2011年7月16日、この趣味で初めての紀伊半島彷徨…の最序盤に訪ねた、ずっと紹介しそびれていた物件をご紹介。
さて、まずは…タメなく登場。西側より。
近鉄吉野線の薬水駅にほど近い、その名も薬水(くすりみず)橋梁。
コンクリートのゴツイ…言葉を選ばず言えば不格好な控え壁は後付けだと思うのだが、個人的にはコレ、美しい橋梁を損ねている気が。でも確かに個性的ではある。ちなみに、土木学会の選奨土木遺産であります。
道路と河川を二径間でまたぐこの橋梁、特筆すべきはやはり、
扁額があること。
橋梁でありながら、隧道、あるいは薬水集落の門としての機能を持たせているという点で、非常に珍しいものでありますな。
ちなみに右書きで「薬水門」と刻まれているらしいが、達筆すぎて解読できない(汗)。
また、扁額の上下にあしらわれた、ちょっと変わった櫛歯?の帯も実に装飾的。
さらにほじくっておくと(笑)、
アーチ環も興味深い。煉瓦四層巻きだが、赤丸のところ要チェック。
煉瓦の小口面で構成されたアーチ環の中に、長手面を見せる部分が、4か所ずつ配されている。俗に「竪(たて)積み」と呼ばれる手法で、強度面では特に効果はなく、やはりアクセントの意味合いが強いもの。
いやぁ、装飾的ですねい。
で、東側。
こちらは一転してスッキリ。やっぱ、控え壁ジャマでしょ(笑)。
左端、ヘンな切り取り方してるのは、電柱がめっちゃジャマなのよ。
こっからタテナガ三連発!
マルチアーチはやっぱこの部分が好きだ~(笑)。
以前はどっちも川だった…ってことはないと思うのだが、流れに対して三角形に尖らせた水切り施工となっている。
この造形…
タマリマセンね~。
堅牢そのものだ。大正元年の完成だというから100年以上前の建造だけど、綻びは全く見られない。
そして、ここにも注目!
側壁下部に用いられているのは、角を取った円弧煉瓦。
いや~こだわるねぇ~(笑)。
舐めるように観察してたら、
吉野行き始発電車が通過していった。
…始発?
はい、ただ今の時刻、まだ早朝5時41分でありました(笑)。
以上、完結。