2010年4月25日、大阪南部徘徊にてちょっとだけ足を伸ばしてやってきた、和歌山県橋本市。ここに、業界内知名度の高い…でも近年忘れ去られつつある(ような印象のある)物件がある。それを見にきたのだった。
実はここ、この日を遡ることわずか1ヶ月ちょい前に一度断念していた。
理由は全然しょーもないことなのでここでは書かないが、ようやく訪問叶った、というわけで。
車は手前に停めて、徒歩にて物件に向かう。
ここは、橋本市柱本(はしらもと)地内。
橋本川の支流、芋谷川の作る谷を囲むこの一帯を芋谷といい、「芋谷の棚田」として近年有名になっている。
実際、ここらの景色はとっても素晴らしい。「The・ニッポンの山里」って感じで。
小さな橋で谷を折り返した、その少し先に、面白いものがあった。
わかりにくいかと思うけど…わからんよな(笑)。
寄ってみると
非常に可愛いサイズの、ミニ水路橋!
小さいながらも本格的なコンクリ製の橋脚が並び、トラス桁に管が納められている。どうも現役ではなさそうだったが、しばし鑑賞。楽しませてもらった。
その先で、道は林の中を進むようになる。
冒頭の写真にあるように、かなり狭小。まぁノートさんなら大丈夫なレベルだが。
じゃあなぜ歩いてきたのかと言えば…すぐにわかる。
さ、物件に到着した。タメなくいきますぞ?
これが通称「芋谷のトンネル」。業界内通称は「細川柱本隧道」。
ご覧のように、ガッツリ通行止めとなっていた。「崩落のため」と書かれた看板が立ってたっけ。ノートさんで来なかったのも、これがわかってたから。
柱本側から歩いてきた。
しかし伝わるかなあこのサイズ感。上の写真も下の写真も、普通に立って撮影したもの。かなり小さいってことは伝わると思うが、なんと以前は車を通していたというから凄い。
この隧道で特筆すべきは、なんといっても

この独特な石積みのポータル。
不揃いな切石を隙間なく組み合わせた超絶技巧、これは

切込接ぎ(きりこみはぎ)積み、と呼ばれる積み方。
お城の石垣などでは時々見かけるが、隧道ポータルではめったに見ることはない超レアもの。
みれば見るほど…
芸術品だこれはぁ。
無粋なネットぐらいじゃあこの魅力は消せませんぞ~!
でー。
洞内もまた…
途中までは石で巻かれているのだが…ちょっと…
我がボキャブラリーでは、なんと言い表わせばいいのかわからんちん(爆)。
こんだけ不揃いな石で、こうもキレイなアーチを描いて巻けるものか?マジでこれ、超絶技巧だとしか形容できないわ。
石での巻き立ての先は、素掘り。
素掘りパートに入ってすぐのところで、崩落が見られる。これが直接的な通行止めの要因だろう。
…ってオマエ、どこにいる?
いや~、我慢できず(笑)。
まだまだキャリア初期(謎)だったわたくし、この時ここまでしか入っていない。つまり、歩いて抜けていない。そして時間の都合で反対側(細川側)も訪ねてない。
水没をクリアするための長靴を履いてなかったこともあるが、まあ今思えばもったいないことをした。ここは必ずリベンジしたい…
と思い、未だ果たせず。
帰りに気づいた、これ。
道端の立木(しかも全然目立たない)に巻かれたテープに書かれた
「手堀トンネルは通行止めです」
「堀」じゃなくって「掘り」やけどね…(笑)。
で、記事を書くにあたって、そういえばこの隧道、もう再開通してるのかな~と、久々に調べてみた。したらば…
塞がれてたよ…。
不細工な金網で塞がれていて、無粋極まりない鉄枠が芸術的な石積みを台無しにしている。人様のブログで見た写真だけに勝手には載せられないが、正直載せたくもない、無残な姿だった。ナニしてくれてんのよ~橋本市さんよお(泣)。
いつかはリベンジ、と思っていたが、こうなっちゃあもう。
やっぱこの趣味、常に「次はない」と思ってないと駄目なんですなあ。悲しくなりました。
以上、しんみり完結。