中央社会保険医療協議会(中医協、会長=遠藤久夫・学習院大経済学部教授)は6月2日の総会で、ノボノルディスクファーマの国内初のGLP-1受容体作動薬ビクトーザ皮下注、武田薬品工業のDPP-4阻害薬ネシーナ錠など、インクレチン関連の2型糖尿病治療薬を含む12成分29品目の薬価収載(11日付)を了承した。
ノボ社のビクトーザの薬価は9960円(183ml1キット)となった。ノボ社は、ビクトーザ単独およびスルホニルウレア(SU)剤との併用での有効性が示されていることや、低血糖や体重増加を起こしにくいことなどを挙げ、さらに高い薬価を求めて、厚生労働省の薬価算定組織の算定案に不服を唱えたが、当初算定案通りで決着した。ノボ社は前回4月の薬価収載を見送った経緯がある。
武田薬品の国内3番手のDPP-4阻害薬ネシーナの薬価は、1番手のジャヌビア錠/グラクティブ錠の1日薬価に合わせて209.40円(251錠)などとなった。
このほか、武田薬品のアクトスとメトホルミンを配合した2型糖尿病治療薬メタクト配合錠の薬価は、アクトス単剤の薬価と同額の84.60円(LD1錠)などとなった。また、同社のアンジオテンシン2受容体拮抗薬(ARB)ブロプレスとカルシウム(Ca)拮抗薬アムロジピンを配合した高血圧症治療薬ユニシア配合錠の薬価は、ブロプレス単剤と同額の150.30円(HD1錠、LD1錠)となった。
中枢神経系用薬では、武田薬品の不眠症治療薬ロゼレム錠と、ファイザーの帯状疱疹後神経痛治療薬リリカカプセルの薬価が決定。ロゼレムの薬価は、最類似薬のマイスリー錠の1日薬価に合わせた上で、有用性加算(5%)を適用し82.60円(81錠)。
一方、リリカの薬価は100.50円(251カプセル)など。ファイザーは当初算定案に対して、▽国内でも外国と同様に、1日150mg投与の有効性・安全性が示されている▽新規の作用機序を有しており、新たな治療の選択肢を提供している―ことなどを理由に、さらに高い薬価を求めて不服意見を提出した。これに対し薬価算定組織は、欧米と異なり、日本では帯状疱疹後神経痛以外の神経障害性疼痛や線維筋痛症などの効能・効果を取得できていないなどと指摘。当初算定案通りの薬価となった。
武田薬品の抗がん剤ベクティビックス点滴静注の薬価は、最類似薬のアービタックス注射液との間で、国内臨床試験での平均使用量に基づく1日薬価合わせを行った結果、7万5567円(1001瓶)となった。
協和発酵キリンの腎性貧血治療薬ネスプ注射液は、既存の静注用製剤から保存期慢性腎臓病患者に対しての効能・効果や皮下投与の追加を行うとともに、販売名の変更を行った。薬価は静注用製剤と同額の3086円(10マイクログラム1ml1筒)など。発売後は既存品と切り替えられる。
緑内障・高眼圧症治療薬では、万有製薬のコソプト配合点眼液と、日本アルコンのデュオトラバ配合点眼液の薬価が決まった。コソプトの薬価は、トルソプト点眼液とチモプトール点眼液の1日薬価を合計して668.00円(1ml)。デュオトラバの薬価は、トラバタンズ点眼液とチモプトール点眼液の1日薬価を合計して1360.00円(1ml)となった。
久光製薬の合成麻薬フェントステープの薬価は3695.10円(81枚)など。最類似薬のデュロテップMTパッチとの間で平均使用量を踏まえた1日薬価合わせを行った。デュロテップが3日ごとなのに対し、フェントスは1日ごとに貼り替える。
各メーカーによるピーク時売り上げ予測は次の通り。
ネスプ664億円▽ネシーナ633億円▽ユニシア571億円▽ベクティビックス374億円▽ロゼレム312億円▽アレクシオンファーマ合同会社の発作性夜間ヘモグロビン尿症の溶血抑制用薬ソリリス点滴静注197億円▽ビクトーザ173億円▽コソプト153億円▽フェントス109億円▽リリカ84億円▽メタクト83億円▽デュオトラバ56億円
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