前々からやろうと思いながらやってなかったネタを、また思い出したこのタイミングでやってしまおう。
2015年着工、2020年からの湛水試験を経て2021年7月に完成した、岩手県盛岡市の簗川ダム。その建設に伴って、国道106号と岩手県道43号盛岡大迫東和線交点を含む一帯が路線付け替えとなり、そのうち旧国道106号のダム以東(及び旧県道の一部)はダム湖に沈むこととなった。
わたくし、2013年4月19日の最初で最後の岩手県探索において、付け替え前の国道106号を走ったのだが、実は水没区間には二本のトンネルが存在していた。今回は、役目を終えてあえなく水没したそれらとその周辺の失われた景を、往時を偲んでご紹介しよう、というもの。
まずはこれを。
当然、この航空写真モードに載っているR106とr43は付け替え後のもの。簗川右岸をダム直下まで続いているのが、付け替え前の旧R106である。
ここで余談ながら、
この「落合の吊り橋」として記事にした橋。
この橋は水没エリアよりもギリ手前ではあったが、あまりにダム堤体至近すぎて(このへん)、ほぼ間違いなく現存はしないはずだ。つうか、記事内でも書いたとおり、おそらくダム建設の先行調査などで使われた橋だと思われるので、その役目は全うしたはず。
その吊り橋付近からの当時の景がこちらで、
今ならば完成したダム堤体を間近に見る位置だ。
で、これは当該記事でも使った写真だが、
「簗川ダム建設予定地」の看板のあるこの位置(と思われる)に、現在簗川発電所建屋があるようだ。
こういう感じね。
ちなみに、吊り橋の手前くらいまでの位置までは、本記事執筆時点では2014年のストビューで追うことができる。
さて、それでは水没したトンネルのひとつ目、
在りし日の姿がこれ。撮影位置は、今の地図だとおおむねこのへん。
ここにあったのが、
落合トンネル。
銘板によれば、
1972年2月の完成と。50年弱での退役だったということになる。
盛岡側坑口からの振り返り。
あのカーブの向こうに、当時のR106とr43交点があった。
抜けましてこちら、
宮古側坑口。取り立てて面白いトンネルでもなかったので、手抜きでこの一枚だけ…。
で、今いるこの橋から右方向を向くと…
見えたのがこの景。一見してわかる仮設橋があった。
何気なく撮ったこの看板、
今となっては…ですな。
仮設橋のところで、
工事用道路はAバリで封鎖されていた。
実際のところ、ここから正面に続いていく平場は、落合トンネルができる前の旧道…いや旧々道だったはずだ。この時点でとっくに完全廃道っぽいが。
ここからの振り返りの景が、グッとくる。
この日に先立つこと約40日、3月10日から供用開始されたばかりの付け替え新道。撮影位置はたぶんこのへん。よってあれは落合橋だと思われる。
レンタカーとの対比で、ここらが現在どのくらいの深みに沈んでいるのかうかがい知れる。これは…水面から姿を現すことはあるんだろうか?相当の渇水でないとそうはならなさそうだ。仮設橋は撤去されたのだろうか。それともそのまま沈んでる?
そういえば、この仮設橋から先の工事用道路、
付け替え新道から分岐してダム湖に消えているこの道に接続していたかもしれない。位置関係的に。いや、知らんけど。
【後篇】に続く。