岩手「月の輪 純米」優等生的な甘旨味が無難にエレガントな世界を描く | 酔い人「空太郎」の日本酒探検

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意欲ある先進地酒蔵のお酒をいただき、その感想を報告します。
SAKETIMESにも連動して記事を載せます。

岩手県を旅してきました。

宮古市の浄土ヶ浜のホテルに泊まり(素泊まり)、夕食には以前から気になっていた「大寿司」にお邪魔しました。

極上の寿司を手頃な料金で堪能させていただきました。

美味しい鮨に合わせたのはもちろん、地元の岩手県のお酒です。

2杯目にいただいたのはこれです。

 

 

月の輪(つきのわ)純米」。

岩手県紫波町の月の輪酒造店さんが醸しているお酒です。

 

月の輪酒造店は蔵元の長女であった横沢裕子さんが1990年代後半に蔵に戻り、酒造りを学んだ後、2005BYから蔵元杜氏になっています。

それまでは出稼ぎ型の杜氏を招いていたのですが、「杜氏が代わる度に蔵の酒の味が変わるのは良いことではない。蔵元が酒質を管理するのが望ましい」と横沢さんが考えて、自ら望んで杜氏についています。

夫の孝之氏が経営や営業を担うスタイルです。

 

 

蔵元の娘が杜氏となり、婿に入った夫が経営を担うというスタイルの蔵は意外と多いです。

「信州亀齢」の岡崎酒造(長野県)、「町田酒造」の町田酒造店(群馬県)、「石見銀山」の一宮酒造(島根県)、「六歓」の東和酒造(京都府)、「豊賀」の高沢酒造(長野県)などですね。

 

横沢さんも杜氏になって20年近くです。

月の輪酒造店は日本酒を手堅く販売する一方で、麹を使ったジェラートの販売も軌道に乗せており、地元では左党以外にも甘党にも愛されています。

 

さて、お酒ですが、65%精米の純米酒、火入れです。

 

 

上立ち香は穏やかな雰囲気の酒エキスの香りが微かに。

口に含むと中程度の大きさの旨味の塊が、平滑になった表面に打ち粉を振って、サラサラな感触を振りまきながら、軽快なテンポで滑り込んできます。

受け止めて保持すると、促されるままに素直に膨らみ、拡散して、適度な大きさのガラス玉様の粒々を連射してきます。

粒から滲み出てくるのは甘味7割、旨味3割。

甘味はザラメ糖系の奥行きを感じるタイプ、旨味はシンプル無垢な印象で、両者はとてもバランス良く、流麗な舞いを披露します。

流れてくる含み香は柔らかい甘い香りで薄化粧を付与。

後から酸味と渋味は適量現れて、メリハリをはっきりとさせるのです。

味わいは終盤まで五味が突出することなく、素朴でナチュラルな世界を描き切るのでした。

 

それでは、岩手のお酒、3杯目をいただくことにします。

 

お酒の情報(24年113銘柄目)

銘柄名「月の輪(つきのわ)純米 2023BY」

酒蔵「月の輪酒造店(岩手県紫波町)」

分類「純米酒」

原料米「不明」

使用酵母「不明」

精米歩合「65%」

アルコール度数「15度」

日本酒度「不明」

酸度「不明」

情報公開度(瓶表示)「×」

標準小売価格(税込)「1800ml=2680円」

評価「★★★★★(7.5点)」