ちょっと変則な形で先行してしまったが、改めて2019年9月25日に敢行した岐阜県揖斐川町は門入(かどにゅう)・戸入(とにゅう)へのアタックの模様を連載でお送りする。
拙ブログ界隈では完全に後発なのだが、簡単に前説を。
2008年に完成した、日本最大級のダム、徳山ダム。かつての徳山村全村が、そのダム湖(徳山湖)に沈んでいる。八つあった旧・徳山村の集落のうち、唯一水没を免れたのが標高約440mの門入なのだが、集落への道路も湖底に沈んでしまうことから、門入の住人もまた、集落を離れて移転した。
だが、近世まで使われていたものの久しく廃道状態だった旧・坂内村との境界をなす旧ホハレ峠と門入を結ぶ道を使って、つまり徒歩でなら、外界からこのダム湖奥に取り残された集落跡に行けるということで、近年徒歩でこの門入を訪れる人が増えている。その距離、5.7kmである。
ちなみに、元の住人の方は徳山湖を船(ボート)で行き来できるようで、中には、おそらくは冬季以外に(実態として)半定住している方もおられるようだ。
水没を免れているのは、正確には門入から西谷川を下って行った先にあった戸入集落手前までの道路で、便宜上そこを戸入と呼んでいる。その距離、門入集落から片道約8km。ネット上でも門入または戸入への訪問記は多く紹介されているし、わたくしも以前から行きたかったのだが、拙ブログ界隈の皆さまとは都合が合わず、なんとか2019年中にはシバキたい念願の地となっていたのを、今回めでたく訪問に至った、というわけである。
結果、リアルに死にかけたわけだが(苦笑)。
出来る限りシンプルに書いた前説だが、さらに補足がある。今回のアタックに際してのわたくしの目的として、優先順位は以下の通りだった。
A. 門入~戸入にある橋たちのチェック
B. 某所にあるダム付け替え道路?未成道の調査
C. 辿れる限りでの、旧道、廃道調査
D. 戸入までの到達
つまり、わたくしの嗜好どおり、橋や道関連の調査が優先だった、ということだけ書いておく。普通にホハレ峠~門入~戸入と往復すれば、その距離実に27km超え。なかなかなもんじゃないかえ?それに加えてオプションをあれこれ。これは時間も体力も無くなるわな。
「ははーん、コイツ戸入まで行ってないな?」
まあ、どうなったか見てみよう(笑)。
3時間ちょいほど仮眠し、
物資の最終調達後、午前5時過ぎに木之本のコンビニを出立。
ジャスト1時間で、
ホハレ峠に到着。場所おおまかにコチラ。
簡易な車止めの先には、
林道~作業道が絶賛工事中!日中は作業の方が出入りするのだろう。
で、振り向けば、
ついに初対面となる、峠のお地蔵さま…のはずだったのだが、現在は何ともやるせない状況になっている。これについては後ほど。
お地蔵さまの向かいには
この先の工事のことと、それに伴い門入へ行く人への注意喚起が、懇切丁寧に書かれていた。
そして右下、親切にも、
作業道工事と門入への道と工区を書いた平面図が、貸出用に数枚設置されていた。「ご利用後はご返却お願いします」ということで、ありがたくお借りしていくことにした。
ここ峠は、工事車両の転回場所となっていて駐車はできない。
改めて峠を少し下った路肩に駐車。
ここで50分近くかけて身支度を整え、荷物チェックを行った。後で振り返れば、なんかこういう局面局面でちょっとずつ時間を使いすぎてるのだった。
かくして、7時前にようやく出発。よもやここへ戻ってくるのが24時間以上も後になるとは、知る由もなかった…。
峠へ戻り、改めてお地蔵さまに道中の無事を祈った…がしかし!
今ここに安置されているのは、身代わりのお地蔵さま。本物のお地蔵さまは、2018年秋に行方不明となってしまったようなのである。
自然になくなるわけはないので、誰かが盗んだか、あるいは打ち壊したか。いずれにしろ畜生にも劣る最低な所業である。誰か盗んだのなら、そっと戻しておいてほしい。壊したのなら…そいつに痛い目に遭ってほしい。
いったんスタートしたのだが、ふと思い立って戻り、
お地蔵さまのところの杖を借りていくことにした。
実は杖の使い方っていまいちわからないのだが、最初の下りはゆっくりと行くことにしていたので、何かの役に立つかと思って。
7時4分、ついに念願のアタックスタート。
長い長~い一日が、始まった。
【2】に続く。