、ニュー・サクラ・ホテルが見えた。

2015年に来た時に、毎日のように通ったスパを右手に見て交差点を渡り、ニュー・サクラ・ホテルの角を右へ曲がる。
交差点の対角線に在る店は、芋と魚の甘い煮付け料理を食べたレストランだ。
ニュー・サクラ・ホテル前を左へ曲がり、かつて通ったコーヒー屋さんの前を通過すると、左手に明るい水色の木の家が見える。
彼女は今もここに住んでいるのだろうか。



[中華風 しょうが風味の、豚だんごと野菜のお粥/ハジャイ,南タイ] (2018)
Congee (Rice Porridge) with Minced Pork Ball and Vegetables Arranged as Ginger Taste/Hat Yai


木の家の入り口前のテーブルには、以前と同じように人々が腰掛けて談笑している。
どうしたのですか。
バイクを止めて眺めていると、DS 夫人が尋ねる。
あの水色の家に友達が住んでいたんだ。
そうですか、寄って行きますか。
今でも住んでいるかは分からないから、又にするよ。
そうですか、お粥のお店は、そこの先を右に曲がってすぐです。



[木の家の入口前の宴席/ハジャイ,南タイ] (2015)
A bench in front of the woody apartment/Hat Yai


お粥の店は、仕事帰りのお客さんで、繁盛していた。
中華風の年季が入った調度品が並び、足元を猫が行き交う。
三年前、あの木の家で過ごしていた時に、すぐ近くにこの店があることに気が付かなかった。

お粥は中華風しょうが風味の味わいで、淡い味付けがとても美味しかった。
DS 夫人も周りの人々も、唐辛子等を使うことなく、そのままの味付けで食べているのが意外だった。

お友達に会っていきますか。
今日は遅いし、居るかどうか分からないから、又今度にするよ。

バイクのエンジンを掛けて、木の家を右に見て通り過ぎると、来た道を団地の方へ戻った。
もし彼女がハジャイに居たならば、いつものように、まるで見ていたかのように連絡が来るだろう。
バミーとアイスコーヒーのようなものなのだから。


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