ししおどしと弛張発振回路の関係 | 池袋駅北口の「ぐんまのやぼう」

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「ししおどし」というものがあります。

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竹の筒が(図では省略してしまいましたが)支点で支えられています。
右側からの注ぎ口(?)から水が流し込まれます。竹の筒にはだんだん水がたまり重心が次第に右側に移動しある時点で竹筒は右に傾きます。

右に傾くと竹の筒にたまっていた水は流れ出します。ある程度流れだすと重心は左に移り今度は左に傾きます。つまりもとの形に戻ります。

そうするとまた注ぎ口(?)から水が流し込まれ.....

という動作を繰り返します。

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弛張発振回路の動作の説明では「ししおどしのように」と表現されることが多いです。Wikipediaにもそう書いてあります。

流しこまれる水は電流、竹筒はコンデンサー(キャパシティ)に例えられます。

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こんな回路を考えてみます。
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この図の回路だと、

コンデンサーに電荷が溜め込まれ端子電圧がある値に達するとLED(発光ダイオード)に電流が流れ、コンデンサーは電荷を失い、LEDに電流が流れなくなり、またコンデンサーに電荷が蓄積され、.....

といった動作はしません

(回路定数にもよりますが)電圧を印加してすぐにLEDが点灯しそのまま光り続けるだけです。

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ところがこれとまったく同じ回路構成で上に書いたような動作が繰り返される場合があります。
例えばこういうものです。ネオンランプのシンボルはこれとは違うのですがなかったので二極管のを代用してあります (^^;;
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ネオンランプというのはその昔真空管ラジオのパイロットランプによく使われていました。今でも「検電ドライバー」というようなものがあればそれに使われています。
ランプと言ってもフィラメントを使うものではなくネオンが封入された管球の中にある電極間で放電することによって発光します。

上の回路だとネオンランプは点滅します。つまり発振回路ができあがります。

LEDの場合は点滅しないのにネオンランプの場合はなぜ点滅するのか?

理由はネオンランプの特性にあります。ネオンランプの電圧・電流の関係をおおまかに図にすると次のようになります。

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(厳密にはこれとは違うのですが本筋とはあんまり関係ないのでこれで勘弁してください)


ネオンランプは電圧は電圧が低いときは電流が流れません。つまり点灯しません。電圧を上げて行くとあるところで電流が流れ点灯します。そしてそこから電圧を下げてもしばらくは点灯し続けます。具体的には70Vくらいで点灯し、50~60Vくらいで消灯します。
この電圧をあげて行くときの電圧・電流の関係と電圧を下げていくときの電圧・電流の関係が異なることをヒステリシスを持つといいます。

弛張発振回路はこのヒステリシスという性質を使って発振させています。

コンデンサーに電荷がたまって行き放電開始電圧に達すると放電が始まります。ネオンランプは電圧が下がってもヒステリシスがあるためそのまま電流が流れ続けてしまい急速にコンデンサーの電荷は失われてしまします。放電を維持できない電圧になるとまた抵抗を通してコンデンサーに電荷が蓄積され始めます。つまり最初の状態に戻るわけです。

最初のLEDを使った回路との違いは電圧が下がってもヒステリシスがあるためそのまま電流が流れ続けてしまい急速にコンデンサーの電荷は失われるというところにあります。LEDの場合は電圧がちょっとでも下がると電流が流れなくなるためそこで平衡状態になってしまうからです。

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最初のししおどしの話に戻ります。

ししおどしの構造をよく見ると竹のつつにためられた水量と竹の筒の傾きの関係にはヒステリシスがあることがわかります。これは竹の筒が傾いたとき水の位置が変わることが理由です。

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確かに弛張発振回路の説明にししおどしはいい例になると思いますが、あんまりここまで書いたものはないように思います。

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どうしてこうした記事を書いたかということについて書きます。

昨日ほよほよさんの記事
  「LED点滅-弛張発振回路(1)
を拝見したとき記事にある回路がどうして発振するのかよくわかりませんでした。

そこで弛張発振回路についてネットでいろいろ調べました。いろんなサイトがありざっとした説明をしたものから非常に細かい説明をしたものまでありました。そういうのを見るとどの部分にどれだけ電流が流れるから、こうなって、....みたいな説明に終始したものが多かったです。

確かに説明はよくわかるし別に間違ってもいないのでしょうが、詳しく説明されればされるほど弛張発振回路の本質が何かということが見失われて行くような気がしました。

細かい動作を解析するのもたいせつでしょうか、回路全体の構造がどうなっているかを理解する方がより重要だと思います。そうしないと要求された機能を実現できる回路を設計するというようなことはなかなかむずかしいと思います。

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この記事で紹介した簡単な回路はネオンランプのもつヒステリシスを利用して発振させています。でもヒステリシスを持たないトランジスターのようなものでもそれなりの回路を作るとヒステリシスを実現でき、そしてそれを利用して弛張発振回路を実現することができます。

もしこの記事の続きを書くとすればそれについて書く予定です。

(2013-03-28 22:26:40)
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