なんだよこのタイトルは?ってなもんですな(笑)。
今回取り上げるのは、極めてありふれていながらも、ある意味で極めて珍しい…そんなスフィンクスの謎かけの如き物件でございます。
時刻は、4時54分AM。
目的地に到着。いやいや、目的地って、ドコやねん(笑)。
実は、電子地図で気になるトンネル表記を見つけて、めっちゃ気になっていた。コッチ方面へ遊撃するこの絶好のチャンスにチェックせねば!と意気込んで一発目にやってきたのであります。
で…
コレを見た瞬間ピーーンと来てしまった。
現れたるは風情のかけらもない…だが不可解なシチュエーションにあるボックスカルバート。
そして、
「彦根117」の銘板。
「はっはぁ~~ん」てなもんである(笑)。
すでに正解がわかった方もいるかもね~。
場所はコチラ。
この地図と場所も大ヒント!
極めて空虚な内部。
だがいかんせん、まだめっちゃ暗いので…
少しだけ仮眠した後に再度やってきた。
多少明るくなったので、「不可解なシチュエーション」が見えやすくなった。
まずは、なんといっても
土被りがない!
さらに、向かって右(南側)には土被りどころか、カルバート自体がむき出しになっている。カルバートの上には、工場かなにか、私有地っぽい雰囲気の土地が。
正解を引っ張りつつ、抜けた先も見てみよう。
おや?オーブとやらですか?(笑)
抜けた先には
何もない。ただ廃道と言って差し支えない細道が、フェンスに沿って続いているだけ。
さあ、おわかりになったでしょうか?
このボックスカルバートはいったい!?
正解を申し上げます。この「彦根117」カルバートは…
「本邦初の高速道路廃道区間」に残る、名神高速道路旧廃道の遺構なのであります!
つまり、この上にはかつて名神高速道路が走っていた、ということ。今では路盤跡は削られたり民間に払い下げられたりで直接的な痕跡がほとんど残っていない中、ほぼ唯一にして最大の遺構が、この「彦根117」カルバートだ。
直接的な痕跡はほとんどないと書いたものの、改めて地図を見ていただければ、旧道のルートはくっきりと浮かび上がって見えてくる。この区間が、今須トンネルを抜ける現ルートに付け替えられたのは1978年10月2日。これが、我が国で初めての「高速道路の路線付け替え」となった。1964年4月の開通から、わずか14年半後のことだった。その理由は明白。
付け替え前のこの区間は、いわゆる「魔のカーブ」ってやつだった。高速道路にあるまじき深いカーブ、それが付け替え理由。
建設時の自動車の性能や、ドライバーの高速運転への習熟度の低さによる比較的低速な運転傾向のもとでは問題にならなかったのだろうが、まもなくこの「今須カーブ」は、悪名高き事故多発区間となってしまった。
なにしろ300Rとも260Rとも言われる「サーキットかよ!?」レベルのあかんカーブが、名だたる豪雪地帯である関ヶ原にあるとなりゃあ、事故が起こらない方がおかしいわな。
そんなわけで早々に廃されてしまったこの区間、探索時でまる33年が経過していたわけだが、このように一部痕跡をとどめていた。ただ、2015年現在もまだ残っているのかは未確認。
…まあ、残ってるとは思うけど。
その後、山梨県内(だっけか?)の中央道でも路線付替えが行われた箇所があるが、現時点では「高速道路の廃道」が存在するのは、この2箇所だけのはず。
そういう意味で、ありふれたボックスカルバートも、
背景を知るとまた違って見えてくるから不思議(笑)。
こういうとこは、暗い時に限るよ(大謎笑)。
以上、完結。