10) 魅力溢れるスパ店頭のベンチ
第十話) 魅力溢れるスパ店頭のベンチ
タイでは、マッサージ店を "スパ" と称する。
英語で Spa と言うと、療養温泉のことだ。
日本では、温泉や鉱泉があるリラクゼーション施設を言うことが多い。
タイでは、ごく普通のフットマッサージ店や、古式マッサージ店が、何々スパと称して営業している。
「 友達のスパに行きましょう 」
木の家に戻って車から荷物を降ろし、Lung と警官氏と別れると、ソンクラーの市場で買ったエビとカニを持って、近くのスパに行こうということになった。
ニュー・サクラ・ホテルの前の通りを渡り、もう一本先の通りの信号を渡った左側に、そのスパは在った。
一階はフットマッサージで、二階は古式のストレッチマッサージの、よくある造りだ。
一階の東側には、ヘアセット,トリートメントのコーナーがある。
[魅力溢れるスパ,ハジャイ,南タイ] (2015)
店の前にはテーブルとベンチが置かれ、8人くらいが掛けられるようになっていた。
ベンチには、一仕事を終えた従業員が座り、スマートフォンをいじる。
隣りのお嬢は雲呑スープを飲んでいた。
テーブルには、お嬢たちのスマホやバッグ、食べかけのお菓子や料理、飲みかけのペットボトルが並ぶ。
お嬢たちは、入れ替わり立ち代わりやって来ては、又店内へと戻って行く。
煙草を 3本燻らせる間に、3人のお嬢と顔を合わせた。
Erika が私を紹介すると、お嬢たちは屈託の無い笑顔を見せて、自分のお菓子や料理を勧めてくれた。
Erika は、近くに停まったサイドカー式屋台の店主にも、私を紹介する。
店主は流暢な英語を話した。
ここはハジャイで一番良いスパだよ。
店の人もお客さんも皆いい人たちなんだ、だから私はここで営業しているんだよ。
30分もベンチで過ごしてみると、屋台の店主の言ったことが良くわかった。
こんなに居心地の良さを感じたのは久しぶりだ。
ふと気がつくと、Erika の姿が見えない。
その内戻って来るだろうし、戻って来なくても何とかなるだろう。
お嬢たちが、マッサージなら自分を指名してと、言い争いを始めた。
喧嘩が始まったので、全く本意ではないが、唯一のお兄さんの店員に、フットマッサージを頼むことにした。
[魅力溢れるスパ,ハジャイ,南タイ] (2015) 右上のお兄さんにフットマッサージを頼む
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