廃村・狂小屋とその奥探索記【序】(岐阜県揖斐郡揖斐川町櫨原) | 穴と橋とあれやらこれやら

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初めまして。ヤフーブログ出身、隧道や橋といった土木構造物などを訪ねた記録を、時系列無視で記事にしています。古い情報にご注意を。その他、雑多なネタを展開中。

2021年5月4日、ここ最近めっちゃ気になっていた場所へのアタックを勢いで敢行した、その記録を記事にしておく。その場所とは…旧徳山村某所。

 

 

 

今宵はまず、テンションを共有していただくため、つらつらと前説などを。

 

 

 


全村まるごと徳山ダム湖に没した…はずの旧徳山村域ではあるが、ダムの湛水域よりも標高の高いエリアは当然水没せずに残った。

そんな、旧徳山村八集落の中で唯一水没せずに残った門入とその先を探索したのが2019年9月に敢行した門入~戸入アタックだったわけだ。

 

 

 

 

 

で、今年の年明けごろに、何気なく旧徳山村周辺を古地図で見ていた。そこで…見つけてしまったんだな。

狂小屋。言うに事欠いて、キチガイゴヤ(読み方は調べて判明)

なんたる地名なんだこれは。

 

 

かつての旧徳山村村域には数々の独特な地名が存在した。その一部はダム完成後の付け替え道路に建造された橋やトンネル群に採り入れられて今に伝えられている(参考→徳山ダム管理署HPのこのページのだが、それらと比較しても群を抜いた破壊力を持つこの地名に、いたく興味をひかれた。

 

 

 

 

 

 

この狂小屋、どのあたりかというと、

赤が狂小屋。そして青は、水没した八集落の一つである櫨原(はぜはら)。現・国道417号の「櫨原義徳隧道」にその名を遺している。

 

つまりは、櫨原から谷をさかのぼった奥地に存在したという狂小屋。最初の古地図をよく見ていただくと、そのさらに奥にも「作六ツシ(さくむつし)」という、これまたクセの強い名前の地名が書かれているのがわかると思う。

 

 

改めてウィキ先生で徳山村を調べると、沈んだ八集落に続いてこれらの地についても触れられていて、「(前略)このほか、揖斐川支流・扇谷上流の狂小屋(きちがいごや)、作六ツシ(さくむつし)に、出作り小屋(季節限定の作業小屋)が建てられていた。」と記述されている。要は集落というほどでなく、季節に応じて山仕事の小屋がかけられていた地、ということだ。

※このレベルの場所だったということだが、記事タイトルとしてはニュアンスをわかりやすくするため「廃村」とした。

 

 

 

 

 

 

いたく興味をひかれたわたくし、もはやダム湖で隔絶されて訪ねることもままならないんだろう…と思いながらも、念のため地理院地図を調べてみた。

 

すると…

櫨原義徳隧道を抜けて扇谷姫街道橋を渡った先から…扇谷右岸をさかのぼる道が描かれているではないの!

 

 

 

 

 

 

とは言え、狂小屋のはるか手前でふっつりと消えているから、やっぱ難しいのかな~と、地理院地図をスクロールしていくと、

道は描かれていないものの、扇谷上流域にはいくつかの建物表記が点在(赤マルはわたくしによる)していることが判明、がぜん前のめりになった。

 

 

 

 

 

 

 

ちなみに上の地図中央右上、標高457m地点付近の川の出合周辺が狂小屋であるようで、そこには建物表記はない。

 

しかしながら、Google Mapの航空写真モードで狂小屋を見てみると…

明瞭な道型などが見えていて、しかも橋がある!

 

改めて航空写真モードで見ていくと、地理院地図で道が途切れた先も明瞭な道型が続いており、いくつか懸念される部分があるものの、徒歩でなら狂小屋まで行けそうだということがわかった。なんならその奥まで、作六ツシまでも。

 

 

 

 

 

 

 

最終的には、その作六ツシまでの道に見つけたものが決定打だった。

廃橋三連発。

ム湖の奥地に取り残された廃橋たち。行きたい。絶対に行って、見たい。

 

 

かくして、狂小屋(とその先も)アタックは喫緊の課題となった。あとは、いつ実行するかだけ。だったが。

 

 

 

 

 

 

 

 

冒頭に「勢いで」と書いたが、決して無計画ではなかった。むしろその逆で、非常に慎重になっていた。なぜなら、以前からのお客様はご存じのとおり、先の門入~戸入アタックでわたくし最悪のミスをやらかしたから(注意喚起のため、恥ずかしながら内容はこれ

 

この苦い経験以降、いささか臆病かつ慎重になったわたくし、今回の探索も距離はそれなりにありそう、かつ先人の詳しい情報もなく、状況は未知。しかも因縁の旧徳山村ということで、そりゃあ慎重にもなる(笑)。

 

 

本来は植生の薄い春になったらと考えていたが、なんだかバタバタと忙しくてタイミングがなく、これはもう秋以降かな~、といったんあきらめモードだった。

しかし、直前まではっきりしなかったゴールデンウィーク休みの中日である5月4日がポッカリと空き、池郷アタックから二週間も経ってないにもかかわらず、なぜか奥様も快くOKしてくれた(だいぶポイント積み上げてたからな~・笑)

 

当地の天気予報はド晴天、この時期ならまだ植生も致命的ではないだろうし、日もそれなりに長いし、秋まで待つのも辛い。これは…いっちょやったるか!

 

 

 

 

 

 

 

そんな勢いで敢行したわけだが、

 

いざ当日、扇谷姫街道橋から上流側を眺めて…

えーと、晴天…なのよね?

 

 

 

 

 

 

 

もちろん信じたいが、分厚い霧がたちこめる扇谷上流方向を見て、やっちまったのか?とは思ったね(笑)。

 

 

ちっとばかり気持ちが揺らいだが、

そんなことは言っておれん。もうそこにアプローチ路が見えてきたからには。

 

 

 

 

 

長々と申し訳なし。ようやく

【1】に続く。