急きょ、割り込み記事です。
4月12日、また一人、モータースポーツ界の巨星が逝きました。
(写真はネットからお借りしました)
1951年から61年、シリーズが立ち上がったばかりの黎明期からF1に参戦、ポールポジション16回、通算勝利も16勝を挙げながらも年間2位が4回、惜しくも戴冠に届かなかった元祖「無冠の帝王」。英国の国民的英雄、サー・スターリング・モスが亡くなりました。享年90歳。
初めてワークスチーム(ダイムラー・ベンツ)のドライバーとなった1955年には母国での初勝利を含む3度の表彰台を獲得、チームメイトであったファン・マニュエル・ファンジオに次ぐランキング2位となり、そこから58年まで4年連続で年間2位となりました(56、57年もファンジオ、58年はマイク・ホーソーンが戴冠)。
えげつない速さとテクニックを持ちながらも、キャリア全体的にはチーム力やマシンの戦闘力に恵まれなかったモス。しかし同僚やライバルたちたちからの評価はピカイチ。後年になって、英国史上最高のレーシング・ドライバーと評されることもありました。
(写真はネットからお借りしました)
わたくし当然リアルタイムでは知るわけもないのですが、総集編DVDとかYouTubeでは往年の映像を観たことがあります。ファンジオやアルベルト・アスカリ、ジャック・ブラバムといった伝説的ドライバーたちと渡り合った、まさに生ける伝説、レジェンドでしたな。
現在よりも遥かに、そう遥かにモータースポーツが危険だった時代、そして遥かに紳士のスポーツだった時代の空気を生で知る唯一の人でしたが、ここ数年は表舞台に出てこなくなっていたようでした。
今回の訃報、時期が時期だけに死因が気になるところですが、今のところ記事には詳細は触れられていません。しかし御年90と言えば、大往生と言っていいのではないですかね。ウチの親父より1歳若かったんやな…。
最後に、この動画を。
たぶんメルセデスの主催による、当代の最強ドライバーであるチャンピオン、ルイス・ハミルトンとモス卿のセッション。
5年前の動画であり、すでに二度王座を獲得していたもののまだまだ傲岸不遜な面も見受けられた時期のハミルトンだったはずですが、ここでは母国の大先輩を前に、崇敬の念がにじみ出ているのが微笑ましくって。
動画終盤の4分40秒あたりから、コクピットに座ってハミルトンと話す際のモス卿のまなざし、途中からはおじいちゃんではない、レーシングドライバーのそれになっています。改めて「レーシング・ドライバーという特殊な種族」について、いろいろ感じさせられた動画です。
昨年のニキ・ラウダから11カ月、モータースポーツ界はまた一人、真のレジェンドを失いました。サー・スターリング・モスのご冥福をお祈りいたします。